第13話 都市神
俺は長い時間を掛け、五行全てを習得した。
「よくやった」
父上は褒めてくれた。
だがくうせんを生き返らせるといっても、どうやって生き返らせるのだろう。
そんな俺に、父上はその方法を教えてくれる。
「都市神の所に行け。お前の実力次第でくうせんは生き返る」
実力次第という言葉に違和感を感じつつ、もう一つの疑問を口にする。
「その都市神とやらはどこにいるんだ?」
「ここから北にまっすぐ進むと観音堂という寺が見える。そこに都市神がいる。都市神はその土地を支配し守る存在である……」
俺は父上の話を最後まで聞かずに観音堂に向かう。くうせんの魂の灯火が尽きる前に、くうせんを生き返らせたかったから。
辺りが暗くなってきた頃、俺は観音堂に着く。観音堂の中には祭壇があったため、俺はそこで土下座をする。
「都市神様。くうせんを生き返らせてください」
すると二本の角が生えた人の姿をした者が現れる。まるで鬼だ。その都市神は急に襲ってくる。俺は即座に避ける。
「何するんだ」
「生き返らせたかったら俺に勝て。ただそれだけだ」
その時察した。父上が俺に力を教えてくれた事も、俺に陰陽師について教えてくれた事も。このためだったのだと。
「滅」
都市神は俺は放った火を避け、両手で振るう金棒での一撃が腹を直撃する。金を発動させる隙すら無かった。
これが………都市神!
俺は観音堂の壁に思いっきり衝突する。一瞬で居敷が飛びそうになった。
俺はすぐに起き上がる。
「癒」
腹の傷を治す。だが完全には治らない。今は痛みを抑える程度しか出来ない。
だが都市神は休憩させる時間を与えまいと、金棒を握り、俺に殴りかかろうとする。
「滅」
俺が放った火を都市神が金棒で跳ね返す。
「壁」
咄嗟に土を発動させる。壁に火が衝突し、壁は砕けて煙が周囲を渦巻く。
「強い!」
一筋縄では行かないな。
火は妖怪を滅し、木は敵を捕らえる。土は周囲を守り、金は己を変化させ、水は傷を治す。これが五行。今まで教わったことを全力で放つ。
「縛」
都市神を観音堂の床を破り、地面に生えている根で足を捕らえる。だが都市神は暴れだす。
「壁」
都市神の周囲を土で囲み、動きを封じる。
「滅」
土の壁の天井にだけ空洞を造っておき、そこに最大の炎を放つ。爆炎が壁を破壊して、煙が観音堂を埋め尽くす。
「勝っ……た?」
五行とは
・火
………火は妖怪を滅する火を生み出す。火を使った技には"滅"などがある。
・水
………水は生物を癒す力。技には"癒"などがある。
・木
………木は自然を操作し敵を捕らえる。技には"縛"などがある。
・土
………土は地を操作し目標を守る事が可能。技には"壁"などがある。




