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陰陽術の使い方  作者: 総督琉
災厄編ーー長安防衛戦
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第62話 長安防衛戦

 〈京都の離れにある長安〉

 十二夜叉大将の紫天狗(むらさきてんぐ)を筆頭に、六千の妖怪。

 ーー対ーー

 天龍寺に産まれた十二氏族の一人。天龍寺(てんりゅうじ) 信長(のぶなが)



 長安。

 そこは田舎とは呼ばれているものの、潜在されている能力が膨大である都市。

 その長安を守護するのが、畑や森が生い茂る中にひっそりとたたずむ寺。


 ーー天龍寺


 そして今、天龍寺家を囲むように、六千もの妖怪が長安という土地全土に進行を開始している。


「お前ら。農民どもは生かしておけ。殺すのは陰陽師だけでいい。しっひっひっひ」


 そう笑うその妖怪に、陰陽師は術をぶつける、


「ちっ。誰だ?」


「天龍寺信長。ここの守護者だ」


 巨漢の大男、天龍寺信長はそこに立っていた。

 その天龍寺信長に対するは、反々目(たんたんめ)。人の形をした紙に、無数に目がついている妖怪。


「お前。俺の能力を知らないのか?」


「知らねーよ。貴様ごときの力など」


 そう言われると、反々目は勝てるとばかりに笑う。


「じゃあ死ね」


 反々目は天龍寺信長に向かって走る。天龍寺信長は木の根を操り、反々目を拘束する。


「バーか。紙火眼(かみかがん)


 反々目は天龍寺信長を直視する。


 なぜか。

 反々目の能力は見た相手を紙にするという能力。つまり反々目は天龍寺信長を紙にしたと思い、盛大に笑う。


 反々目は近場にいる妖怪たちにこう告げる。


「お前ら。紫天狗様に言っとけ。この反々目様が天龍寺信長を倒したと」


「了解です」


 そう言って、下っ端の妖怪たちは紫天狗にそのことを伝えに行く。

 だが、反々目は感じた。

 背後から感じる殺気を。


「天滅」


 反々目の足下は赤く染まると、地面が膨れ上がって天に向けて獄炎の柱が出現する。

 その柱は反々目を呑み込み、即死させる。


「金というのは己を変化させる技。ならば、紙になった体をもと通りにするのは簡単だ」


「くそおおおおおおおおお」


 反々目の虚しい声がこの静寂な森の中に響く。


「ポソポソさんも相当ば数の妖怪を倒してくれただろうな。なら俺は紫天狗とかいう雑魚を倒しに……」


 天龍寺信長は言葉につまる。

 なぜか。

 それは獲物を見つけたからでも、恐怖を感じたからでもない。


 ーー死


 それを感じたからだ。


 天龍寺信長は体をびくともさせず、その圧倒的恐怖の正体である背後の存在を恐る恐る振り向く。

 そこにいたのは、紫色の羽を生やし、天狗のような姿をした妖怪。


「ワシが紫天狗。十二夜叉大将の一角蛇四(じゃよ)


 天龍寺信長は口を動かすどころか、指先の一本すら動かすことを拒まれる。

 彼から発せられる殺意は、恐怖すら感じさせないまでに圧倒的である。


「ワシを怖がっておるの蛇七(じゃな)。安心せえ。楽に殺す」


 そう言うと、紫天狗は背中の羽についている小さな羽根を一本抜き取る。

 すると、その羽根は大きくなって鋭利なものとなる。


「さあて、と。始めようか」


 紫天狗は天龍寺信長の首に、鋭利な羽根で刃を振りかざす。


「あ、終わっちゃね」

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