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陰陽術の使い方  作者: 総督琉
都市神編
23/161

第23話 奇策と執念

疾風(しっぷう)蹴り」


 速い。風鈴の蹴りが見えなかった。その蹴りは、俺の顔を直撃する。俺は剛を張る暇すらなかった。

 再び風鈴の蹴りが俺に向かってくる。


「疾風蹴り」


「剛」


 俺は全身を固くする。だが風鈴の蹴りが届くよりも速く、俺は吹き飛ばされる。


「何をした?」


「風圧でお前を飛ばしただけ。その程度のことなんだ。理解しろ。これじゃお前はすぐに死ぬ」


 風鈴は強すぎた。俺では到底敵わない。


「疾風短剣(ナイフ)


 きっと風でナイフを造ったのだろうが、目で見ることが出来ない。何も見えないことに混乱したが、右手に何かを握っているようなので、俺は右手に気をつける。が、


「ああぁぁぁぁ」


 響き渡る俺の悲鳴。俺は腹を何かで刺され、もがき苦しんでいた。血を止めるため、癒で傷口を塞ぐ。


「次は右足をもらう」


「壁」


 俺は見えない攻撃を防ぐため、土で壁を造るが、


「土で壁を創ろうとも無駄だ。行け」


「うわっー」


 右足を何かで刺された激痛。その痛みに膝を地につけ、頭も地面につける痛くて顔をあげられない。


「宣言通り右足をもらった。次は左肩をもらう」


「剛」


 俺は左肩極限まで固くした。防ぐ方法がこれしかないからだ。


「体を固くしようとも無駄だ。疾風(ランス)


「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 左肩を何かで貫かれた。俺は様々な場所から流れる血を見て、己の弱さを思い知った。


 相変わらず、俺は弱いな。どうしていつもここまで惨めな思いをしなければならない。安倍晴明のように強くなれたなら。


 そこで俺は奇跡的に閃いた。


 体をいくら固くしようとも貫かれる。なら…


「捨て身で突っ込んでくるか、終わりだ。疾風槍葬(そうそう)


「滅」


 俺は地面に向けて、滅を放った。多少の煙が周囲を隠し、俺はその瞬間を逃さない。


「その程度で私の攻撃は止められない。な!?」


 今頃気付いてももう遅い。


 煙が立ち去った頃、既にリング上には俺の姿は無かった。

 その異様な光景の謎を、風鈴はすぐに悟った。


「なるほどな。砂ぼこりでお前が見えなくなる。その隙に地面に(もぐ)ったと言うわけか。さすがだ」


「土城」


 土の塔が、風鈴目掛けて一直線に襲いかかる。

 俺は十二神明王の式神が使っていた技で、風鈴を上空に吹き飛ばそうとする。


「土を私に一直線でぶつけてくるか。だが甘い」


 まだ俺には十二神明王に叶うほどの力は無い。でも、今ここで全てを出しきれなければ、負けたくないんだ。


「土花火」


「土が……砕けた!まさか、土城の中に入っていたのか」


 土が撒き散らす砂ぼこりで、風鈴の目を塞いだ。そしてここからは俺の執念を思いっきりぶつける。


「爆破の霊符」


「疾風短剣(ナイフ)


 俺が爆破の霊符を風鈴に向けて投げると、大爆発が起き、再び周囲は砂ぼこりという目眩ましに覆われる。。


「んっ?」


「どうしました。カイラ様」


「あの霊符。そこまでの威力は無かった気がするのだが」


「多分あれを使ったのではないでしょうか」


 カイラと女迦の会話。その間にも風鈴は風を操り、砂ぼこりを周囲に散らせた。


「なんだこの威力。おい。私の風が消えたぞ」


「霊符に俺の力を込めただけ」


 俺は風鈴に言った。


「それだけか」


「ありったけを」


 俺は霊符に、今込められる自分の力の全てを送り込んだ。だからあれほどの威力が出せた。


「そうか、そうか。よく頑張ったな。人間。だがもう終わりにしよう」


「俺が負けたなんて言ったか」


「そこまで力を使って動けるのか」


 どうやら風鈴は俺が力を使いすぎて、動けなくなったのかと思っているらしい。だがそれは違うy。


「いいから来いよ。腰抜け」


「疾風槍葬(そうそう)


「金"超合金"」


 俺は全身を最強の金属ほどの固さにし、見えない風鈴の攻撃も滑降から受け止めた。


「貫けない!? 何をした?」


「強化の霊符を使っただけだ」


 強化の霊符で自分の陰陽師としての力を限界まで強くした。己の力とは言えないが、勝たなければ意味が無い。


「強化の霊符を使ったからといって、そこまでの固さ()を引き出せるわけが……」


「俺には制御出来ないほどの膨大な力がある。それを使っただけだ」


 俺の中に眠る力は強大だ。誰にも止められないだろう。


「それを……使ったのか?」


「正解だ。負けを認めるか、死ぬか、選べ」


 風鈴は逃げる。だが俺は逃がさない。


滅檻(めつおり)


 火を風鈴の周囲に張り巡らした。これで逃げ場を封じる。


「周りを滅で囲んだか。負けだ」


 カイラが飛んでくる。


「見事勝利だ。その力を見込んで、今から妖怪退治に行く。いいな?」


「いきなりか!だが、全員ぶっ倒して、世界を救ってやりますよ」


「ついて来るがいい。覚悟を持って敵に挑め」


「はい」


 そして平等院政宗達は怪奇山に向かうのであった。

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