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資料12~戦処女の時代、ボルバキア、麦米、クリムゾンアント

戦処女(ヴァルキリー)時代


 本作の時代のひとつ前の時代です。

 R属の一派であるヴァルキリー族という女性だけの種族が、大陸のほとんどを統治下に治めた連邦国家を建設しました。

 彼女達は航空騎と“VAF”という“ヴェスタの加護”を持つ娘だけが騎乗できる強力な兵種と特別な力を活かし、各種族の争いをやめさせ、統一された社会を築きました。

 ヴァルキリー族は強力な戦闘能力を持つ種族であるにも関わらず、物質的欲望に乏しく、交流を尊重し、理想主義でありながら平和主義者で争いを好まない傾向があります。

 彼女達によってヴァルキリーの平和パクス・ヴァルキュリアと呼称される平和な時代が1万年ほど続いたといいます。


 この戦処女時代の末期、ヴァルキリー族は、白派、黒派、赤派、緑派、青派、黄派、水派、紫派の8派に分かれていました。違いは髪の色と目の色の違いによるものです。

 8派に分かれていたといっても、戦乱で対立しているわけではなく、住む場所や嗜好の違い、勢力圏の違いなどで分かれ、お互いの派の違いは、スポーツのチーム分けなどの文化的、競技的な意味合いが強いものでした。


 最初に反乱を起こしたのは、後にデモニア帝国を建国するG属のベリアル族、そして彼らと同盟するR属のラグナ系の一派トルバドール族だったと言われています。

 結果的に、赤派ヴァルキリー族は本拠地を乗っ取られ、現在はベリアル=ヴァルキリー族として取り込まれてしまい、トルバドール族は緑派ヴァルキリー族を取り込み、トルバドール=ヴァルキリー族としてひとつの国家を建国しています。


 他のヴァルキリー族達も次々とR属のラグナ系種族に土地や身体を奪われ、現在は水派のヴァルキリー族だけが残っているのみです。


 ヴァルキリー族が女性だけで繁栄を築けた理由は、精子を乾燥状態にして長期保存する技術、活動休止保存能力(クリプトビオシス)によるものです。

 活動休止保存能力(クリプトビオシス)については、そちらの項目を参照ください。

 ヴァルキリー族は、精子をこの技術により長期間保存する事で、繁殖に男性が必要なくなり、“戦処女”による強力な戦闘能力と“ヴェスタの加護”から発生する“VAF”の防御力、ユニコーンに騎乗する航空騎という戦力、その他のいくつかの弊害を乗り越え、各種族に君臨して世界を長期間の平和に導いたといわれています。

 否定する論者もいますが、ヴァルキリー族では好戦的な男性という種がいない社会であるために、平和が築かれたのだ。という説は比較的受け入れられているようです。


 ヴァルキリー族が衰退した理由は様々議論されています。マキナ教という思想の進出、最初に反乱したベリアル族が狡猾な遣り口だったこと、結果的に赤派、緑派のヴァルキリー族が、乾燥精子による繁殖を捨て、連邦を寝返ってそれぞれベリアル族とトルバドール族を種族の男に選んだこと。R属のラグナ系種族は、一万年の平和の中でヴァルキリー族の技術や能力を取り込んでいったこと。などが言われています。


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・ボルバキア(細菌)


 ボルバキアはαプロテオバクテリア綱リケッチア目アナプラズマ科の真正細菌の一種です。

 我々の時代から昆虫などの卵子の細胞質に寄生することで知られ、特に性転換、オス殺し、単為生殖、非感染者からの受精の拒否など、自らの生存を有利にするためにその寄生種に対して行う性の支配能力は、特筆するべき能力です。

 またボルバキアは、遺伝子の水平伝播、つまり種の壁を越えての遺伝的特徴の獲得をしやすいという特徴も知られています。


 本作の世界では、ボルバキアは世界的に極めて猛威を振るっている細菌です。

 以前は昆虫などにしか寄生していなかった本種が、人間の女性で休眠中の卵子の細胞質に寄生し、その遺伝情報を都合良く書き換えてしまうような存在になったのです。

 この細菌が突然、その能力が強化されて繁栄した理由については、魔法回路の存在が疑われています。ボルバキアは、αプロテオバクテリアに属し、これはほとんどの種が他の細胞内でしか生存できない性質を持つ分類群です。

 実は、高エネルギー物質(マテリア)を生成するバクテリアも、人間の体内にあってこの物質をエネルギー化するPN回路を産みだす細胞内器官も、このαプロテオバクテリアに属しています。


 本作の世界の処女の女性が“ヴェスタの加護”という防衛機能を有するのはこのボルバキアに対抗するためなのです。


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・麦米(植物)


 本作の世界で主食として食べられている穀類です。

 圧倒的な生産性を誇り、化石文明時代のムギやイネを上回り、トウモロコシに匹敵する生産効率を持っています。

 種族分類学者は、この麦米がC4型光合成回路を持っていることから、同じイネ科の中ではC3回路を持つムギやイネよりも、遺伝的にトウモロコシに近いとの研究結果を出しています。

 食材としての加工の汎用性も高く、精米して炊けば御飯に、挽いて粉末にして発酵させた後で焼けばパンになります。

 高い効率性を持っているため、家畜用の飼料としても利用されます。


 イネ科の一年草で、熱帯の方が成長は早いですが、寒冷地でも育ちます。背が低くて倒伏に強く、幅広の葉をつけます。やはり湿度が高い方が成長は早いですが、乾燥にも強く、土壌が痩せていたり、少ない二酸化炭素の環境でも成育できます。


 本作の世界では、どこの地域でも主食はこの麦米を使用しています。

 理由は確実には分かっていませんが、この麦米は人類が地下宮殿(バジリカ シスタン)に潜んでいた時に、その場所で育てていた唯一の穀物だったといわれています。


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・クリムゾンアント

挿絵(By みてみん)

 本作の世界の巨大アリです。

 巣を持ち社会性を営み女王を中心とするなど、生態系は我々の世界の蟻の生態とほとんど変わりがありませんが、真紅の体色を持つことからこう呼ばれており、体長は働きアリで1m近く、大顎は極めて強靱、蟻酸という毒を持ち、かつ大群で襲ってくるので、極めて恐ろしい存在です。

 かつて人類達が長い氷河期「フィンブノーヴェルの冬」を生き永らえることができたシェルター地下宮殿(バジリカ シスタン)の第一層は、今は人が住む事はできません。それは、このクリムゾンアントが跳梁しているためです。

 蟻の能力としてお馴染の足跡追跡フェロモンの働きにより、この地下宮殿(バジリカ シスタン)に定住しようとすると、一度発見されるとクリムゾンアントは執拗に襲ってくるため、オークなど非定住型の徘徊人間種でなければ、居住型の文明人間種はこの場所に住む事ができません。


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