15.血戦⑦
攻勢。
「逃げるのですか?」
セリアが言った。
「逃げるのではない。戦略的撤退と思ってほしい」
「今、ブライト将軍の2万人、ミラー将軍の1万人、セリア様の1万人、エイミー殿の5千人、ライの6千人、私の5千人、合計すれば5万6千人がギデン城に集結しています」
「だから何だ?」
「攻城戦には3倍の兵力が必要と言われています。そこから計算しましたら、15万人までの敵兵を食い止められます」
「敵の更なる増援があったらどうするんだね?今すでにモンスターを含むと10万人だぞ」
「それは…」
「城を厚く包囲されてからでは遅いんだ。撤退することも出来なくなる」
「こちらにはドラゴンが3匹もいます。まだ勝算はあります」
僕は撤退したくなかった。
「士気も下がっていません。特に私の部隊は最後に到着しましたので士気旺盛です。敵の本陣を攻めるなど、方法はあるのではないでしょうか?」
「私もレンの意見に同感です。今ならまだ城は包囲されきっていません。討って出ることは可能です。前衛のモンスター部隊を避けて本陣を急襲してはいかがでしょうか?勿論、ドラゴンには活躍してもらいますが」
セリアが言ってくれた。
「私もセリア様と同じ意見です」
と、エイミー。
「私も戦いたいです」
と、ライ。
「わかった。戦えばいい。君達だけでな。それから、もう一度話し合おう」
「私も出よう」
最後に言ったのはミラー将軍だった。
「ということで、明日は敵陣を攻める」
「防戦ではなく攻勢にでるんですね」
「そうだ」
ジェーンもマリアも喜んでいた。防戦一方な日々に嫌気がさしていたのだろう。
「ブライト将軍は城に残るから、こちらは3万6千人」
「やはり敵に比べると少ないですね」
「戦力差をドラゴンで補う前提だ。いつも通りのことだ」
「そうなんですか」
「ミラー将軍とライの部隊が左翼に展開。ドラゴンが先頭。セリア様とエイミーと僕の部隊が右翼に展開。ドラゴンが先頭」
「もう1匹のドラゴンは?」
「ミーが乗る。右翼の先頭は僕じゃなくてミーだ」
「隊長は?」
「1人で真っ先に敵本陣の中央に降りて暴れる」
「隊長お1人ですか?」
「こんな役をミーにはさせられないから僕がやる。大丈夫。うまくやるから」
「ですが…」
「明日の朝、出撃だ。今日は早く休め」
僕は部屋に戻るとすぐに寝た。
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