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超常ポリスは眠らない〜異世界警察と天蠍の王女〜  作者: 白谷毛虫
第二章 超常警察官
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第十五話 『引っ越し』

「獅堂サク⋯⋯あなた本当に警察官だったのね」


 朝礼から戻ってデスクの椅子に腰を下ろした矢先だった。背後からの声に振り返ると、オフィスの入口に絵麻が立っている。きっとすぐに後を追いかけて来たのだろう。


「おう、月岡! 入れよ」


 鼠入は予期せぬ客人を招き入れて、ニヤニヤとサクの様子を伺っている。絵麻はともかく、そんな鼠入も面倒くさいなと内心思いつつサクは顔を上げた。


「⋯⋯あんたか。そう言ったでしょ。なんか用?」


「頼みたい事があるんだけど。あなた『超常被疑者』専任の捜査官なんでしょ?」


「まあそんなもんかな⋯⋯」


 すると絵麻は制服の内ポケットから一葉の写真を取り出してそっとデスクに置いた。


「何?」


 と、視線を落としてハッと息を呑む。


「——この人を探して欲しいの」


 そこに写っていたのは誰よりも知る人物だった。捨て去った過去。もう戻る事が出来ない自分自身——朔太朗。写真は懐かしい警察学校時代のものだった。


 サクは動揺を隠すのが精一杯で声が出ない。


「私の同期。地域課の『千光寺朔太朗』っていうんだけど。『超常被疑者』との格闘後、精密検査中に行方不明になったの」


「そう⋯⋯」

 

「化け物絡みの事件に巻き込まれているのかも。あなたなら何か分かるかもしれないと思って⋯⋯」


「⋯⋯」


「どんな些細な事でもいいの。ご家族もとても心配しているから⋯⋯。じゃあ、よろしく!」


 そう言い残して絵麻は足早に部屋を後にした。直後、鼠入が椅子に腰掛けたままキャスターを転がせて滑り寄って来る。


「愛されてるなぁサクちゃん!」


「そんなんじゃないですよ。同期を心配するのは当然でしょ?」


「⋯⋯本当、お前は鈍いよな」


 鼠入はつまらなそうに背中を向けた。



 その後、獅堂からオスプの方針について説明があり、最後に突然直近の予定を告げられた。


「という訳で二人とも、明日から一週間、機動隊で訓練してもらう!」


「え!?」


 面食らっているサクに反して鼠入が興味津々に質問する。


「何処の隊ですか?」


「立川だ」


「って事は四機だな」


「四機?」


 サクが聞き返した。


「お前知らないの? 警視庁第四機動隊『鬼の四機』。訓練の厳しさは名前通りだけど、近代五種部やフェンシング部といったオリンピックを目指したクラブがあるのが他の隊と毛色が違うところだよな」


「俺、機動隊の事なんて考えた事もなかったな⋯⋯。で、なんの訓練なんです署長?」


「それは行ってからのお楽しみだ。活動服を貸すから持参して行ってくれ。明日は朝一に四機の庁舎に到着しているように」


「「はい!」」



 それから時間は平穏に過ぎていった。

 初日は装備及び備品のチェック、さらにオスプに回された捜査資料の確認に終始した。


 やがて定時が近付いた頃、再び獅堂が部屋に現れた。獅堂はそのまま真っ直ぐサクのデスクに向かうと、


「サク君! 君の新しい部屋を用意したよ」


 と、徐に取り出した茶封筒を手渡した。


「これは?」


「中に地図が入っている。ホテル暮らしも退屈だろう。早速今夜から入居してくれ」


「え? 今からじゃ何の用意も出来ませんよ!」


 引っ越しには何かと物入りだ。車の手配も必要だし出来れば人手も借りたい。


「なあに、最低限の調度品は準備してある。今夜の食事も気にしてくれなくていいぞ」


 その言葉からサクは新居について何となく想像する。


「なるほど、家具備え付けタイプの部屋という事ですね? 食事付きの寮ならありがたいです!」


「そんな所だ。よろしく頼むよ!」


 ご機嫌で帰って行く獅堂の背中を見送りつつ、サクは、突然の引っ越しに思いを巡らせていた。




 勤務を終えたサクは、獅堂の言葉通り地図の場所に向かうことにした。

 まずは朔太朗失踪後から仮住まいにしていたホテルの一室に戻り荷物をまとめる。それからチェックアウトを済ませ最寄り駅から二駅分電車に揺られた。


 ジャンプすればひとっ飛びの距離なのだが、能力の私用は制限するよう獅堂から強く言われている。悪目立ちする金髪も人目に触れないようニット帽で隠すようにしていた。


 下車したら再び徒歩移動だ。地図を確認しながら大通りを進み、さらに一本入り込んだ先の閑静な住宅街地の一画で足を止めた。


「ここ⋯⋯だよな?」


 サクは辿り着いた建物を見上げて不安な気持ちになった。白い鉄筋コンクリート製の三階建の住宅に、同素材で統一された門併用のシャッターゲート。どう見ても寮という雰囲気では無い。


「表札はなしか⋯⋯」


 門に移動し辺りを確認しても表札は見当たらず、インターホンが設置してあるだけだった。


「しょうがない」


 と、恐る恐るそのボタン押す。呼び鈴が鳴り、程なくしてスピーカーから男性の声が応えた。


「いらっしゃい。入って」


 どうやらカメラでこちらの姿を確認しているようだ。


「は、はい」


 門を通るとすぐ玄関だ。サクはそこで再びインターホンを鳴らそうと指先を向ける——。

 それと同時に突然ドアが開き勢いよく飛び出してきた人物と対面してサクは目を丸くした。


「——署長!?」


 目の前に現れたのはエプロン姿の獅堂だったのだ。


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