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コレクトアンサー  作者: ジャーキー
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1話 平和な日常①

カンッ!!コンッ!!カッ!!

木刀の乾いた音が静かな草原に響き渡る。健やかな風がなびいている。日は優しく当たりを照らす。

そこには木刀で稽古している2人の少年と本を読んでいた1人の少女がいた。

1人の少年の髪は黒が強めの灰色で目は濃い黒の目をしている。もう1人の少年の髪は白色で目は綺麗な水色をしている。そして少女の髪は金髪でショート、目は茶色をしている。



黒い目の少年は足を肩幅くらいまで開き腰を下げ、片手で持っている木刀を前にし構えている。一方水色の目の少年は右足を後ろにし体を落とし木刀を両手で持ち突き刺すような構えをしている。

2人とも構えを解かずシーンとしている。

その時、急に強い風が吹いた途端 黒い目の少年は両手で木刀を構え直し踏ん張り始め、水色の目の少年は真っ直ぐ、黒い目の少年に目掛けて一直線で走った。

水色の目の少年は木刀を真っ直ぐ突き刺したが黒い目の少年は左に避けた。黒い目の少年はそこから木刀を顕になった背中に叩きつけるために上から振り下ろしたが水色の目の少年はこれを予期していたかのように前にある右足を回転をつけて無理やり黒い目の少年の懐に入った。水色の目の少年はそのまま脇腹に木刀を薙ぎ払った。黒い目の少年は薙ぎ払われた勢いのまま吹き飛んだ。


「僕の勝ちだね、これでライは101戦中100連敗だね」


「痛たたたた────それにしてもなんで勝てないんだよ、いい所まで行くのに───カイ、お前まさかずるしてるんじゃないだろな」


「ずるなんてどこにするとこがあるんだ?ただライが1発で決めようとしすぎてるからだよ、僕はもっと先のことを考えて行動してるだけだよ」


すると水色の目の少年──カイは黒い目の少年──ライに手を差し伸べた。ライはさっき受けた脇腹を抑えながらライはたった。


「ふぁ〜、やっと終わったの?」


すると1人の少女が眠そうに本を片手に持ちこっちに歩いてきた。


「ああ、終わったよ、まあ今日も僕の圧勝だけどね────あとサラ、寝癖ついてるよ?」


え、嘘っ!っと反応するやいなや自身の金髪に寝癖がないか手探りで探している。しかし寝癖見つからずあれ?あれれ?としていると突然ライとカイが笑いだした。


「な、何!そんなに私の寝癖が面白いの!?」


「いや違う違う、別のことで笑ってたんだ。──ぷ、ぷぷぷ」


「だ、ダメだよライ、──えーっとね、ごめん!本当はサラに寝癖なんてついてないんだ!──ちょっと眠そうにしてたからちょっとした出来心だったんだ──ってひえっ!」


カイが説明をしていると金髪の少女──サラから殺気を感じた。その裏には邪神でも取り憑いているんじゃないかと思わせるものだった。


「よ、よ、よよよよくも私を笑いものにしてくれたわね〜!!」


カイは命の危機だと感じ全力で走り出した。サラはカイを全速力で追いかける。それをライが追いかける。そんな何も無い日常がそこにはあった────


あの日までは──



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



ライたちが住んでいるのは世界で最も広く、最強の兵士が集う国デミンクルスにある辺境の小さな村クルッコに住んでいた。

そこには人が少ないものの村人一丸となり協力して生きていく生活があった。

その中でもサラのお父さん──シャウラは村の長でこの人が少ない村を全員不自由ないようにまとめていた。


ライとカイはおばさん──ヘンネと一緒に住んでいる。

ライとカイが小さい頃にこの村に来たと聞いている。その時の格好は泥で汚れボロボロなメイド服を着ていたらしい。

しかしなんでそんな格好をしていたと聞いても何も教えて貰ってはいない。


しかしライとカイの父と母はもうこの世にはいない、それだけは教えてくれた。


カーン、カーン、カーン

この村には大きい鐘が付いている教会があり、朝になるといつも鐘の音が響く。村ではそれが朝を告げる合図だった。

ライとカイは同じ部屋で寝ており、鐘がなるや否やバッとカイが起き続けてライが起きた。ライは左で寝ているカイを確認するやいなやため息をついた。


「今日も負けた……はっ!まさかお前鐘がなる前から起きてるだろ!」


「そうだよーって──まさか今まで気づかなかったの?」


カイはマジかと驚きを隠せない表情でライを見つめていた。ライはキョトンとしていた。そしてカイは1つため息をついた。


「だから勝てないんだよ、ライは………先のことを考えずに行動するから──僕は言ったよね、勝つためには最初に行動したその先を予測しないとダメだって……てかなんで弟の僕の方がそんなこと教えないといけないんだか………」


