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陰陽術の使い方  作者: 総督琉
真実の過去編ーー巨大植物編
110/161

第110話 火炎の拳

 鬼鶴は拳に火炎を纏わせ、鬼童丸は二本の剣を構え、鬼鶴へと飛び込んだ。


「二刀流『切月』」


 鬼童丸は二本の剣を交差させて振り上げて斬る。

 鬼鶴は体を"金"で頑丈にさせ、鬼童丸の刃を体に通させない。そして鬼鶴は拳をひき、鬼童丸の腹を殴る。火炎が鬼童丸の腹を焼き、鬼童丸は後方に吹き飛んだ。だがすぐに体を回転させ、鬼鶴の側頭部に蹴りを入れる。


 鬼童丸は後方へと距離をとり、前方にいる鬼鶴を警戒する。

 鬼鶴は鬼童丸を警戒しているが、それと同じくらい鬼童丸は鬼鶴を警戒している。それが強者同士の戦いである。


「お前。なかなか強いな」


「平等院家であろうと、我が修練の成果に勝つことはできんぞ」


「お前も十二氏族のことを知っているようだな」


「まあ俺も十二氏族の者と関わりがあるからな。それよりも、俺とお前ではすぐに決着がつくだろうな」


「俺の勝利か?」


「いいや。俺の圧勝だ」


 鬼童丸は一瞬で鬼鶴の背後に周り、剣で鬼鶴の背中を切り裂く。だがその硬さに鬼童丸の剣は砕け、鬼童丸は剣を捨ててさらに高速で動いて鬼鶴の視界に自分をいれない。

 縦横無尽に駆ける鬼童丸を、鬼鶴は捉えられないでいる。


 いつ、どこから襲ってくるかも分からない敵に動揺しながらも、全身を硬くさせている"金"という術に自らを託す。


「『蓮脚(れんきゃく)』」


 鬼童丸は足に紅蓮の炎を纏わせ、背後からその足で鬼鶴を蹴る。

 だが鬼鶴はその気配に一目散に気づき、振り返って目の前にいる鬼童丸へ火炎を放出する。


「『滅炎』」


 火炎が鬼童丸を焼き尽くし、鬼鶴はさらに攻撃を仕掛ける。


「『滅龍』」


 龍の形を成した火炎が鬼童丸へと進み、鬼童丸の体を吹き飛ばして壁へとぶつけた。

 血を吐き倒れる鬼童丸。

 とどめを刺そうと鬼鶴が拳に火炎を纏わせると、一人の陰陽師が起き上がる。


「『結』」


 鬼鶴の手は氷に包まれ、そのまま全身へと広がる。

 命の危機を察した鬼鶴は、全身に火炎を纏わせて氷を水と化した。


「あ、危ない……」


 鬼鶴は自身を追い込んだ相手の正体を見る。

 その男は、五行ではない氷をなぜか自在に操れる男ーー江戸城雪片。


「鬼鶴。久しぶりやな」


「やはり見間違いではなかったか。世界を牛耳る者ーー雪片」


「物騒な言い方はよしてくれよ。俺とお前は共に十二氏族に選ばれた、言うなれば誰よりも強い陰陽師であり、誰よりも強い絆で結ばれた関係なのだから」


「お前……。裏切り者のくせによく堂々と口を開けるものだな」


 鬼鶴は雪片に鋭い眼孔を向ける。だが、その眼孔は雪片の冷徹な眼孔に跳ね返される。


 威圧だけではない。

 彼は、江戸城雪片は、計り知れない力を有している。


「鬼鶴。見てみろよ。端っこにある寺雷の凍った姿を。あの程度の強さでよく十二氏族が務まるよな」


 円形のフィールドの端っこには、寺雷が凍りついた姿でそこにいた。

 鬼鶴は無言で寺雷のもとまで歩き、寺雷の体に手を当てる。


「無駄だ。寺雷だけは念入りに凍らせておいた。その氷を溶かせるわけが……」


 だが、寺雷の体は一瞬にして氷から解放される。

 今の鬼鶴は、誰よりも怒り、誰よりも恐ろしい。


「その蛮行、耐えるこちらも限界だ」


 龍の仮面をつけた平等院鬼鶴。

 さらにその背後には、鼠や虎など、動物の仮面を被った十人の陰陽師が姿を現した。


「十二神明王。その我らが、貴様の腐った野望を粉々に砕いて、永遠の罰に帰してやる」

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