資料6~黒の石板、クリプトビオシス、PN回路、グリーングラス
・黒の石板
黒の石板とは、地下宮殿と呼ばれる地下迷宮に点在する記録媒体です。
その文字は特殊な電気信号で記録されており、タイキ族などのT属しか読むことはできません。
このデータには、化石の文明時代の有用な知識が治められている場合があります。また、封印された部屋の鍵となるコードが存在する場合があり、それらを得ることによって貴重な品物などを入手できる場合もあるようです。
新しい黒の石板を発見する為、地下宮殿を探索する冒険者は後を絶ちません。
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・活動休止保存
活動休止保存とは、「隠された生命活動」という意味です。
緩歩動物クマムシ、節足動物ネムリユスリカなどが能力として持っており、乾燥などの生存に厳しい状態になると、仮死状態に近い状態で生命活動を休止させ、無代謝状態、つまり酸素も栄養もいらない状態になる事ができます。
活動休止保存は水を与えると再び活動を取り戻す事ができます。
クリプトビオシスは、トレハロースという特殊な糖類によって、体内の水分をガラス化し、身体の形状を維持します。
これにより水分がなくなっても、身体の組織をガラスのような状態で守る事が出来るのです。
その休眠能力は極めて驚異的なものです。耐圧、耐熱、耐寒、そして常温ですら長期間の休眠が可能です。実験では宇宙空間に放り出されても、一部は生存可能であることが証明されています。
本作の世界では、クリプトビオシスは細胞の保存方法として、科学的に技術が確立しているだけでなく、一部の生物はこの能力を生来から持っています。
本作の世界で知られている科学技術では、完全な大きさの人間をこの状態にして保存するまでには至っていません。食物で保存の為に使用するのも非効率的で、乾燥麺などもこの方法では保存はしていません。
しかし、人間の遺伝子を持つ存在で、この状態にする事で保存利用しやすいのが精子です。この、クリプトビオシスによって長期保存された乾燥精子を利用することにより、女性は男性の存在を常に必要とはしなくなった事が、ヴァルキリー族の時代を支えた技術となりました。
ラグナ族の時代である本作の世界でもこの精子保存技術はありますが、現代の冷凍保存の精子のようにドナーの男性データが詳しく記録されているファイルが附属されているわけではないので、普通の女性でどんな精子でも妊娠してしまえばいいという人はいません。
ですので、ラグナ族の時代では、ほとんど利用される事がない技術となっています。
一部の種族ではこの能力を持っている種族もいます。スキュラ族などの寄生種族などはクリプトビオシスを利用した耐性卵化することができますし、他にも様々な方法でこの能力を活かしている種族がいます。
また、大陸で見かける事はありませんが、他者を強制的にクリプトビオシス化させて、ファンタジーゲームの石化のような状態にさせてしまう能力を持った種族もいるといわれています。
本来、水を与えれば元に戻るはずですが、その場合は、それを阻害する様な成分を添加し、元に戻せないようになっているようです。
通常の人間はクリプトビオシスを構成する、トレハロースを生成する能力を持っていませんが、進化系統がまったく別の様々な門の動物がこの能力を獲得していることを考えると、この特別な能力は、それほど極端に特異な能力ではなく、比較的獲得しやすいか、それとも動物の先祖で既に獲得され、ほとんどの動物で使われなくなっただけなのかもしれません。
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・PolyNitrogen回路
魔力回路とも呼ばれる細胞内器官です。
自然界の微生物が結晶化させた高エネルギー物質を、この体内の器官で燃焼、制御します。
この回路の能力については、種族によってかなり差があり、特に個人によっても大きいです。さらにPN回路は遺伝的要素が強く、先天的才能が大きく影響します。
PN回路に関するエネルギー学問を魔法物理工学といい、PN回路自体を魔力回路と呼ぶことがあります。
このPN回路の火力を活かし、実戦で運用できるまでに訓練したのが法兵です。
種族分類学者は、人類がPN回路を獲得した過程について“ヴェスタの加護”との関連を疑っています。
PN回路は、ミトコンドリアが行うクエン酸回路に近い機構です。ミトコンドリアはαプロテオバクテリア綱リケッチア目の一種が共生したもの、と言われており、PN回路を構成する細胞内器官も、同様に共生したものではないかと考えられています。
また人類を守るために、“ヴェスタの加護”が必要とされていた理由がリケッチア目で新種のボルバキアであり、PN回路を産み出す細胞内小器官もリケッチア目である可能性が高い事もそれを示唆しています。
また、本作の世界で大繁栄している空中窒素固定菌、αプロテオバクテリア綱リビゾビウム目も実際はリケッチア目、もしくは近縁である可能性が示唆されており、PN回路はこの空中窒素固定菌がエネルギーとして固定化した高エネルギー物質をエネルギーとして利用する細胞内小器官です。
ですので、このボルバキア、ミトコンドリア、PN回路を運用する細胞内小器官、空中窒素固定菌は、それぞれの何らかの関連が疑われています。
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・グリーングラス
本作の世界の巨大バッタです。体長は大人で60cm~最大で1mほどです。
巨大である以外は、生態系は我々の世界のバッタとほとんど変わりがありません。孤独相と群生相という変異を持つ事も同様です。
孤独相では単独で主に村の田畑を襲いますが、大きい割に臆病で簡単に追い払うことが出来ます。しかし、群生相のバッタは黒く変色し、性格も獰猛で、大群で行動して、田畑のみならずあらゆる草木を喰い尽します。
さらに、植物性であれば建物や衣類なども襲い、村の食料生産は壊滅的な打撃を受けるでしょう。
巨大なため殺虫剤の効果が少なく、農作物に大きな被害を与える存在として恐れられています。




