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塔3~戦術の理③

 ファルス軍の軽騎兵を指揮する将軍エラン・ジャーティマは、敵歩兵の人数が自軍の半数程度と判断する。しかし、彼の部隊は朝からの戦闘で矢弾は消耗し、人も馬も疲労していた。

 整った陣形を組む歩兵隊相手に騎兵の突撃は禁物である。そのため、事前に法撃で相手の陣形を乱したいが、敵の歩兵部隊は、法兵隊の射程からはうまく外れている。いや、意図的に外しているのだろう。

 やむを得ず、敵歩兵に対して距離を詰め、残り少ない矢を射かけて誘い出そうと企図する。矢を一方的に射かければ、相手が愚将ならば不用意に釣り出され隊形を乱す隙ができるかもしれない。


 しかし、ムラト族歩兵隊は大盾を斜めに構えて、曲線に降り注ぐ短弓の矢による攻撃を防ぐ。隊列が乱れる様子はないし、そもそも大盾で防御を固める相手に対しては希望的観測の無理な攻撃だった。

 エラン・ジャーティマのこの短絡的に相手のミスを誘う作戦は、少し相手を軽視し過ぎたのか、若しくは今後の方針について逡巡していたのかもしれない。

 突然、彼らの軽騎兵隊に、ムラト族旅団の方から弩の矢による反撃が放たれた。


「どうした!? 敵は大盾を構えているではないか!」


 そもそも、弩は直射する武器である。現在飛んできている弩の矢も直射されている。ムラト族旅団の兵が整列して大盾を構えている状態では直射は出来ないはずだ。味方の盾の隙間から背中越しに撃つなど、味方を撃つ危険がありすぎてとてもできない。


 これにはムラト族旅団側の事前の工夫があった。

 弓は立っていないと射撃できない。しかし、弩は地面に伏せていても射撃可能である。2人チームとなり、片方が大盾を斜めに構えて曲射される矢を防ぎ、片方は大盾の下の隙間から腹這いになって弩で反撃を行う。

 とても不格好な姿勢であるが、匍匐して射撃する行為自体は弩では一般的なことなので、それほど特異な例外ではないだろう。


 エラン・ジャーティマは、この攻撃に晒されても冷静さを失ってはいなかったが、迷ってはいた。相手から一方的に射撃が通るこの距離を維持するのは困難だし、敵は新手の部隊で矢弾を十分に所持しているはずだ。彼らは軽騎兵であるから得意の迂回攻撃で追撃を継続することも考えたが、敵は歩兵とはいえ6000近い部隊である。朝からの戦闘で疲労している人馬を用いて迂回機動を実行するのは大きな危険を伴う。さらに上空の航空騎兵隊は、敵のさらなる大軍接近の危険を知らせる信号弾を発射していた。


 これはレンが指示した偽装である。実際には、山道の一合目には実際は2000ほどしかいなかったが、上空から森に包まれた山道で正確な人数を把握する事はとても難しい。

 精鋭航空騎兵隊“シュトゥーカ”と交替した未熟な航空騎兵達は、迎撃の弓矢や起伏のある地形を恐れて、陣地深く接近してその詳細を確認することなど出来なかった。そのため、遠目に軍旗や森の中に見え隠れする敵兵の配置から、一合目にいる敵の総数を1個師団以上と誤認してしまう。

 結局、エラン・ジャーティマはその信号弾を信じた。敵に1個師団以上の増援の後続があるならば、迂回攻撃すれば間違いなく戦闘になる。実際に前衛部隊と思われる歩兵隊が前線に来ているのだから、後続が来ていると考えるのは妥当だ。そして、迂回攻撃を実行した場合、現在正面にいるこの歩兵隊によって退路を断たれるかもしれない。そうすれば甚大な被害が出るだろう。

 法兵隊の援護が無く、矢弾もない状況では、とても戦えない。

 彼は、第20師団の追撃による殲滅を諦め、川を東に戻って後退を指示、戦場に取り残された第4師団の様子を見ることにした。


****************************************

挿絵(By みてみん)


 第4師団長のマトロソヴァ伯は、自身の負傷を抱えながら味方を鼓舞して粘り強く指揮し、カファーニガン川の東岸まで下がりながら防御陣形を築いていた。既に東側から第17師団を殲滅した後のファルス軍歩兵隊の接近を受けた上に、軽騎兵5000の横撃を受けている。

 それでも一時期、敵の圧力が後方の第20師団に向いていたので、やや立て直す事が出来た。

 マトロソヴァ伯が指揮所に戻った時、東路軍司令官のカザン公とは連絡が取れなくなっていた。風聞ではマトロソヴァ伯が負傷したとの情報を聞いて真っ先に逃げたという。


 太陽がようやく傾き始める頃、リーフ率いるムラト族騎兵隊と、コジロー率いるムラト族第1歩兵大隊は、伏兵の迎撃のために配置された軽騎兵隊を強引に突破して第4師団の本部まで到達した。

