4.風向き②
ソフィアの立場。納得のいかない護衛兵。
勤務後、僕はレイラに聞いてみた。
「あの珍客は何ですか?ずいぶんソフィア様にアプローチしていましたが」
「あの男は今、西の隣国ホヨウの中でも有数の大貴族だ。ソフィア様にご執心だ」
「もしかして政略結婚とか?」
「縁起でも無いことを言うな」
「すみません」
「ソフィア様の立場は今、微妙なんだよ」
シュウが言った。
「微妙?」
「着々とユリウスとの政略結婚の話が進んでいるからな。今回の訪問で“また一歩近づいた”と噂されるだろう」
「そして、ソフィア様が男の子を出産でもしたら政治的権力が強くなるからな」
と、レイラ。
「男子を産んだ時のことを考えて、ソフィア様を担ぎ上げようとする豪族や貴族もいるんです」
と、ユーリ。
「西国のホヨウとの関係もますます良くなると期待されているしな」
「ソフィア様を始め、王女様達は皆腹違いなのだがソフィア様のお母様は特に高貴な生まれで、血統もいいんだよ」
「国王が結婚させようとしているしな」
「今は忙しい時期だが、我々はソフィア様をお守りするだけだ」
「もうすぐ、南のエラン地方にあるソフィア様の居城に戻るからな」
「定期的に王都に来ているんですか?」
「ああ、まあ用事があれば来ることもあるんだが」
「ソフィア様は結婚を嫌がっているんですね?」
「死ぬほど嫌がっておられる」
「この件は、我々が介入できることではないからな」
「今のうちにソフィア様と親しくしたいという豪族や貴族も気に入らんがな」
「じゃあ、今はソフィア様が出産に1番近いんですね?」
「結婚が控えているからな」
とシュウが言うと、
「まだ決まっていません。ソフィア様は国王陛下にずっとお断りの旨をお伝えしています」
すぐにレイラが反論した。
「とりあえず、居城に戻ったら気分的に楽になるからもう少しの辛抱だな」
「レン、ユリウス様に失礼の無いようにしろよ。何かあったときにソフィア様の責任になるかもしれないからな」
「わかりました」
「隙を見せないことが1番重要だ」
「気をつけます」
「なんだか、気分が悪いな」
シュウが言った。
「四人で飲みに行こうか?」
とレイラ。
「いいですね」
と、ユーリ。
「ほな、行きましょう」
と、僕。
僕たちはその日、朝方まで飲んだ。ばい菌をアルコールで消毒するかのように。
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