表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

謎が謎を呼ぶが、それでも僕らは動く

 ジョーカーはホテルの一室へ入る。

「おかえり、ジョーカー。」

「おかえりなさい。」

「おつかれ。」

 団員が口々にジョーカーを迎える。

「どうかしましたか?浮かない顔をしていますが。」

 いち早くジョーカーの異変に気付いたホワイトは、声を掛けた。

「いや、ちょっとね……絶対盗めない宣言されちゃったもんだから……。」

「そんなの、いつものことじゃない。そして、いつもちゃんと盗んでいくでしょ?怪盗団ドリームサーカ(あたしたち)ス。」

 ジョーカーは髪留めを外し、頭を横に振る。

「それがね、彼女、あの宝石は『夢の花』じゃないっていうんだ。」

「「「え?」」」

 三人の素っ頓狂な声に、肩をすくめるジョーカー。

「僕だってわけわからないよ。どう見たって、あれは夢の花、のはずなのに。」

「じゃあ、どうするんだ?」

 ジョーカーはしばらく腕を組んで悩む。

「計画通り行動する。とりあえず、仕事を進めて、情報を集める。予告状は情報を掴み次第出す。」

「了解です。」「おっけー。」「りょーかい。」

 各々が承認し、怪盗団は『夢の花』を掴むために動き出す。


『君たちでは決して盗むことのできないものだよ。』

 ジョーカーは一人、名探偵(かのじょ)の言葉の意味を考えていた。

 彼女からもらった写真は自身のスマホに入っている。どう見たって美しい宝石。存在することは確かめられた。このまま仕事を進めても問題ない。ない、はず、だが。

 引っ掛かってしまうのだ。

『君たちでは決して盗むことのできないものだよ。』

 盗むことのできないものなんてない。そう謳う僕ら怪盗団ドリームサーカスを前に「盗ませない」ではなく「盗めない」と、「止める」ではなく「不可能」と言った彼女の言葉の意味が、真意が分からない。

 彼女は僕らがそれでも盗もうとするのを知って、どうするのだろうか?いつもの通りに止めに来るのだろうか、それとも、盗めないものに対してはただの傍観者をするつもりなのだろうか?

 それから、あの写真に写る宝石は『夢の花』ではないと言った。

 なら、『夢の花』は一体何だ?

「それも謎、という事か……。」

 少年は銀色の髪を揺らし、その場を後にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