資料20~レンの時代、タイミィル半島、エクス教、船の名称
・レンの時代
3028年以降のアスンシオン帝国の最大版図時代です。
領土だけでなく「R属管理法」「ラグナ族第一主義法」という2つの法律が制定されたことにより、国内にいる全てのラグナ族女性は皇帝レンによってその生殖権を強制的に管理されることになりました。
もともと「ラグナ族第一主義法」はエルミナ王国に存在し、純潔主義を守るための法でしたが、それが全ラグナ族に、そして支配者の意図によって制御されることになったのです。
法律について
「R属保護法」
これは、国内のR属女性の全ての身体に適用される法律で、繁殖可能な全ての女性の身体は、この法律によって皇帝の管理下に置かれます。強制的に没収することも可能ですが、有用な能力を持つ等の必要性に応じる場合がほとんどです。
「ラグナ族第一主義法」
こちらは、繁殖可能なR属女性の身体以外に関する法律で、ラグナ族の特殊能力を保護するため、それ以外の者達も必要な税制、労働、必要な生理的機能の提供等を行わなければならないというものです。
これはラグナ族とその諸派の維持だけに適用されます。R属のヴァン族、アヴジェ族、ヴァルキリー族、エルミオンヌ族、ノスフェラトゥ族には適用されません。
支配地域について
大陸にある国家のほとんどが帝国傘下となりましたが、内情はかなり違いがあります。
「レナ王国」
国王イェルド・アクセルソンが統治しています。傘下の属国というより、軍事同盟国です。
アムール川沿いに勢力を広げ、帝国側から食料の援助を受けるなど、帝国との軍事・経済同盟によって大きな利益を得ています。
レナ族はラグナ族ですが、レナ王国は帝国傘下ではないので「R属保護法」「ラグナ族第一主義法」は適用されていません。よってレナ族女性に帝国皇帝の管理権に及ぶことはありません。
しかし国王は自主的に娘達を帝国皇帝の後宮に入れています。
「バイエル共和国」
バイエル共和国はその自主権を喪失し、完全に帝国傘下の一都市になっています。
しかし、高原地方における要衝である事には変わりなく、バイエル市にはアスンシオン帝国の東方総督府が置かれ、エニセイ川、レナ川、アムール川に繋がる運河もさらに拡幅されて流通量が増え、都市はさらに活性化しています。
バイエル族の生殖権は完全に皇帝レンの手中に堕ちましたが、都市基盤は相変わらずバイエル族が維持しています。
「東方諸族」
アムール川、遼河沿いの諸族はレナ王国傘下の種族となりました。特にラグナ族の一派もしくは近い系統のシルカ族、オノン族、カンロ族は強い支配を受けています。
「東方七王国」
魏、燕、呉、越、蜀、理、斉の七国は表面上の独立を維持していますが、支配者を全て帝国によって乗っ取られています。
ただし、もともとこの地方にはタマモ族などのP属系種族がいるので、支配は暫定的な物で、支配は七王国の主要な王族であるエンカ族しか及んでいないようです。
「ヴァルキリー共和国」
主力の戦処女達を全員奪われ、政府は乗っ取られて、国家自体が皇帝の私兵同然に陥っています。
ヴァルキリー族を主体とした者達で蒼天騎兵団という新たな航空兵団が作られました。
「タリム共和国」
帝国に服属を決めましたが、あくまでカチュア族の遺伝子的、学術的協力のみで、ラグナ族第一主義に寄与する程度で、自治権は喪失していません。
それでも、カチュア族の特殊能力である“贖罪”持ちの娘達が後宮に捧げられています。
「南方インディア地方」
カンバーランド、ローランド、リンガーランドの各王家はそれぞれ、帝国の傘下王国となりましたが、宗主権は認めているものの、支配体制は今までとそれほど違いはありせん。
このインディア地方では、過去にもこのような事はよくあることで、珍しい事ではありません。
「ハイランド王国」
メリエル王女が退位し、アスンシオン帝国のハイランド総督領という一地方となっています。
