ねじれ
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これは友人から聞いた話なんですけど
霊的な地盤によるねじれっていうものがあるらしいんです
それは昔に処刑場があったとか橋とかで飛び降り自殺がたくさん起こるとか
そこにいると人が不思議な経験をする場所のことです
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仮に名前をUハイツとして
Iさんとしておきましょう
IさんはUハイツの202号室に住んでいて
小さな町工場で事務の仕事をしていました
ある朝Iさんがいつもの7時ぐらいに起きて身支度を整えて会社に行こうとすると
どうしたわけが扉が開い開かない
何度力を込めてやっても扉が開かない
どうやらこの部屋は外に通じるドアというドアが開かないようになっていました
それからかれこれ40分が経ったでしょうか
ああ、もうバスを乗り過ごしたから遅刻決定だってIさんうなだれたんですね
でもどうにかしてこの部屋から出なきゃいけないと思ってIさんこの部屋を念入りに調べ始めたそうなんです
タンスの裏、物入れの中、風呂場、台所の下の収納、至る所を調べました
そしたら洋間の壁に小さな穴を見つけたんです
あれ、おかしいな、こんなとこに穴なんてあったかな〜って思いながらIさんその穴を覗いたんですって
そしたらその先は真っ黒
まさに漆黒の闇っていえばいいでしょうか
なんだろうなこれ、ってIさんはこう頭をひねったんですね
それで少しかんがえてみたんです
多分こっち側の壁に穴があるっていうことはこれは201号室のお隣のおばあちゃんの部屋を見てるのかなって
そう、201号室には70歳ぐらいの元気なおばあちゃんが一人で暮らしてたんですって
だからあれ、どうしたのかな〜ぐらいに思っていたんです
でね、それから一週間ぐらい経ったんですって
一週間ですよ、一週間!
食べ物なんかはあったし水も通っていたので食うには困らなかったんですけど
もう精神的にまいっちゃって
そしていつしかこの状態の元凶を201号室のおばあちゃんだと思うようになっていました
だってIさんは穴なんて開けた覚えがないから
この穴を開けたのはおばあちゃんであって
この元凶もおばあちゃんだと決めつけたんですね
ちょっと誇大妄想が入ってるかもしれません
だからIさん力にまかせて201号室の方の壁をバン! バン! って叩いたんですね
ここから出せぇ〜! って
そしたら201号室から物音がしたんですって
Iさんはすかさず穴から201号室を見ました
すると誰かが201号室の暗闇の中を動いているようなんです、Iさんは必死に見つめました
そしてカーテンが開かれました
そこにいたのが201号室のおばあちゃんではなく
Iさん自身だったんですね
Iさんがガリガリに痩けた姿で床に座ってたんですって
それでもうIさん混乱しちゃって
だってIさん自身をIさんが見てるんですから
その時ばあっとIさんは振り向いたんですね
Iさんのいる202号室の洋間のカーテンの方を
そしたら、おばあさんが首吊ってたんですって
そしてニヤリと笑って見つけてくれてありがとねぇって言ったそうなんです
Iさんはうわぁーっと叫んで気絶しました
そして気づいたら自分の部屋にいたんですって
身体はガリガリに痩けて
でも時計を見たらあの部屋から出れなくなった日の朝7時だったそうです
さすがにこれから出社はできないと思って会社にすいません休みますって電話をいれて
大家に頼んで201号室の鍵を開けてもらうことにしたんです
それは、Iさんがこの一週間いたのは実はおばあちゃんの住んでいた201号室に魂というか霊魂というかだけが閉じ込めらておばあちゃんが自分のことを見つけてくれてっていったんじゃないかと
でも大家にそれを話すと怪訝な顔をしたそうなんです
だって先月家賃もらった時はあんなに元気だったのにまさか自殺ってそんなことないと相手にしませんでした
でもIさんは必死に嘘でもいいんですとにかく見てみて下さいって説得したんです
それでおばあちゃんの住む201号室を開けたらあったんですよ
おばあちゃんの首吊り死体が
そのあとIさんは第一発見者ということで警察から取り調べを受けたんですけど信じてもらえるわけがありません
でも事件性はないということで自殺でかたずけられたんです
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で、最初にねじれって話をしたんですけど
そうゆう霊的な地盤によるねじれって人をおかしくするんです
この201号室のおばあちゃんだって少し前まで自殺する素振りも見せなかったのに死んでしまった
そしてIさんの不思議な経験
そしてね
この話には続きがあるんですよ
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それからしばらくしてIさんが部屋から出てこなくなってしまったんです
大家が家賃をもらいにいっても出てこない
仲間内とも連絡をとらない
だから大家について私と二三人の友人もいっしょになってIさんの部屋に入ることになったんです
私なんかはIさんからこの話を聞いていたので覚悟していたんですけど
このUハイツってのがどーもきみ悪いんですよね
私霊感はないんですけどなんかへんだなーって
そしてIさんの部屋に大家を先頭にして入っていったんですけどIさんいなかったんですよ
家具とかはそのままで生活感はそのままなんですね
ほんと神隠しみたいな
だから一層きみが悪い
このIさんは行方不明ってことで警察に届けたんですけど私はもしかしたらまだあのUハイツに閉じ込めらられてるんじゃないかって思ってるんですよ
でね、私やっぱり何かひっかかって調べてみたんですよ
このUハイツのこと
そしたら不審な死に方をした人達がいっぱいいたんですね
首吊りから焼身、自刃までとにかくたくさん出たんです
それが全部あのUハイツで起きている
ここまでくるとやっぱりおかしいなと思って私調べてみたんです
そしたらUハイツが建てられる前からいろいろ曰くがあるみたいなんです
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このUハイツが建っている一帯というのは山岳信仰が盛んだったみたいですべてではないんですけど中には人身御供みたいな風習もあったことあるみたいなんです
それがね、山の奥深くに生娘を置き去りにしてそのままにするっていうものらしいんです
その時に目に毒湯をいれて失明させるそうなんです、
生娘は右も左もわからないまま山の中で死んでいくってものらしいんです
この風習は明治に入って消えていったらしいんですけどでもカルト雑誌なんかでは未だに続いてるってのがもっぱらの噂なんですね
で、Uハイツなんですけど
Uハイツの建っているところがその人身御供をする時に使われていた祠があった場所らしいんですよ
そこで生娘の禊をして山に送っていたようです
だからUハイツで不審死が相次いだのはこれが原因ではないかってね
これがUハイツの霊的な地盤によるねじれだと私は考えたんです
でね、ここまで調べて私またおかしいなって思ったんですよ
こんなに死者も出てるのにどうしてUハイツは壊されないのかって
やっぱりこうゆう場所って人をおかしくするんでしょうか
壊そうとしたりそれに関わった人達も皆んな不審死してるんですよね
神木を切ろうとして事故に遭うはわかるけど悪い面でもこうゆうことは起こるみたいです
それに未だに人身御供を信仰してる街の豪族がいて、
彼らが人身御供としての祠としてUハイツを運営し続けているという噂もあります
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こうゆう事例はUハイツに限ったことではありません
全国津々浦々、至る所にあります
もしかしたらあなたが立っているそこだってなにかしらの霊的な地盤によるねじれがあるかもしれません
だから私はあえて言います
生き物としての感でやばいと思ったら逃げて下さい
くれぐれもIさんのようにならないように