第7話 夜が明ける
俺は意識を戻す。すると周りには鬼の死体が転がっていた。だが夜鬼の死体は無かった。
やがて夜がふけ朝日が出てくる。くうせんの死体が魂に変わっていく。めがねと花姫の死体も魂に変わっていく。俺は魂たちをもって帰ることにした。
門をくぐるのは容易いことではなかった。式神が三人とも死んだのだから。
まず出迎えてきてくれたのは護衛二人だった。俺は頭を下げて謝る。そして自分の犯した罪を話す。
護衛二人は何も言わず父上の元に案内してくれた。
「よく帰ったな、政宗よ」
「ごめんなさい、父上。……くうせんを……死なせてしまいました。」
俺は地に頭をつけ、涙を溢しながら謝る。
「この若輩者が」
父上は叱りつける。長き沈黙が流れたあと、父上は静かに口を開く。
「くうせんを生き返らせたいのなら、我が申すことを成してみよ」
「生き……返る!?ぜひ、ぜひ、お願い……します…」
俺は泣きながら頭を下げた。
生き返るんだ。くうせんが。俺の大切なくうせんが。
もう母上のように誰も死なせたくなかったから。だからくうせん。俺は君を生き返らせる。
それに約束しただろ。お前をこれからも笑わせ続けるって。だから俺はどれだけキツイ練習でも、君を取り戻す。
平等院政宗。行け。進め。俺ならやれる。俺だからやれる。行くんだ。平等院政宗。
俺は自分を鼓舞し、死んでしまったくうせんを生き返らせるために、父上から与えられる試練をこなす。