3.日常⑤
護衛兵としての日常が始まった。
飲み会にシュウが加わった。
まずウエイトレスに注文をしてから言った。
「レン、入隊おめでとう」
「ありがとうございます」
「リーの話は堅苦しいだろう?」
「そんなことはないです」
「リー、また退屈な話をしていたのか?」
「そんなことはないぞ、俺は有意義な話をレンにしていたんだ」
「レイラ、どうなんだ?つまらない話じゃなかったのか?」
「有意義です」
「まあ、本人の前で“つまらない”とは言えないよな」
「あの、リー隊長とシュウ副隊長は?」
「ああ、ため口が気になった?」
「リーと俺は同い年で同期なんだよ。だから勤務中以外はため口だ」
「あの、シュウさんにお願いがあるんですけど」
「なんだ?」
「僕に、あの神速の剣を教えてください」
シュウの神速の剣は僕の記憶に鮮やかに残っていた。
「弟子入りか?なんでまた」
「僕も高速剣士になりたいんです」
「本気か?」
「はい」
「だったら、交換条件がある」
「なんでしょうか?」
「俺に魔法を教えてくれ」
「え?」
「俺はほとんど魔法が使えないんだ」
「そうなんですか?」
「ちょっとは使えるけどな。実戦の役には立たない程度だ」
「そうなんですか」
「俺は高速剣士だから、魔法を発動する前にたいていの敵を倒せる。でもな、自分もまともな魔法が使えたらいいなと思うこともあるんだよ」
「僕も基礎しか習っていませんが、それでよろしければ」
「じゃあ、剣を教えてやる。いいな、リー?」
「いいけどな。何故、俺に言わなかった?」
「同期には言いにくいこともあるだろう」
「わかった、好きにしろ」
「レン、レイラにも教えてやってくれよ」
「副隊長、私は…」
「レイラは独学で努力して強くなったんだ。だが、魔法を習う機会が無かった」
「僕ならOKですが」
「レイラ、一緒に習おうぜ」
「わかりました。レン、よろしく頼む」
「はい!」
姫の護衛と鍛錬の日常が始まった。
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