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22.内戦③

イロハの聖剣。

 敵兵のほとんどがとくに戦わず東へと逃げた。僕達はほとんど戦わずにすんだ。

 残った兵は少なくなかったが、ベアトリーチェの部下であることに嫌気がさしたということで投降した。


 僕はキヨマサに呼ばれた。


「レン殿、今回の戦闘で敵は聖剣を持ちだしていたな」

「ええ、驚きました」

「あの落雷も聖剣の力であろう」

「ええ、多分」

「これからは聖剣を相手に戦うのでござるな?」

「そうなりますね」

「そこで、レン殿に差し上げたい物がある」


 キヨマサは2本の剣を差しだした。真っ白い剣と真っ黒い剣。2刀とも不思議な雰囲気を纏っていた。

「イロハの聖剣でござる」

 僕は白い方の刀を抜いてみた。反りのある東洋式の剣。見惚れてしまうほど美しかった。

 次に黒い剣を鞘から抜いてみた。刀身も黒かった。禍々しい雰囲気を纏う剣だった。

「これは…」

「白い方が聖剣マサムラ、黒い方が妖刀ヤミムラ」

「黒い方の剣は、持っていると人を斬りたくなる。だが、扱いこなせれば頼りになる聖剣だ」

「確かに、この黒い刀を持っていると不思議な気分になりますね」

「この2本の刀をレン殿に差し上げる」

「いいんですか?」

「構わぬ。友好の証だと思ってくれ」

「ありがとうございます。これは心強い。ありがたく頂戴します」

「僕は背中に大剣、左の腰にマサムラ、右の腰にヤミムラを差すようになった。


 僕達はとにかく王都を救済するべく動いた。

 税を軽くした。処刑制度を廃止した。農工商漁業の活性化、治安維持につとめた。

 王宮の宝物庫は空になっていた。ベアトリーチェが全てギデンに運んだらしい。


 食料庫にはかなりの食料の蓄えがあったので飢えた民に配り与えた。


 しばらくして、やがて元の王都のような活気が戻ってきた。

 僕達ソフィア軍は王都の民に感謝され親しまれるようになった。


 王都の民はソフィアを支持するようになった。

 逆にベアトリーチェに対する憎しみが強くなった。

 東部ギデン地方征伐にいくことを知った民の中にはベアトリーチェと戦いたいと志願兵が多く集まった。

 ほとんどが、肉親を処刑された者達だった。


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