秋月メモ:ミイラ男
ローディング画面とかCMカット的なあれ
秋月メモ:ミイラ男
全身が布に覆われた乾いた遺体、アラビアやエジプトの遺跡などの棺や柱に潜み、墓荒らしを襲ってその者もミイラにしてしまうと言われる。
砂漠のイメージが強いが、日本には古くから「ミイラ取りがミイラになる」という言葉が存在し、実は海外にはこの言葉そのものはない。(似たような意味の言葉はあるが)意味は万病に効く秘薬であるミイラを採りに行った者が道半ばで力尽きミイラになる、ということを転じて、遊んでいる人を連れ戻しに行ったのに一緒に遊んでしまって戻ってこない、といった状況などに使われる。
そもそもミイラとは布に塗られた防腐薬のことで、後に乾燥した死体のことをミイラと呼ぶようになった。この防腐薬は植物の葉から採れる油であり、慣用句が差す『ミイラ』もこっちの油のことである。だが一般的なミイラのイメージは『乾燥した死体』の方であり、万病に効く秘薬のことを死体であると捉える人が多く、ミイラ取りがミイラになるという言葉のイメージが「薬の材料になるミイラに襲われてミイラになってしまった」という形になりがちである。恐らくミイラ男という妖魔の存在も、そう言った人の勘違いから生まれたのだろう。
日本での認知度は高いがその分海外ではそれほど浸透しておらず、ホラー映画やパニック映画などでもミイラを題材にしたものは意外にも少ない。ちなみにミイラとはポルトガル語であり、英語圏ではマミー、中国ではモミイと発音する。ミイラの漢字である『木乃伊』はこのモミイの当て字の中国語をそのまま日本に持ってきたというちょっと変わった由来を持つ。
日本の情景に合うとは言いがたい妖怪だが、古くから馴染みのある国はもしかしたらエジプトなどの砂漠国ではなく日本の方なのかもしれない。
人は死ねば腐りやがて土へ還る、しかし偉大な王の聖遺体は死して直、現世に留まり人々を見守ってくれる。そう信じたかった信者達が生み出した禁忌こそがミイラという腐らない加工品なのだ。