ライはそう言われて目を下にそらした。そしてカイに聞こえない声でぼそっと呟いた。


「ほんと、なんで俺が兄なんだろうな」


「ん?何か言った?」


「い、いや何も!何も言ってないよ!」


「そう?あ、そんなことより今日は街にサラを連れて3人で行くんでしょ?だから早く準備しないと」


「何かあったっけ?」


するとカイはムカときた。カイはライに瞬時によりライの胸ぐらを掴んだ。


「おらあ、なに忘れてんだよ!今日は街の祭りだろうがー!」


「あ、そ、そうでした…」


「あ、そうでしたじゃないよ!それに今日の祭りは国の兵士団がみんな集まるごく少ないお祭り、国王の誕生日を祝いする『生誕祭』なんだぞ!それにそこには年1回平民に顔を出すか出さないかの幻の最強の兵士ゴルゴッソ・バーン様が来るって言う情報もあるんだよ!それはもう行くしかないでしょ!さあ、早く着替えて支度して街に行くよ!」


「は、はい…」


カイは兵士団、特にゴルゴッソ・バーンのことに憧れている。そのためカイは「大人になったら兵士になる、そして生のゴルゴッソ・バーン様をずっと見てやる」と言うくらいである。


ライとカイは部屋から出てもう準備してある朝ごはんを前にして座る。キッチンにはロングヘアの黒髪で村では大人の美女と言われているライたちのおば、ヘンネが食器を拭いていた。


「2人とも、準備は大丈夫ですか?今日は街の方に行くんでしょ」


「大丈夫だよヘンネ、もういつでも行けるさ!」


カイは親指を立てた。ヘンネは安心したかのように微笑んだ。


「なら安心ですね、では馬車が出る時間に遅れないようにしながら朝食を食べましょう」


「うん!じゃあいただきます!」



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



それから朝食を食べ終えたライとカイは家を出てサラの家に向かった。サラの家は馬車が止まる停留所に近いのでそっちに行く途中によると言っていた。


「でもカイ、サラって早起き苦手じゃなかったっけ?いつも起きるのは昼前くらいだし」


ライはそういいカイの方を見ると汗がダラダラ出ていた。


「お、おい大丈夫か!?」


「うん……ライ、最初に言っとくよ、もしサラが起きなかったら僕はサラを置いていくよ」


「ははは………」


カイのことを考えたらそうだろうなとライは思っていた。というか絶対そうするだろうと思っていた。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「シャウラのおじさーん」


2人がサラの家まで行くと外にシャウラのおじさんが出ていた。なんか変なダンスを踊っていたが2人は見ないことにした。


「ライとカイか!久しぶりだな!それで今日はどうしたんだ?」


「今日はサラと一緒に街に行こうって話をしてたんだけど……もしかしてサラってまだ寝てるの?」


「そうだなー、私は鐘がなる前から外にいたから起きているか分からないかな──そうだ!なら君たちで起こしに行ってくれよ、そうしたらあいつも起きるかもしれないしな」


「じゃあそうするよ」


ライが行くぞと裏で時間を気にしていたカイに言うと何故かカイは顔を赤くしていた。


「カイ?大丈夫か?」


そう言われるとカイははっとなりあわわわとなっている。


「だ、大丈夫!女子の部屋って言ってもサラだし!べ、別に意識してるとかじゃなくて──」


「カイ……青春だな」


シャウラはうんうんと頷いている。ライは未だに何を言っているかよく分からずにいた。


「カイ、サラを大事に来てくれよ、あの子は怖いけどいい子だから──ぐえ!」


シャウラが話している途中に後ろから本が飛んできてそのまま頭にクリーンヒットした。その裏にいたのは普段見ないようなワンピースを着ていたサラの姿があった。


「何勝手に話進めてるのよお父さん!──ごめんねカイ、お父さんが変な事言って」


「いや全然いいよ──それより早起き出来たんだね、良かったー」


「やる時はやる女がこの私よ……とは言ってもお母さんにさっき無理やり起こしてもらったんだけどね」


だよなとライとカイは思った。するとライはそろそろ馬車が来る時間だと気づいた。


「カイ、サラ、そろそろ馬車が来るから急ぐぞ」


「うん、じゃあお父さん行ってきます!」


サラはシャウラに手を振り、ライとカイは会釈をしながら馬車が来るのを待つため停留所に向かった。


その時はまだ自分たちに何が起こるかなんて予想もしてなかった──


『1人以外は』


初連載です。暖かい目で見守ってください。

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