20.同盟④
イロハ。
僕達は5人でドラゴンに乗って港に降りた。
ちょっと港が大騒ぎになった。
「大丈夫ですよ-!」
「害はありませんから!」
慌てて僕達は叫んだ。
しばらくすると、遠く離れてこちらの様子を見ていた人達が戻ってきた。まだ怯えているし警戒しているようだが仕方がない。
手土産の金銀財宝を兵士達が船から降ろした。戦をするわけではないので、100名ほどの兵しか連れて来ていない。
やがて、見慣れない甲冑姿の一団がこちらへやってきた。
「カルデアの使者様ですか?私はイロハのヤジローと申します」
何を言っているんだかわからない。初めて聞く言語だった。
「いかにも、カルデアの者である。城まで案内していただきたい」
セリアが答えていた。なるほど、セリアがイロハ出身というので助かった。
「先導します。ついてきてください」
「わかった」
セリアは、
「ついて来いと言っています」
と、僕に通訳してくれた。
おとなしくついて行く。
やがて、大きな城が見えた。というより、(これが城か?)と内心で僕は驚いていた。カルデアなど大陸の城とは全く違う。
僕達は、そのまま城内に入って行った。
途中、
「荷物と荷物を運ぶ兵士はここで待っていてください」
と言われたので従った。
「出来ればその竜も置いて来てほしいのですが」
「それは出来ない」
「困りましたね」
「大丈夫です、害は無いです」
「わかりました」
さすがにドラゴンが城内には入れず階段を上がれないので、一階の大広間でイロハの国主と謁見することになった。そこには広い庭園があったからだ。
側近を連れて現れた国主は、痩せて目つきの鋭い男だった。
僕達はドラゴンがいるから庭にいたので、
「お入りください」
と、言われ広間に上がろうとした。
「レン、靴を脱いで」
「え?」
「いいから」
僕達は靴を脱いで部屋に入った。僕、セリア、エイミー、ジェーン、マリアの5人だ。
セリアから座り方も教わったが、とても苦しい。僕が困っていると、
「足を崩して良い」
国主が笑ってくれた。
僕達は自由に座った。
「お初にお目にかかる、イロハの国主、ノブだ」
「カルデアのエラン地方、総大将のレンです」
セリアの通訳に頼りっぱなしの会談だった。
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