17.決戦前夜⑥
シローの苦戦。
シローは副将のリンを誘った。
「リン、決戦を前に飲まないか?」
「遠慮しておきます」
撃沈。
ロウほどではないが、イケメンとしてモテるシロー。自信はあった。
その自信が一瞬にして砕けた。このような断られ方は初めてだ。
「どうして?嫌なの?」
「はい」
「どうして?」
「プライベートと仕事を混同したくないんです」
「じゃあ、俺が嫌いというわけじゃないんだな」
シローはホッとした。
「嫌いですよ」
更に心が折れた。
「どうして?」
「自分のことをモテると思っているでしょう?」
「そんなことはないよ」
シローは必死で否定した。
「嘘です。モテると思っています」
「どうしてそんなことがわかるの?」
「わかりますよ、勤務中は側にいることが多いんですから」
「もしかして、俺の印象は最悪?」
「そんなことはないですよ。強いのは認めます」
「そうか」
「ですが、まだ部隊を指揮するのは不慣れですね。フォローが大変です」
またシローの心が折れた。
「そうか…」
「ですが、仕事を認めてもプライベートは別ですので」
「食事くらい、付き合ってくれてもいいと思うけど」
「隊長のお誘いは“遊び”ですよね」
「そんなことはないよ」
「じゃあ、私と結婚できますか?」
「できるよ」
「嘘ですね」
「どうして?」
「今、目が泳いでいました」
シローの心が折れ続ける。
「じゃあ、誰ならいいんだ?」
「身近なところで言うと、ロウ様とか」
「ロウに負けるのは仕方がない」
「レン様とか」
「レン!?」
「はい」
「何故、レンなんだ?レンはモテないぞ」
「それは学生の頃でしょう?社会人になってモテる人もいるんです」
「レンのどこがいいの?」
「さすがソフィア様が心に決めた人です。誠実さが伝わってきます」
「俺だって誠実だよ」
「どうして私をさそったんですか?」
「決戦を前に、リンと楽しい時間を過ごしたかったんだよ」
「…わかりました。じゃあ、少しだけなら」
「ありがとう」
シローは決戦を前に心が折れてしまった。
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