3.日常②
護衛兵の日常、レイラの気持ち。
勤務の交替の時間になった。要するに、勤務初日を無事に終えたということで、緊張も解けてホッとした。
「レン、行くぞ」
レイラに声をかけられた。レイラとの約束を忘れていた。
「どこに行くんですか?」
「訓練場だ」
「はい?」
何故、訓練場に行くのか分からなかったがとりあえずついていった。
「構えろ」
訓練場の開始線でレイラが言った。
「何故ですか?」
「私は貴様のことが気に入らない」
「なんでですか?」
「ソフィア様の元に挨拶に来たときのことを覚えているか?」
「はい」
「ソフィア様が“もう自爆魔法を使うな”と言ったのに反論しただろう?」
「はい」
「ソフィア様に逆らったことが許せない」
「それだけで決闘ですか?」
「他にも理由はある、新卒でいきなりソフィア様の護衛兵になれたことも気に入らない」
「すみません」
「詫びなど要らん、剣を抜け」
僕は大剣を抜いた。
「昨日は引き分けだったな」
「はい」
「引き分けというのが気に入らない」
「わかりました、お相手しましょう」
僕は決闘の回避を諦めた。
「行くぞ」
「はい」
レイラが間合いを詰めてくる。だが、レイラの間合いは僕の間合いでもある。お互いの剣が激突した。力比べならこちらに分がある。レイラが後方に跳んで間合いから抜けた。
だが、僕は追いかけない。あくまでもかかってくる分だけ相手をする。すぐにレイラが一気に間合いを詰めてきた。
僕は追い風を使って間合いを詰めた。風を使った分、一瞬だけ僕の方が早かった。更に、僕にとっての追い風はレイラにとっては逆風になる。レイラの動きが一瞬だけ鈍くなる。僕はレイラの喉元に剣を突きつけていた。
「私の負けだ」
レイラは剣をおさめた。
「すみません」
「いや、これでスッキリした。これほど強いなら私もいろいろ納得できる」
「はあ…」
「食事に行こう」
「は?」
「嫌なのか?」
「いいえ」
僕はレイラと食事に出かけた。
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