22.ベアトリーチェ④
ソフィア。
寝室に入ると、ソフィアは大泣きした。僕はソフィアを抱き締めた。
「お父様が…」
僕はソフィアの頭を撫でる。
「エリザ姉様が…」
僕はソフィアの頭を撫で続ける。
「もしかしたら生きていると期待していたのに」
「泣きたいだけ泣けばええよ」
「ベアト姉様、私のこと邪魔者みたい…」
「あの方は元からああいう人でしょう」
「私はどうすればいいの?」
「どうしたいの?」
「私は家族仲良く暮らしたかっただけ」
「そうやね」
「ベアト姉様と争いたくはない」
「では、エランへ行こうか?」
「それでいいのかしら」
「と言うと?」
「皆、命懸けで王都を取り戻してくれたのに、簡単に姉に譲ってもいいのかしら」
「ええと思うよ」
「そうかしら」
「気のいい連中やから、わかってくれるよ」
「皆、こんな私にまだついてきてくれるかしら」
「大丈夫。皆、ソフィアのことが好きやから」
「私はまた皆に甘えてしまいますね」
「甘えてる?」
「私は皆に甘えてばかり」
「大丈夫」
「レンはそれでいいの?」
「構わない。元々王位に興味は無いし」
「そうなの?」
「ソフィアが笑ってくれていたらそれでいい」
「そうなの?」
「だから、ソフィアが笑えるようにしよう」
「じゃあ…」
「ベアトリーチェ様と喧嘩しないようにエランに戻る?」
「うん」
「それでええなら、そうしよう」
「皆が納得してくれるかが心配」
「じゃあ、リー様を呼ぼう。彼の判断なら安心やろ?」
僕は侍女に命じてリーを呼びに行かせた。すぐにリーは来た。
僕達はリーにエランに戻ろうと思っていることを話した。
「それがお望みなら」
リーも反対しなかった。
「ただ」
「ただ?」
「ベアトリーチェ様の態度には少々腹が立ちましたが」
「僕も」
「何故かスッキリしません」
「確かに」
「とはいえ、ソフィア様にとって良きように」
「うん」
結論は出た。
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