第34話 式神
俺を殴ろうとしていた百々目鬼阿修羅の拳は消滅していた。
「何!?」
妖怪の王は驚いていた。百々目鬼阿修羅も同様だ。そして百々目鬼阿修羅の体がどんどん凍っていく。
「獣よ」
「その汚い手で我が主に触れるな」
雪女と影女が百々目鬼阿修羅に退けをとらず、戦いを始めた。
「雪女。影女。お前ら何をしてるか分かってるのか?」
「私たちはもうあなたの仲間じゃない」
「私らの主はこの陰陽師です」
妖怪の王に雪女と影女は反逆する。
「ありがとう 」
俺は嬉しくなり、心の奥底から湧き出す感謝を身に染みて感じていた。
「いえいえ」
「こちらこそありがとうございます」
「ヴぉオオオオ」
感謝し合っている間にも、百々目鬼阿修羅が影女に殴りかかる。
「影入」
影女が影の中に入った。
百々目鬼阿修羅の拳は空を切り、お手本と思うほどの空振りをする。
その隙を見逃さず、雪女は攻撃を仕掛ける。
「雪狼」
雪女が手を合わせ、百々目鬼阿修羅に向かって雪で造った狼を飛ばした。百々目鬼阿修羅は足で蹴るが雪狼が足で弾け、百々目鬼阿修羅の足が凍る。
百々目鬼阿修羅はバランスを崩し欠けるが、体勢を整える。
「これで右手と左足を封じた」
「百々目鬼阿修羅よ。案外チョロいな」
雪女と影女の猛攻に百々目鬼阿修羅は耐えきれなくなっていた。
「ヴォオオ……ヴォヴォ……」
百々目鬼阿修羅はもうくたくたで倒れる寸前だ。
「そもそも体が耐えられなかったか」
妖怪の王はボソッと呟いた。
もう負けると判断したのか、妖怪の王はどこかへ消えていった。
「どこへ行く?」
「黙ってろ。紫天狗、大和大蛇。あいつらを殺せ」
「はい」
「シャアアァァ」
紫色の天狗と髪の毛が蛇の男がどこからともなく現れた。
「陰陽師。行け。あいつらは危険だ」
紫天狗と大和大蛇はまがまがしいオーラを漂わせていた。いかにも強者って感じだ。
多分まともに戦えば死ぬ。
「十二夜叉大将か?」
「陰陽師。分かってるなら逃げてくれ。俺も十二夜叉大将の一人だ。だから殺りあえない相手じゃない」
「でも……」
俺は戸惑いを隠せないでいた。それを見かねた土蜘蛛は、ある行動に出る。
「もろい地面だな。風魔の霊符の用意をしとけ。"土落とし"」
土蜘蛛は地面に手を当て、地面を溶かした。すると俺たちは天空に浮く城から落ち、空に丸投げされる。雪女と影女も一緒だ。
「やばい」
気づいたのは空に投げ出されてから十秒後のことだった。
(腰にあるはずの霊符の袋が無い!)
俺たちは天空から地面に叩き落とされる。
「終わった……」