 彼らはさっそく師団長の元へと向かう。


「マトロソヴァ伯、お久しぶりです」

「コジロー殿、リーフ君…… 君達が来てくれたということは、あの狼煙はレン殿が応援に来てくれたというのか」


 マトロソヴァ伯、リーフとコジローは、ローランド戦役の時に出会った事がある。


「伯爵、要件だけ申し上げます。この場所は死地です。多少の損害を覚悟しても敵法兵の射程外に逃げなければ活路はありません」


 リーフは、これがレンの指示であることを告げる。


「しかし、指揮官が先に逃げれば士気は崩壊し、より大きな被害が出る。撤退する場合でも指揮官は最後まで残って退避を援けなければ……」


 マトロソヴァ伯は、東路軍司令官が逃亡した以上、師団長の自分が逃げては、必ず全面敗走となるだろう。味方に撤退の命令を確実に伝達する必要があると主張する。


「伯爵さん、そりゃ逃げる時に一番やっちゃダメなことですよ。ああやって、子供でもわかるように狼煙を揚げて逃走地点を明示してるんだ。オレが幼い頃暮らしていた地元じゃ、昔、大きな津波がありましたけど、お互いを信頼して真っ先に避難場所に逃げた人達は助かって、家族が心配だなんて自宅を見に戻った人は死にましたよ」


 コジローは説得する。撤退の信号弾を揚げれば、味方は各々の判断で撤退する。指示確認の必要性などないという。


「しかし……」

「あんた、そりゃ他人の命の心配をしているようにみせて、自分のプライドを満足させてるだけじゃないですか。他人を心配している自分の姿に酔っているだけ。オレ達は“貴方を”助けるために来たんだからさっさと逃げてくださいよ。抵抗しても簀巻きしてでも連れて行きますからね」


 リーフとコジローは、鋭い気迫でマトロソヴァ伯に迫る。身分的に考えれば伯爵と一般人である。だが、マトロソヴァ伯はレンに敬意を持っていたし、そもそも応援が来なければ彼はとっくの昔に屍になっていただろう。レン率いるムラト族旅団の攻撃によって、敵主力の軽騎兵隊を効果的に撹乱させていたからである。

 マトロソヴァ伯は頷いた。彼は、自ら撤退を示す信号弾を大空に放つ。それを見るものなら、誰でも一合目に築かれた撤退場所に逃げろという命令だと分かるはずだ。


「じぁあ、リーフ。マトロソヴァ伯を連れて先に進んでくれ、オレは後から行くからよ」

「わかりました。コジローさん、本陣で会いましょう」


****************************************


 エラン・ジャーティマの軽騎兵隊は、総退却に移った第4師団の撤退を阻止しようとしたが、ムラト族旅団の主力は、すかさず前進して第4師団の撤退を援護した為、叶わなかった。

 騎兵の歩兵に対する有利は、崩れた陣形を突破することにある。ムラト族旅団も移動すれば陣形が崩れる為、動けない。お互いに睨み合いの状態になった。


 追撃は主にファルス軍の軽騎兵5000が第4師団を追うような形となったが、軽騎兵隊5000は第17師団の崩壊後からずっと第4師団に対して牽制攻撃を行っていたため、かなり消耗していた。もちろん、3倍の防御を固める相手に相対しているのだから、かなり奮闘しているといえるだろう。

 しかし、第17師団を追い散らし、第4師団の騎兵を追い返したファルス軍の歩兵15000の主力がこの追撃に加わると、逃げながら戦う第4師団は極めて苦しい状況に立たされる。


 アスンシオン軍の苦闘はまだ続く。

 ファルス軍の追撃を援護するかのごとく、ドゥシャンベ上空に補給を終えたファルス軍精鋭航空騎隊“シュトゥーカ”が舞い戻って来たのである。

 ただし、レンが山道一合目に作った偽装が上手くいったようで、その半数は偽装陣地に向かっている。

 彼女達は、この偽装陣地に接近して所持していた焼夷法弾を投げ込む。さらに熟練の航空騎兵である彼女達は、この一合目の陣地がほとんど形成されていない、偽装だと気がついた。とはいえ、実際にこの陣地に退却中の第20師団の将兵が逃げ込んでいるのだから、放置することはできない。結局、半数の“シュトゥーカ”はこの対応に迫られる事になった。


