資料11~ハイランド王国、ファルス王国、トリム教、地下宮殿
・ハイランド王国
世界の屋根といわれたパミール高原地帯を領土とする王国です。化石文明の時代では、この周辺は乾燥地帯でしたが、この時代には、やや温暖で降水量も少ないながらも有り、牧畜が盛んな土地です。ただし高地であることに変わりないので、土地の生産力は低いです。
王都はフェルガナ、現国王はグンドールです。
国民はほとんどがR属ラグナ系のハイランダー族です。
ハイランド王国は南のローランド王国と縁が深い国です。昔は、この地域にはR属のカマラ系の種族が暮らしていましたが、北方からやってきたR属のラグナ系種族が進出し、この地域を支配しました。紆余曲折あって、ハイランド王国とローランド王国に分かれ現在に至っているといわれています。分裂はしましたが、ハイランドとローランドは気候が違い、利益の対立が少ないので、友好関係を築いています。
種族分類学者の分析によると、ハイランド王国はラグナ系8割カマラ系2割、ローランド王国はラグナ系2割カマラ系8割で混血していると言われています。
この違いを研究者は、熱帯地域のローランドではカマラ系遺伝子のほうが生存に有利で、寒冷地域のハイランドではラグナ系遺伝子の方が有利だから、と主張しています。
実際、ラグナ系種族は温帯から寒帯の気候で生活する者が多く、カマラ系種族は温帯から熱帯で生活するものが多いです。
ハイランド王国は、パミール高原と周辺に5か所ある高原盆地を中心とし、それぞれの盆地を州として行政区分が分かれています。
王都であり水の豊かなシル川上流のフェルガナ州、内陸湖のあるコチコル州、縦長の回廊盆地のカラコラム州、世界で一番高い高原地帯のハイラル州、インダス川上流の高原盆地のシュリナガル州があり、この5州ともに州都に人口が集中しています。理由は、非常に高い山々に囲まれているので、主要都市以外は多くの人が住むのが難しいです。
ハイランダー族には苗字がなく、不便な場合は、名前に出身州を付けて表記されます。
政治的には王の権限が強い王制です。宗教は多神教のトリム教徒で、ローランドと宗教的や文化的には同じです。多神教ですので、州別で異なる山の神を祭る神殿が築かれています。
神殿を運営し警備するのは、ハイランダー族の持つ特殊能力“惑星”を持つ女性神官達です。彼女達は山の神の掟として、その血脈を維持しています。そして、神官達は王族と関係が深いようです。
軍隊は、5つ州の各都市に1個師団ずつの合計5個師団。そして州を守る州兵がいます。
法兵、航空騎士の整備はアスンシオンやエルミナと変わりなく特筆するべき事項はありません。歩兵が多く、騎兵はやや少ないです。
また、ハイランダー族の領内には過去に黄系ヴァルキリー族の本拠地があったといわれ、それらと混血したヴァルキリー族が持つ戦乙女の能力を持つ女性達もいます。これらの者達は神官に多いと言われています。
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・ファルス王国
ファルス王国は、ペルシア高原に位置する多種族国家です。
基軸種族はラグナ族の一派であるトルバドール族が支配する国ですが、B属の地上猫耳系と混血したトルバドール=ツインテール、R属の緑派ヴァルキリーを先祖に混血したトルバドール=ヴァルキリー、H属のカウル族の近縁であるフルリ族、卵生のD属であるアサマイト族、R属のリディア族など、複数の異種族で構成された国家です。
アスンシオンのように居留地や自治区はなく、各種族は各地にモザイク状に住んでいます。ただし、気候的な問題でフルリ族は遊牧生活の為に東にある高原の草原地帯、アサマイト族は南西にある低地の密林地帯に住んでいるようです。
これらの諸種族は、なぜか髪の色が緑かそれに近い色という特徴があり、“緑髪の王国”という俗称もあります。
王都はエクバタナ、現国王はアルプ・アル・スランです。国王は若いながら賢帝として知られ、武官や文官も優秀な人材が豊富といわれています。
国王中心の封建国家で、各地は領主が治めています。大小の領主がたくさん存在し、領主は土地を支配して、その土地に民が住むという関係が形成されています。トルバドール族は旅好きで移住を好む者が多く、国民は全て自由民であり土地に束縛はされていません。
領主に雇われその土地に住むと、国民は領主に労働力の提供を行い、賃金が支払われます。領主は関税などを掛けて収益をあげます。このような形態のため、能力や人気のない領主は人口流出が激しいのが特徴です。
議会はありません。政治は国王が独裁的に親政し、将軍や大臣、領主を任命しています。他のラグナ系諸族の国家と違い、ファルス王国では、異種族でも領主になることができます。
軍隊は王が各領主に対して、土地や生産力に応じて負担させる形式です。アスンシオンなどの師団とは違いますが、国王に任命された将軍達が領主を複数束ねて部隊として率いています。
航空騎、法兵などは将軍と各領主に育成が任されています。それゆえ、軍隊の質に均一性がありません。
ファルス王国を構成するトルバドール族は、西にある大国、デモニア首長国連合の基幹種族であるベリアル族と共に、世界を支配していたヴァルキリー族の連邦国家に対して最初に反乱を起こした種族として記録されています。
そのためベリアル族とは歴史的に友好関係にあります。
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・トリム教
正式名称はトリムルティ、略してトリム教徒といいます。多神教で山や川などの土地や現象などに魂(神)が宿っているという考え方です。
アスンシオン帝国南方のハイランダー族、ローランダー族、アリハント族、ガネーシャ族、トルバドール族などが主に信仰しています。
派生する宗派は多岐に渡ります。
