秋月メモ:キョンシー
中国の死体妖怪の一種。満州族の正装の姿であることが多く、死後硬直した身体は関節を動かすことが出来ないので跳ねて移動する。血の抜けた青い肌と視力を失った白い目を持ち、代わりに人の口臭を嗅覚で感じ取って動くとされる。また、長く伸びた鋭い爪には毒を持ち、吸血鬼やゾンビのように生者の首に噛み付いて血を啜って仲間に変えてしまうという。ものによっては動いているうちに硬直がとけて太極拳やクンフーを使ったり、空中を飛び回ったり、全速力で駆け出したり、満月の夜に狂暴化したりと様々な要素が付け足されている。
腕を前に出してぴょんぴょん跳ねて移動するというキョンシーのイメージを創り上げたのは1980年代の映画『幽幻道士』シリーズであることは間違いない。以来キョンシーブームが巻き起こり、マイナー妖怪でありながら急速に知名度を伸ばしていった。
ゾンビと同様に頭部を破壊することで無力化を測れる他、吸血鬼のように日光に当てることで蒸発する。また、額に札を貼ることで動きを封じたり、鏡に近づくことが出来なかったり、ほとんど知られていないが桃、生のもち米、童貞の尿、ゆで卵が弱点だったりする。これらはキョンシーに噛まれた際にキョンシー化を防ぐ中和剤にもなる。
ゾンビやリビングデッドと違って妙な人気があるのはやはりキャッチーな名前からであろうか。いずれにせよ、人々が様々な設定を盛りに盛っているせいでこの妖怪は日に日に力を増している。
人の言葉には不思議な力が宿り、その力こそが妖力である。故に、キョンシーは強い妖力をその身に秘めているのだ。