****************************************


「頭を抑えられて厳しいな」


 レンは上空に現れた緑の髪の処女達をみて嘆息した。


「昼まで現地にいて、補給して、こんなにも早く再出撃してくるとは。ファルス軍は予想通り航空騎兵の整備に力を入れているようですね」


 旅団参謀のトーマスが相槌を打つ。


「まったくだ。アスンシオンのお偉いさんは、整備の重要性がよくわかっていないからなぁ。航空騎兵ってのは、数や質だけじゃなくて整備力も重要なんだよ」


 処女しか騎乗できないユニコーンを駆る航空騎は、整備も同様に“ヴェスタの加護”に守られた者にしかできない。だが、ラグナ族ではその人員確保、整備兵を確保することが難しい為、要員が極めて少なかった。整備の熟練兵などは置かれず、新人の雑用に近い状態である。


「はやく日が沈まないとバタバタ死ぬぞ」

「今日の日の入りは16時32分ですよ」


 トーマスは察して答える。まだ1時間弱ありそうだ。


挿絵(By みてみん)

 後退する第4師団は、カファーニガン川を越えようとするが、上空を抑える航空騎兵は、地上の追撃隊に対して、正確に誘導する。

 さらに “シュトゥーカ”は、退却する第4師団の指揮官や、伝令兵を狙って投槍による地上攻撃を行うようになり、第4師団はたった数10m撤退するのに屍の山を築くようになってしまう。

 最後尾にいたムラト族旅団で最も熟練していた兵達で構成された第1歩兵大隊も次々と倒され、大隊長のコジロー自身も武器振るって奮戦していた。既に持っていた長槍は折れて、腰に下げていた自慢の刀を抜いて戦っている。


「クソッ、敵さんワラワラ来やがって……」


 もちろん、攻め寄せるファルス軍側も朝からの戦闘で相当に疲労していた。コジローは諦めず味方を鼓舞して戦い続ける。


 日の入りまであと30分、最後方で奮戦する彼らの活躍は上空から見るととても目立っていた。それを観察していたファルス軍航空騎隊長のアイーシャは標的をコジローに定め、素早く航空騎を翻すと、彼に対して正確に投槍を投擲する。

 勢いをつけた投槍は閃光のように疾走し、コジローの腹部を貫いた。大きな鈍い音がした後、彼は口から激しく吐血する。


「チクショウ…… ナデシコの花嫁姿みれなかったなぁ……」


 大隊長コジローは槍が刺さった状態のまま大の字になって前のめりに倒れた。付近にいたファルス軍の歩兵は倒れた彼に容赦なく長槍を突き立てる。

 最初の一撃で、既に彼の生命はどうやっても助からない状態だったが、非情な戦術の理は彼に人生を回想する時間的余裕すらも与えなかった。

 カファーニガン川を越える際、コジローを含むムラト族旅団第一歩兵大隊、そして第4師団の歩兵隊の半数以上が戦死した。彼らの無念の血によってカファーニガン川は赤く染まっていく。


 ムラト族騎兵中隊のリーフはコジローが倒れた様子を少し離れたところで見ていたが、どうする事も出来ない。すでに彼自身、飛来する航空騎兵の投槍から身を守ることで精一杯の状態である。


「こりゃ、死んだかな……」


 空からの投槍はそう簡単に当たるものでもない。かといって、相手は相当に熟練されている精鋭である。おそらく彼女達の年齢は幼馴染のナデシコと同じぐらいだと思う。しかし、ヴァルキリー族の血が混じっているだけで、こんなにもユニコーンとの相性が違うものかと驚愕せざるを得ない。

 いや、きっと理由はそれだけではないのかもしれない。いかにヴァルキリー族に“戦処女”の特殊能力があろうと、処女に“ヴェスタの加護”があろうと、彼女達の精神力は変わらない。投槍の命中率もあがらない。

 地上ギリギリまで接近してから投擲する航空騎からの投槍攻撃は大変なリスクだ。度胸も相当にないとできない。ナデシコも練習で何度か挑戦しようとしたことがあったが、結局、怖くて一度もできないという。

 リーフは二発までの投槍を回避したが、三発目の投擲を回避しきれず、命中。彼は死を覚悟したが、投槍はリーフの身体ではなく彼の乗馬に命中した。リーフの愛馬はたまらず転倒、リーフは投げ出され地面に叩きつけられた。

 倒れたリーフは起き上がろうとするが、脚に激痛が走り上手く立ち上がれない。どうやら負傷したらしい、敵の追撃の手が緩まない今、これで自分の命運は尽きただろう。


「あーあ、こんなことならナデシコにちゃんと言っておくんだったぁ」


 それでもリーフは所持していた槍を杖代わりにして膝立ちになると、痛む脚を引き摺って西の方へと這い始めた。


 そのときだった。

 リーフは、夕日を背に西から突撃して来る騎兵部隊を見る。アスンシオンの軍旗を掲げていた。


 第13師団マーティン・リッツ・タクナアリタは、師団長のランスロット卿の命令により、騎兵隊4000を率いてザラフシャン山脈の山間道路を踏破、半数近く脱落者を出しながらも、そのまま一気に山を駆け下りて来たのである。


