第32話 妖怪二人
俺たちは見張りの妖怪を全て倒して、出口を探していた。だが……
「広すぎだろ!」
この城はあまりにも広く、それに迷路のようになっていて同じ道を何回も行き来している。
「このままじゃ出れんぞ。土蜘蛛、この城の出口を知らないか?」
「多分なんだが、この城は壁が動くから毎回道が変わる。だから俺たちは同じ道を通ってるんだ」
「じゃあ出れないじゃないか」
「いや。方法はある。この城は10分に一回道が変わる。そして……」
ドドドと、大きく何かが動く音が聞こえる。
「何だこの音?」
「また道が変わった。走れ。道が変わる前に」
土蜘蛛が走り出したので俺も一緒に走る。
「あそこだ。あそこを曲がれば」
そして土蜘蛛が指差した角を曲がると……爆発音が辺りにこだまする。
「な、何だ?」
爆発し、煙を上げた場所から二匹の妖怪が現れた。
「私は影女」
「私は雪女」
「「二人合わせてキューティフルシスターズ」」
「かわいい」
土蜘蛛が二人を見て、にやつき固まっていた。
「土蜘蛛。しっかりしろ」
「影蜂」
「雪蜂」
影と雪が弾丸のように襲いかかってくる。俺は土蜘蛛を護るため、陰陽術を使う。
「土。"壁"」
俺は魔土の霊符で土を出現させ、その土を操り壁を造る。影と雪の弾丸が土に当たり、砕ける。
「やるな」
「だがここまでよ」
「「大雀蜂」」
影女の影蜂と雪女の雪蜂が組み合わさり、大きな玉となり、襲いかかってくる。
土で壁を造ったが一瞬で崩れた。そして影と雪が混ざり合った大きな玉が俺たちに向かって進む。
「滅」
滅を影と雪が混ざり合った大きな玉がぶつける。大きな玉ははじける。
「やるな」
「だがここまでよ」
影女と雪女の攻撃は止むことを知らない。
影女と雪女が手を重ね合わせた瞬間……
「土隸」
影女と雪女の首に土の首輪がかかる。
「土蜘蛛!」
「この技で捕らえられた者は、主を裏切った場合、体が土になって死ぬ。死にたくなきゃ俺の指示に従え」
土蜘蛛は狂気の目で雪女と影女を睨む。さっきまでのにやけ顔はどこに行ったのやら。
「従います」
「だから殺さないでください」
影女と雪女はあっさりと見方になった。