この「不滅の魂」はトリム教徒にとって最も重要な考え方です。肉体は滅びますが、魂は不滅で、宇宙も不滅です。「不滅」という存在は、発生も消滅もせず、「輪廻」という輪の中で永遠に存在するとします。
トリム教徒は、これらの管理者、つまり絶対的創造主のような存在を否定しています。
「不滅の魂」が宿るのは人間だけではなく、動物や虫、自然に対してもです。ですので、トリム教徒は自身が生活の基盤としている土地の自然(※ハイランダー族なら土地の山)を信仰しています。
トリム教における「不滅の魂」と「輪廻」という考え方は共通ですが、その中にある「自業自得」という考え方の解釈で宗派が分かれており、その詳細が違います。これらの考え方は、各種族内でも違う宗派が混在していることもあるようです。
「自業自得」とは、魂が不滅だとして、その魂がする行為(自業)には、その魂に影響がある(自得)。というものです。
魂が不滅で存在するなら、その魂が何かをしたら、何かの影響があると考えるのは普通だと思われるでしょう。その「何か」の何をすると良くて、何がダメなのか、そして「不滅の魂」の目的は何なのかを説くのは、各宗派で違うのです。
例えば、ある宗派では、生き物を殺めると、自分の魂が穢れ、次の輪廻で良い結果が得られない。としています。
ある宗派では、肉体の欲望を断ち切れば、自分の魂が浄化され、次の輪廻で良い結果が得られる。としています。
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・地下宮殿
地下宮殿は本作の世界の大きな都市の地下にあるシェルターです。それ自体が巨大なアーコロジー、つまりそのひとつだけで完全に自己完結している都市として造られました。
しかし現在、ほとんどすべての地下宮殿は、異形の種族達が住む迷宮と化してしまっています。
このシェルターは「フィンブノーヴェルの冬」という反動氷河期から人類種族を救うのに貢献しましたが、すでに管理能力は失われ、ならず者たちの巣窟や遺跡のようになってしまっているのです。
世界中に数多く建設されましたが、中には海水が流入して水没したり、火山活動や地殻運動によって失われてしまったものもあるようです。
ほとんどすべての地下宮殿は5層からなります。5層といっても、大きい数字の番号の層がより深い位置にあるわけではないようで、奥のほうへ5つに分かれた空間のように考えられています。
地下宮殿の各所には、黒の石板という古代の記録が残されています。
また、この時代では手に入らない貴重な加工品、工芸品が手に入る事があり、知識と財宝を求めて探索に挑戦する者は後を絶ちません。
各都市によって状況はかなり異なりますが、事例としてアスンシオン市にあるシオン地下宮殿を例にとります。
「第1層」
昔は一般に資材エリアと呼ばれていたエリアです。地上と連結しており、複数の出入口を持ちます。
かつて資材エリアだったというだけあって、本作の世界では精製できないレアメタルが存在することがあります。工作機械の類も相当あったはずですが、すでに使用に耐えるものはありません。
これらの希少な資源を狙って、トレジャーハンター達が挑むことがあり、アスンシオン市ではそれ専門のギルドもあります。
極めて広大なエリアですが、地上から近く、多くの地区がクリムゾンアントの生息地と化しています。彼らは習性で通路のバリケードなどを排除してしまうので、人為的な区画の変更が難しく、この迷宮の組織的な攻略をより複雑なものにしています。
一時期、地下のクリムゾンアントを一掃する作戦も練られましたが、実際のところ、クリムゾンアントは羽化すると羽ばたいてほかの地域の地下宮殿第一層に移住することがあります。喩え、この地下宮殿のクリムゾンアントを絶滅させても、ほかの地域のクリムゾンアントが来てしまうため、排除は不可能であると結論付けられました。
また、オークやミノタウロスなど、帝国で人間と見做されていない種族が隠れ住んでいることがあります。
「第2層」
搬送エリアと呼ばれています。特筆すべきはほかの都市にある地下宮殿の第2層と連結する通路があります。
古くは地下鉄や地下道という単位で地下宮殿同士は結ばれていたようです。
しかし、現在では、その多くがユグドラシルという植物の地下茎によって封鎖されています。ただし、すべての通路が完全に塞がれているわけではなく一部通行可能な場所もあるといいます。
また、このエリアはユグドラシルに従属する種族、B属地下耳無系のモール族が独自の文化を築いていて支配しています。
ユグドラシルの地上茎は南米大陸にあるといいます。その地下茎がはるか遠く地球の反対側まで伸びているのです。
ユグドラシルは生命の樹や世界樹とも呼ばれ、種を保存する特殊な力を持っています。これにより、第2層にはかなり特殊な種族、稀な種族が眠っているともいわれています。
「第3層」
かつては生活エリアと呼ばれ、逃げ込んだ人類たちが生活していたエリアです。光や水を生み出す装置があり、農業などの生産活動も行われていましたが、現在はまったく機能していません。
シオン地下宮殿でいえば、水を排出する機能が壊れ、ほとんどが水没したエリアとなっています。
恐ろしい能力を持つ水棲種族がいるといわれていますが、この地域まで到達するのは難しく、またこのエリアが全面水中エリアであり、到達しても利益になるようなものがないため、優秀なトレジャーハンターでも、ここまで来る者はほとんどいません。
ただ生活エリアであったために、黒の石板は見つけやくなっており、古代の知識や技術を得ようとする者は挑戦することもあります。
「第4層」「第5層」
到達した者がほとんどおらず不明ですが、黒の石板の解析や、配置的な予想では「第4層」は機械エリア若しくはエネルギーエリア、「第5層」は中枢エリアではないかといわれています。