トリム教徒である山の神殿の神官達は全て皇帝の預かりとなりました。一時的にハイランドでは帝国の支配に反対運動もありましたが、タリム共和国が服属し、ハイランダー族の誇りである天槍連隊がかなりの数に整備され始めると、意外と国民に受け入れられているようです。
「エルミナ王国」
エルマリア王女が退位し、正式にアスンシオン帝国の総督領となりました。
当初は帝国支配に抵抗する動きも最初は見られたものの、現在では最も熱心の帝国の与党となっています。
聖女連隊も実践的で極めて強力な精鋭部隊として大陸中に鳴り響いています。
「ティルス王国」
帝国に服属的同盟条約で傘下に入りました。
ラグナ族第一主義の政党が優勢でしたが、皇帝に娘を何人も捧げているにも関わらず、ティルス族の特殊能力は判明していません。
そのため政情は不安定で、隣のエルミナ総督府や南のファルス軍が駐留する事態になっています。
「ファルス王国」
国王アルプ・アル・スランが統治する国ですが、完全に帝国に追従する隷属国と化しています。
トルバドール族の娘達は順次、帝国に皇帝に捧げられました。
当初は帝国への臣従的な政策に激烈な反対運動がありましたが、強力な弾圧によって封じ込められました。
その後、トルバドール族の失われた特殊能力が取り戻され、緑天騎兵団として、ファルス軍の主力を担っています。
「テーベ諸都市同盟」
もっともはやく帝国に帰属を決めた地方で、実際は皇帝レンの時代ではなくその前の皇帝リュドミルの時代に服属したものです。
相変わらずテーベ族のメイド達は帝都で活躍しています。
メトネの娘達について
後宮に捧げられた娘達は全て一度メトネ・バイコヌールの魂を封じた精子によって子供が作られ、“AP”という急成長技術により僅か1日で生殖適齢期になります。
その娘を母とする娘達が「メトネの娘達」です。事実上のラグナ族の商品化による具体的な結果ともいえるでしょう。
それぞれ系統によって同じ学校で生活しているので彼女たちの事をそれぞれ連隊名で呼ばれています。
彼女達は全員軍人でありながら職業市民、つまり即応兵力である事も義務付けられています。
どちらにせよ、全員連隊学校の隣の独身寮で集団生活をしています。各連隊は2万~7万ぐらいの人数です。
「アリス族連隊」
アリス族の支援隊で、帝都でとても人気がある美少女連隊です。戦闘力は求められておらず、衛生、補給等の担当になります。
「補給連隊」
メディア族、スジャータ族、カンロ族で構成された部隊で全員がメディアの加護を持っています。
とても落ち着いた優しい穏やかな雰囲気で母性溢れる部隊だと言います。
「ラグナ族市民連隊」
歩兵主体の複合連隊ですが、普段は市民として生活しています。ウェイトレス、ナース、OL、司書など、場合によってはアイドルやモデルなどもいるそうです。
「航空騎兵連隊」
ラグナ族、ランス族を主体として構成された黄天騎兵団、トルバドール族の緑天騎兵団、ヴァルキリー族、オノン族、ティルス族の蒼天騎兵団、レナ族の銀天騎兵団の四つが存在します。それぞれ種族や制服の色が違います。彼女達はとてもライバル意識が強いです。レナ族の部隊は「銀天騎兵団」ですが“メトネの娘”ではありません。
「法兵連隊」
ラグナ族、アリハント族、バイエル族、レナ族が主体としている法兵部隊です。こちらもレナ族だけは“メトネの娘”ではありません。
「踊り子連隊」
トルバドール族、ルサルカ族、アヴジェ族、マイヒメ族が主体としている支援連隊です。
「弓戦連隊」
アテナ族、シルカ族、マドカ族、ラミア族が主体としている支援連隊です。
「特科歩兵連隊」
ランス族の“陽彩”、ハイランダー族の“惑星”、エンカ族の“縮地”、カチュア族の“魔撃”“贖罪”を持つ歩兵部隊です。
「テーベ族連隊」
