38
皇太子さまにまたお会いしました。
相変わらず、傲慢な俺様のようですね。かなり私を嫌っているようだ。小説ではもっと謙虚で親しみやすい性格なのに。
でも、小説の大人の皇太子さまは、もう全盲でしょう。人はショックを受けてこそ成長できるのだが、その成長の代償は人によって異なる。
恩平さまは宮殿にはいません。庭で花を集めていると、隣の下女から聞いた。そういえば、いまが鳳仙花の咲く季節だ。皇都の社交界では、鳳仙花の花汁で爪を染めるのが流行していた。女子だけでなく、色鮮やかな爪を好む男性もいた。
よく見ると、皇太子さまの爪はきれいに整えられています。男性としては、この爪も素敵でしょう。
あら、皇太子さまが恥ずかしくて、一人で宮殿に座って、妹に庭の花を摘んでもらうように指示したのか?皇太子さまも、表向きは亭主関白な男だが、裏ではこういう女らしいことが好きなのかもしれない。
私は無表情で、実際に心の中でぞんざいに皇太子さまをからかっている。
皇太子さまは私をじろじろ見た。しばらくして、鼻から軽蔑の声がした。
「ふん」
どれくらいい私を嫌いなの?私こそ、早く婚約破棄を申し出てくれることを願っているよ。あなたのお父さんが私たちに結婚させたかったのであって、私があなたと結婚したかったのではない。何か不満があれば、皇帝様に相談してみては?
本当に腹が立った。それに、皇太子さまに失礼してはいけません。だから心の考えは口に出せない。
恩平さま、早くお帰りください!
恩平姫は鳳仙花を持って宮殿に戻った。
「皇太子兄さま、とうとうお見えになりました。恩平会いたかった。久しぶりに遊びよね?恩平は最近まじめに本を読んでいて、先生に褒められいるよ。ほら、これは私が書いた字です。それに、最近鳳仙花の花汁をたくさん作りました。この色がいいですか?」
えっ、私を無視するの?恩平さまのわざとらしい甘え声に、鳥肌が立った。そういえば、恩平さまは兄好きの妹ですね。皇太子殿下にだけの好きだ。
「恩平、ちょっと、用事があって話した」
「はい」
恩平さまは私の前でこんなにおとなしくしたことがない。
長い沈黙があった。
「そこ、先に別の部屋に行ってくれませんか」
私「そこ」じあないよ。どんな正式な事も私は聞くことを許さないのですか?明らかに私を困らせようとしているのだろう。
「わかりました。その前に、皇太子さまはいつ、皇帝さまに婚約破棄を申し出るつもりなのか、お聞きしたいと思います」
私の質問はかなり鋭いと思います。予想通り、私の発言に驚いた恩平さまは口を大きく開け、皇太子さまも顔をしかめた。
「早くします。しかし、婚約破棄のことは、あなたのお父さんの気持ちも考慮に入れる必要がある。そちらがあなたが責任を持って説得できるなら、私の仕事は楽」
全然人に頼みごとをするような態度ではありません。私は白目をむいて、宮殿を出ようとした。あいにく、宮殿に入ってきた第二皇子に見られてしまった。
こんな失礼な顔を見られるなんて、恥ずかしい…
第二皇子の表情に気づかず、おじぎをすると、私はそそくさと宮殿を退出した。
恩平姫に召された理由は、茶会の菓子作りを頼まれたからで、そのまま御膳房に向かった。牛乳、のりなどの食材は、最近よく使われていますが、宮廷の人にはやっぱりおかしいですね。皇室のお菓子に使われないほうがいい。
できればみずしんげんもちを作りたいのです。透明な外観に花びらが中心になっており、皇室の茶会にふさわしい風雅な外観をしています。でも前にも言ったように、この時代にゼラチンを食品として精製する技術はまだ発表されていないので、一番重要な食材、白涼粉、がいない。
素朴な外観の八ツ橋を作りました。八ツ橋は、上新粉、白玉粉、肉桂粉、砂糖などから作られる京都の土産菓子である。このお菓子は素材もよくあるし、味も受け入れやすい。皇都人の味を見るために、ナツメの餡入りの八ツ橋も作った。ナツメの実は果物の酸味があり、単純な砂糖の甘さに押されないため、さっぱりとしている。
恩平さまは、八ッ橋があまりにも粗末で、客をもてなすのには向かないという理由で、私が用意した八ッ橋を、茶会の前に全部食べてしまった。