第14話 都市神対政宗
俺は都市神を倒した……
「おいお前。今のはなかなか良かったぞ」
煙の中から、都市神がほぼ無傷の体で出てきた。
「滅をまともに喰らって生きてるわけが……」
「お前の滅は弱いんだよ。この程度でよく都市神に挑もうと思ったな」
俺と都市神では、力の差は一目瞭然だった。勝てる気がしない。
「滅」
都市神は避けようともせず、俺が放つ火をその身で受け止める。なのに……倒れない!
「まだ倒れんなよ。クソガキ」
都市神の動きがさっきより速くなった。いや、違う。手を抜いてただけだ。でなきゃこんなに強くない。
都市神は思いっきりジャンプした。
「鬼に金棒」
着地と同時に、金棒で地面をぶっ叩く。観音堂が粉々に壊れていく。
「壁」
五行の一つの"土"を使い、壊れていく観音堂から自分の身を護る。
「はあぁぁ、はあぁぁ」
俺の息が荒くなってくる。術を使いすぎて体力を消耗したからだろう。
「生き返らねえな、お前の式神は。どうせお前の式神もお前みたいに弱かったんだろうな」
都市神がくうせんを知りもしないのにバカにする。
「何だと」
俺は憤怒に我を忘れる。
「身固めもしてないお前に誰が負けるんだよ」
「黙れ」
「お前じゃ、お前みたいな雑魚じゃ、都市神には克てないんだよ。どうせこれから多くを失っていくんだよ」
都市神の言葉で俺は過去にあった事件のことを思い出す。
「政宗。ごめんね。あなたを、こんな目に遭わせてしまって。でも大丈夫。お父さんがちゃんと護ってくれるから」
俺と母上はどこかの古びた小屋に隠れていた。それでも俺は襲われるのではと怖かった。
「母上……」
俺の予想は当たってしまい、謎の男が小屋を丸ごと破壊した。そしてボソッと呟いた。
「見つけた。奇跡の子たちの一人。平等院政宗」
そのことを思い出し、俺は目の前が真っ白になった。
やがて俺は目覚めた。
頭の下に妙な感覚があった。プニプニしていて、どことなく優しさを感じる暖かさがあり、眠るにはすやすやと眠れる、そんな何かだった。
「大丈夫ですか。政宗さま」
聞き馴染みのあるとある女の声だった。




