追記:シンヤの最後(次話にかけて)
「シンヤだな」
僕は墓地の奥で呪文を唱える仮面の男を見つけた。騎馬だった。
「やはり、レンか。俺はどうしてもお前を倒さないといけないようだな」
「お互い様だ。僕もお前を倒さなければならない。ロウの敵でもあるしな」
僕は死体を薙ぎ払いながらシンヤに近付いていく。
死体が邪魔だ。
だが、ようやくシンヤと直接剣を交えられる距離まで迫ることが出来た。
「やっと邪魔者無しだな」
「死体が無ければ俺を倒せると思っているのか?」
「思っているさ」
僕は大剣で連撃を放った。シンヤはかろうじて槍で受け流した。
僕は驚いた。社会人になってから僕は学生時代より遙かに強くなった。なのにシンヤは交わした。シンヤもだいぶん鍛錬したのだろう。
僕はシンヤをあなどっていた。一太刀で倒せると思っていた。
時間がかかると死体が邪魔をするので薙ぎ払いながら戦うのが面倒臭い。
僕は渾身の一撃を放った。シンヤの仮面が割れた。ぐちゃぐちゃな顔があった。
「変わった人相だな」
「この前のお前の部分自爆のせいだぞ。俺はお前が憎い」
「僕だってお前が憎い」
時々邪魔する死体を薙ぎ払いながらシンヤとの戦いが続く。
僕の方が押しているのに死体に邪魔されて致命傷を与えられない。シンヤにかすり傷を負わせる程度だ。
僕はムキになっていた。倒せそうで倒せないというイライラに支配される。
その時!
「レン様!」
エイミーが騎馬でやって来た。
「助太刀します」
「エイミー、来るな!」
「いいえ、行きます」
「シンヤはかなりの腕前なんだ」
「邪魔をするな」
シンヤがエイミーを槍で突こうとした。
「エイミー、伏せろ!」
「え?はい」
僕はシンヤの肩くらいまで手を伸ばした。
「またか?」
「部分自爆!」
前回のように、シンヤは顔を吹き飛ばされて落馬した。
エイミーは元気そうだ。痛いけど間に合った。
あのままではエイミーが危なかっただろう。
今度はシンヤが蘇生できないようにしなければいけない。
「エイミー!」
「はい」
「大丈夫か?」
「レン様こそ!」
「僕は大丈夫。エイミー」
「はい」
「シンヤをエイミーの馬に乗せてくれ」
「はい」
エイミーがシンヤを馬の後ろに乗せる。死体部隊は全てただの動かない死体に戻っていた。
「エイミー行くぞ」
「どこへ?」
「ミーとシーのところだ」
僕は左腕を失った痛みをこらえながら馬を走らせた。




