第16話 鬼と鬼
酒天童子が鬼たちの先頭に立つ。そして腰に巻いていた酒を取り出し、酒を手に垂らす。
「鬼剣舞」
手に垂らされた酒が形を変え、2本の剣の形に変わる。
「あれが……酒天童子の術!」
「壁」
何が来るか分からないので、土を使い壁を張る。
「下がれ、君達」
カグレが叫ぶと土の壁が壊れる。土の壁を壊して、酒天童子は襲いかかってくる。
「鬼海星」
カグレの手が6本に増え、金棒も6本に増える。これがカグレの術か。
カグレの金棒と酒天童子の剣が何度も混じり合い、壁や床を壊していく。一進一退の攻防。カグレがやや優勢に見える。
カグレが6つの金棒を一直線に突く。
「鬼道波」
すると一直線に地が削られていく。酒天童子は顔にかすり傷を作りながらも、よけ、巻き込まれた後ろの鬼が消滅していく。
これが鬼同士の戦い!
すると酒天童子腰に巻いているが酒を出し、剣にかける。
「龍泉 八重桜」
剣はさっきとは変わって、明らかに大きくなっていた。その剣を使い、酒天童子が回転しながら斬り込む。
カグレは受け流したかに見えた。だはカグレは腹から血を出し、膝を地につける。
「カグレが……!?」
都市神が酒天童子に……。
「滅」
俺が出した火を、酒天童子は華麗に避ける。
「当たるかよ」
酒天童子はこちらに向かってくる。
「くうせん。いけるか」
くうせんは小さく頷く。
すまない。また死なせるかもしれない。だけど、ここでカグレを見殺しにしたら自分を信じられなくなるんだよ。
拳を握れ。足を踏ん張らせろ。気合いで圧倒しろ。
俺は滅を拳に纏わせたままにする。
「君、この酒天童子様を楽しませてみろ」
「酒天童子」
俺は酒天童子を睨み、叫ぶ。
「滅拳」
滅を纏わせた拳を、酒天童子に振るう。
俺はもう、何も失いたくない。届く範囲なら、俺は助けに行く。だからこの拳を、あの酒天童子に届かせる。
「おりゃぁぁぁ」




