※挿話ーーそれぞれの想い⑧
レナ。
今度はレナを思い出した。
洗濯物を見ていたら思い出した。
或る日、レナが部屋にやって来た。
何度夜を共にしても恥ずかしがるので初々しい。
「よく来たね」
「お邪魔します」
「今日はレナの番だったんやな」
「はい、よろしくお願いします」
「こっちにおいでよ」
「はい」
お互いの体温を感じ取れる距離。暖かい。
「暖かいです」
「心地よいな」
「はい」
「城で待っている間は不安か?」
「はい、心配です」
「無事に帰って来ると約束しても心配か?」
「心配です」
「僕って信頼されてないんやな」
「レン様は何度も死にかけているじゃないですか」
「確かに、怪我は多いか…」
「私は皆さんと違って戦場ではお役に立てません」
「それはそうだが…」
「それが歯がゆくて悔しいです」
「いつもレナの家庭的な雰囲気に癒やされているよ」
「本当ですか?」
「本当やで」
「それなら嬉しいです」
「戦場に出なくてもレナは僕の力になってるで」
「良かった…」
「レナがいると落ち着くんや」
「本当ですか?」
「ああ、家の中でくつろいでるって感じ」
「私はレン様を癒やせてますか?」
「ああ、癒やされてる」
「ずっと側にいたい」
「レナ、ほしいものはあるか?」
「え?」
「何でも買ってあげるで。僕のいない間、少しでも寂しくないように」
「私の欲しいものはお金じゃ買えません」
「何?」
「赤ちゃん…」
「わかった。なるべく早くつくろう」
「でも…」
「どうした?」
「私の子ならきっと戦場ではお役に立てないでしょうね」
「レナみたいに家庭的な子なら、それで嬉しいで」
「ありがとうございます…」
僕は小柄なレナの身体を抱き締めた。
心まで抱き締めたかった。
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