第18話 龍が降る
「暴風」
何かによって、酒天童子が起こした爆発が跳ね返された。その何かは"風"?にしては威力が強すぎる。
「君達、大丈夫か?」
「あっ、まあ」
誰だ、この人。鼻が長く、羽が生えていて、下駄を履いて、手には大きな葉っぱを持っている。まるで天狗だ。
「酒天童子。君はもう負ける。大人しく捕まったほうが身のためだ」
「バカか。お前らは舐めすぎだ。俺達を」
酒天童子が言うとともに、戦場に新たな鬼が現れる。
「また乱入者か!」
あれは……夜鬼!
「まだ生きてたのか。くうせんとやら」
「お前こそ生きてたんだな。夜鬼」
くうせんは夜鬼に張り合うかのように、夜鬼に刀を向ける。
「油断するなよ陰陽師。百鬼夜行は既に始まっている」
「百鬼……夜行?」
その言葉は聞いたことはあったが、その意味は知らなかった。だが周囲から聞こえる足音は、トラウマを思い出させる。
「気を付けろ。ゲホッ。百鬼夜行は百の鬼が夜を暴れ、町を壊す。簡単に言えばそうなる。ゲホッ」
カグレの発言で、俺は確信をした。やはり周囲から聞こえるこの足音は、鬼の群れだ。
鬼の群れが俺たちを囲んでいる。
「大丈夫か。カグレ」
くうせんはカグレに駆け寄る。
「少し腹を斬られただけだ。安心しろ」
腹を斬られてそんな喋れるほうがおかしい。カグレは少しずつ息が荒くなってくる。喋ったせいだろう。
それでも都市神の意地を見せるかのように、ゆっくりと立ち上がる。
「刹那暴風」
天狗は葉っぱを振り、高速で巨大な風の渦を生み出す。風の渦が進めば地面がえぐり取られていく。容易に近付けない威力。
触れた鬼が次々に消滅していく。
「強い!」
「今の内に逃げるぞ。ゲホッゲホッ」
俺はカグレを連れ、まだ壊れていない寺の奥に進む。そこには結界が張ってあり、妖怪が容易に近付けないようになっている。
その時、空が荒れ始め、雷の音が響き渡る。何かと思い、俺は空を見上げる。
「龍が……龍が……降りてきた!」
龍は大地を壊して進み、辺り一面を野原と化す。これが妖怪の中でも上位の存在。
これが最強の"天変地異"。
そこにいた者は、誰しもが絶望を抱いた。