テーベ族のみの支援連隊です。彼女達は“メトネの娘”ではありません。相変わらず野外戦は苦手です。
「エンカ族連隊」
東方七国出身のエンカ族の歩兵主体の複合連隊で、それぞれの国の特色を活かした編成となっており、連隊内でも7つの派閥に分かれています。
「カマラ族連隊」
南方三王国出身のアリハント族、ローランダー族、ガネーシャ族の歩兵主体の複合連隊です。連隊内でも3つの派閥に分かれています。
「エクス教徒連隊」
エルミオンヌ族などエクス教徒を主体とした連隊です。
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・タイミィル半島
タイミィル半島は北極海に突き出た大陸最北端に位置する横長の半島です。
南側にプトラナ台地、南東側はコトゥイ湾を隔ててレナ王国のオレネク=アナバル州、南西側に北オビ海、西にカラ海、東にラプテフ海に囲まれています。冬季は東のラプテフ海は完全に凍結し、カラ海も流氷が流れるため非常に危険な海域です。
現在同様、限界緯度66.6度を超える北極圏に位置し、夏は日の沈まない白夜、冬は太陽の登らない極夜があります。
本作の世界でのタイミィル半島も、極めて気候の厳しい地域です。海流の影響で我々の世界よりも温かく、南西のオビ海は凍結しません。それでも半島の東側はマイナス30℃近くなります。
半島の北東に豊かな淡水湖であるタイミィル湖があり、カラ海に面して北の港ディクソンがあります。
タイミィル半島の道路はディクソンから南へプトラナ台地を通過するか縦断道路と、ノリリスクから東西にコトゥイ湾方向へ結ぶ横断道路の二本しかありません。
土地は永久凍土であり、農業はほとんどできませんが、唯一夏季だけはツツジ目のブルーベリーを採取することがあるようです。
それ以外の産業は、漁業、畜産、狩猟、そして鉱業に頼っています。
人口は希薄ですが、アスンシオン帝国のラグナ族や、ラグナ系のレン族の他、R属のヴァン族、アテナ族、そして地元の居住者としてイエティ/フラウ族、スノータイガー族、タイキ族などが住んでいます。
イエティ/フラウ族は狩猟を、スノータイガー族は遊牧を、ヴァン族とアテナ族は漁業を主に営んでいるようです。
家畜は鯨偶蹄目のレインディア(トナカイ)、ネコ目のアザラシが食用、毛皮用に飼われています。両種とも他の家畜と比べれば、家畜にされて比較的新しい種類です。
漁業は資源が豊富です。カレイ目のオヒョウ、キュウリウオ目のカラフトシシャモ、エビ目ヤドカリ下目のタラバガニなどの食材は、他の地域でも人気で、よく輸出されています。
ノリリスク市では養殖もおこなわれており、コンブ目のウレタンコンブは、特殊なウレタン素材の材料として、輸出用に重宝されています。
また、オビ海側のノリリスク川などでは、サケ目のサケ、チョウザメ目のチョウザメなども採取され、重要な食料となっています。
鉱山資源は豊富で、南側のプトラナ台地も含めて、いくつかの鉱山が発見、稼働しており、ラグナ族の労働者はそこで働くことが多いようです。
半島のちょうど中央付近には、ジオグラフォスクレーターがあります。タイミィル半島は風化による劣化作用が乏しく、その衝撃によって形成された地形がほぼ当時のまま残されています。
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・エクス教
エクス教の主神は、マキナ教徒と同じデウス・エクス・マキナです。マキナ教の別宗派ともいえる宗教で、別称として旧ゼウス教といえばエクス教、新ゼウス教といえばマキナ教を指します。
彼らは聖典主義という思想を持っています。神の言葉であり、その教えを記した聖典が全ての信仰の根本であるという考え方です。これは人間が決めた法よりも優先されます。これを、聖典絶対主義ともいいます。