 タクナアリタ卿は、ファルス軍の軽騎兵隊と睨みあうムラト族旅団の後方を通過する際、旅団長のレンに声を掛けた。


「レン殿の作られた山間道路、馬行でもなかなか走り心地が良かったですぞ。後は我々が死を請け負いますゆえ、レン殿は下がってくだされ」

「ははは、ここに来るまでけっこう谷に落ちたでしょう。しかし、さすがはローザリア卿。彼のような若者には、いろいろ教え甲斐があるというものですな」


 レンは笑いながら答える。


 上空で新たな敵の増援を認めた航空騎兵隊長のアイーシャは、これ以上の追撃は不可能と判断し、味方に撤退の信号弾を放った。

 完全に日が暮れてしまうと、航空騎兵は方向感覚を見失う。上空からの支援なしでは、新たに現れた敵騎兵隊を排除しつつ地上部隊へ追撃を継続するのは難しい。

 地上のエラン・ジャーティマもその信号弾を受けると全軍に追撃を中止させ、カファーニガン川の東へと撤収していった。


****************************************


 夜になっても一合目の本陣では煌々と篝火を焚いていた。工兵隊が陣地を築いて警戒し、第20師団とムラト族旅団の無事な者が前衛を努める。

 散り散りになって逃げていた者達やドゥシャンベ市を守っていたエルミナ軍の将兵達も、一合目に焚かれた明かりを見て集合していた。

 リーフは、タクナアリタ卿自ら馬に担がれて戻って来た。特に大きな外傷はなく、落馬時に脚を挫いたようである、しばらく安静にしていれば治るだろう。

 ナデシコは叔父のコジローがいない事に気が付いているようだが、何も言わない。リーフの怪我に添え木を当てて包帯を巻いている。

 この戦闘では、カファーニガン川の西側まで辿りつけた者と、川の向こう側で取り残された者とで生死の明暗を分けた。

 ファルス軍の歩兵隊は残党狩りを行い、倒れて負傷した兵士に止めを刺していく。ファルス軍は奴隷を売る国である。負傷して動けない捕虜など必要が無い。


 昼間の戦いにおける東路軍の損失は次の通りであった。第20師団の損害40%、第4師団の損害60%、第17師団の損害95%、エルミナ軍の損害70%で、総計はだいたい7割ぐらいの消耗である。損害のうち死者と捕虜の区別は分からない。兵の損失は約50000と見積もられた。軍事学上で考えるなら、東路軍は全滅の扱いである。

 幹部としては、東路軍司令官のウィンズ・デューク・カザン、東路軍参謀フォーク・コンテ・コリアーク、他が行方不明になった。そして、第17師団長パウエル・コンテ・アロフィ、第4師団騎兵隊長ヴァナディル・ヴィス・エイピス、そしてムラト族旅団歩兵隊長兼第1大隊長コジロー、他の戦死が確認されている。


 夜半、一合目の陣地には早くも第13師団長ランスロット卿が到着した。彼と会談したレンは、すぐに陣地を撤収することを提案する。


「撤退? なぜです。我ら第13師団の後続も到着している。朝までには完全に体勢は整うでしょう。この狭い山道なら敵に回り込まれにくく、兵力が少なくても十分戦えます」


 ランスロット卿は悲惨な味方の惨状を見て、少なくとも一戦したいと考えていた。だがレンはそれを否定する。


「トルバドール=ツインテール族は山岳に強いという特性があるんですよ。こんな長細い山道で横撃されたら勝ち目はない。そして、敵はドゥシャンベを落として明日からそこを拠点とした航空騎兵の援護もある。相手の出撃地点から近すぎて、これでは狙い撃ちにされます」


 確かに夜が明ければ、航空騎兵による攻撃を受けるだろう。昼間の襲撃で敵の航空騎兵が極めて優秀な精鋭部隊であることは誰しもが身に染みている。

 山岳に強い法兵と、航空騎兵による着弾誘導、この組み合わせの危険性は今さら説明するまでもない。

 若いランスロット卿はそれでも少しは戦って味方の無念を晴らしたいと考えていたようだが、レンの指摘に同意し、撤退を指示した。


 夜明けまでに敵の航空騎兵が到達できない距離の標高3000mぐらいまで登る予定である。

 そして、ムラト族旅団の工兵隊長ジャンと、第13師団の工兵隊長コンドラチェフは、撤退する部隊の最後尾について、今回使用した街道の破壊を命じられた。


「一カ月以上もかけて苦労して整備した道を、徹夜で突き進んで、そして徹夜で戻りながら壊していくなんてなぁ……」


 最後尾でお気に入りのフィギュアの看板を持った目印を破壊しながら、ジャンは必要とはいえ戦術の理の哀傷を感じずにはいられなかった。


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