第43話 本命の登場
俺とくうせんは大蜘蛛を倒し、悲鳴が聞こえてくる場所に急いだ。
俺たちがついた場所は建物が左右に均等に建てられていて、道はすごく狭い。
目の前では、親と思われる女性が子供を抱えながら真っ赤な子供の姿をした妖怪に燃やされかけていた。
「火を操る妖怪か!」
「白刃一閃」
くうせんはその真っ赤な子供の妖怪の首を跳ねたかに見えた。だがそんな簡単にやられるはずがない。
真っ赤な子供の妖怪の跳ねられた首は再び体に戻る。
「再生能力!?」
「俺は赤坊主。京都七不思議の一人だ」
突如、赤坊主は自分の名前を告げる。だがそうしている間にも、くうせんは二人の親子を抱え、建物の中に隠した。
その後、くうせんは子供ほどの身長の赤坊主の首に刀を当てる。
「自らを人と数えるか。この化け物が」
「な、何だよお前!」
「私は人だ。貴様のような化け物とは違う人である。次、自らを人と名乗るようなことがあってみろ。その時は殺すぞ。というか今殺す」
くうせんは再び赤坊主の首を跳ねる。だが飛び散った赤い血や肉片は一片残らず元の位置で甦る。
くうせんは俺のもとまで後退する。
「不死の力と火の力か。どうする。くうせん」
「政宗。多分この妖怪は不死ではありません。ただ不死を演じているだけです」
「不死を演じる?」
その言葉の意味が分からず、思わずくうせんに聞いた。
「簡単に言うと、私が斬ったのは火です」
「火!?」
やはり理解することができない。だって俺が見ていたのは確実に赤坊主の頭だ。それをどう見間違えたら火が頭に見える。
「政宗。多分あいつの火にはそのような力があるのでしょう。だから我々の目も欺けたということです」
「じゃあ実体は火を使ってどこかに隠れているのか?」
「はい」
俺は耳がいい。だから小さな音でも聞き取ることができる。
俺は耳を澄まし、目をつむる。
右の屋根の上の方に小さな足音。
「滅」
俺は足音が聞こえた場所に滅を放つ。予想通り、そこには赤坊主の実体がいた。
赤坊主は滅をまともにくらったことにより消滅した。どうやら屋根の上に隠れていたのが実体らしい。
やはり弱すぎる。この程度で江戸の七不思議を殺れるか?
考え込む俺のもとに、雪女と影女が颯爽と戻ってきた。
「政宗様。すでに暴れていた四匹の妖怪を倒しました」
「政宗様は二匹倒したので、残りは一匹です」
京都七不思議はそんなにも弱いのか?もしくわ……最後の一匹が……。
俺は薄々勘づいてはいたが、どうやらその勘は宛になるものだったらしい。
鬼頭人体の化け物がこの狭い道に現れた。
その妖怪は誰もが知っている妖怪であり、普通の人間ならとっさに逃げている。
その妖怪は頭に二本の大きな角を生やし、炎を体に纏っている。胴体にはばりばりの筋肉がついており、腰に二本の剣を携えている。
「まさか……」
「七百年の間人として生き、死んでも彼は妖怪となり生き続けた。そして彼は人間だった頃、龍を素手で殺したほどの強者」
「まさか……鬼童丸。世界最強の妖怪」




