22.内戦①
聖剣。
僕は大剣でグレンの腹を貫いた。落雷はグレンを避けて落ちる。グレンに肉薄すれば落雷から逃れられると思ったのだ。
その考えは当たっていた。だが、僕も無傷ではなかった。僕は倒れ込んだ。
「相打ちか…」
そろそろ走馬燈を見ようかというときにミーとシーが駆けつけてくれた。回復魔法を施してくれる。
「剣…」
「レン様、なんですか?」
「グレンの剣を敵に渡してはいけない」
グレンの剣は地に刺さっていた。ミーとシーが剣を大地から抜こうとした。だが、抜けないらしい。
「レン様、抜けません」
「僕が試す」
僕は身体を起こそうとした。だが、まだ回復しきっていないので立てない。
「すまん。もう少し回復魔法を」
「はい」
僕はしばらく動けなかった。
そこへ黒ずくめの男が馬で悠々と歩いてきた。
「クロウ」
「今はクラウディオだ」
クロウは剣を握ると楽々と引き抜いた。
「この剣は主を選ぶんだ」
「ちょうど良かった。回復したところだ」
僕はゆっくりと立ち上がった。全身が痛いが今なら戦える。
「レン殿!」
そこへキヨマサが突入してきた。
「先程の雷は敵の攻撃か?」
「そうです。聖剣の力です」
「聖剣?わかった」
「キヨマサは槍を捨てて剣を抜いた」
なんと、キヨマサがクロウの聖剣と互角に渡り合っていた。
「貴様の剣も聖剣か?」
「魔を断ち切る名刀マサムラだ」
「キヨマサ殿、僕も加わります」
「くそっ、今日は分が悪いな」
クロウは回れ右をした。
「逃げるのか?」
「今日は逃げる。ベアトリーチェ様が撤退する時間も稼いだからな。本当の勝負は王都ではしない。ギデンで待っている。王都は後で奪い返す」
僕達は後を追えなかった。聖剣の力を知ったからだ。ベアトリーチェの切り札とはあの剣のことだろう。
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