啓蒙教徒であるマキナ教は、法は人間の理性によって産み出されるという考え方ですが、エクス教は人の行いは聖典によって神に示されるという考え方なのです。
エクス教の聖典は伝記を含めたもので多岐に及びますが、基本的には神が教えとして示すのは、三行七悪です。
まず三行は信者が行わなければならない三つの行い「入信」「宣誓」「隣愛」です。
「入信」とはデウスの教えを受け入れる事です。これにより、エクス教会より名前の後に聖名が与えられます。日常の行いとして神への礼拝や、教義の朗読等があります。
「宣誓」とは君臣や結婚に関する約束で、忠誠や決意、愛などを神に誓い、宣誓した信義を生涯守るという事です。
「隣愛」他者を人間として慈しみ、貧しければ施し、困っていれば助ける。という事です。慈愛、博愛とも言います。
これらエクス教が示す三行はそれほど難しくないと思われます。神を信じ、信義を守り、他者を慈愛せよ、ということです。
七悪は戒めるべき七つの欲望です。「色欲」「暴食」「強欲」「怠惰」「憤怒」「傲慢」「嫉妬」があります。
「色欲」とは、性欲に関することです。具体的には、夫婦関係以外の性交渉を戒めています。
「暴食」とは、食欲に関することです。不必要の食事、食べ物を粗末にすることを悪徳としています。
「強欲」とは、快楽欲に関することです。薬物による快楽を罪としています。
「怠惰」とは、無気力欲に関することです。勤労を励行し、怠けた行いを悪徳としています。
「憤怒」とは、破壊衝動欲に関することです。暴力や破壊、ヒステリックな衝動的態度を悪徳としています。
「傲慢」とは、金銭物品欲に関することです。他者を慈しまない、自分本位の必要以上に華美、金銭を貯めこむ事、不正取引を悪徳としています。
「嫉妬」とは、交友関係欲に関することです。他者の成功を妬み、交友関係を妨害、虚偽の自己顕示を悪徳としています。
エクス教徒の総本山はローラシア帝国です。この国ではエクス教会の教皇が強い権力を持っています。
マキナ教徒でも、上記の三行七悪の教えは存在します。彼らの啓蒙の法でもそれらは戒める対象として定めてはいるのです。
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・船の名称
本作の世界では、主に使用用途と帆船の場合はマストの本数で船の呼称が決まっています。マスト5本以上の船はありません。
手漕ぎの場合は漕ぎ手の配置される段数で決まります。
河川で航行可能な船は耐波性が劣っています。
輸送
安価で主に物資運搬に使います。武装なども行うことが出来る基本的な船舶です。
スループ、マスト1本、河川○(浅)
ブリック、マスト2本、河川○(深)
カラベル、マスト3本、河川×
キャラック、マスト4本、河川×
ガレオン、マスト5本、河川×
快速
長い船体が特徴で、積載量は輸送用に劣りますがスピードが出ます。少人数で航行可能です。輸送用に比べて高価です。
カッター、マスト1本、河川○(浅)
スクーナー、マスト2本、河川○(深)
ジーベック、マスト3本、河川×
クリッパー、マスト4本、河川×
バーケンティン、マスト5本、河川×
戦闘
装甲を施した船です。防御力に関しては他の比ではありません。
ガンボート、マスト1本、河川○(浅)
コルベット、マスト2本、河川○(深)
フリゲート、マスト3本、河川×
クルーザー、マスト4本、河川×
ドレッドノート、マスト5本、河川×
手漕ぎ
風が無くても航行可能なのが特徴です。積載量が小さく、乗員がたくさん必要です。カヌーとバルサ(筏)以外は漕ぎ手の配置される段数で名称が変わります。
カヌー、1段、マスト0本、河川○(浅)
バルサ、1段、マスト1本、河川○(浅)
ロングシップ、1段、マスト1本、河川○(浅)
ガレー、2段、マスト1本、河川○(深)
トライリーム、3段、マスト1本、河川×
ガレアス、4段、マスト1本、河川×




