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資料19~ムラト族、アルジャーノン/マリル族、エルミオンヌ族、ノード族

・ムラト族 H.sapiens var.murabito

挿絵(By みてみん)


 ムラト族は薄暗い峡谷に独自の村を形成して住んでいる種族です。H属の人間種で、男女とも容姿は地味で、目立たない髪色、顔立ちやスタイルの見栄えも良くなく、良く言えば控え目、悪く言えば暗い性格で他者との交流を余り好まず、感情を表に出さない生活をしています。


 ムラト族は全般的に能力値が低く、特に魅力、魔力関係の能力は低調で性能的にはまったく長所のない種族です。個々で性格的に好きな傾向が決まっていて、それさえ見抜けば他の種族に比べて素直で扱いやすいです。

 身体的には特殊な病気には極めて強くて健康的です。ただ、成人病や精神病などのR属などのラグナ族とは別の病気には罹りやすいので、上手く欲望を制することは必要です。


 ムラト族の文化は、奇妙な食事、特殊な趣味、陰鬱な性癖に特化しているという他の種族とは明らかに違う文化形態を持っています。興味ある事、面白い事が好きで、常に妄想的な欲望を持っています。特に小説や漫画といった創作作品が大好きで、彼ら自身も多くの作品を残しています。しかしその欲求を直接表に出す事はほとんどなく、普段は自らの欲望を控えて生活しています。


 彼らの特別な技術として、軽くて丈夫なPET素材を飲食物の容器や衣服等に使用し、炭酸飲料などの飲み物、激ウマ棒などのスナック菓子があります。


 また、ネコなどの動物を家畜以外の愛玩目的で飼っている者もいます。ラグナ族でもごく稀にペットを飼う者はいますが、ムラト族に比べれば圧倒的少数派です。犬に関してもラグナ族は主に狩猟用、番犬等の使用目的で飼いますが、ムラト族が飼う場合は愛玩用がほとんどのようです。


 彼らは臆病で能力も低く戦闘は大の苦手です。もし戦闘になった際には男性は盾を扱い密集した陣形で隠れながら戦う場合が多いです。女性は臆病で、ほとんどの者は戦う事はありません。


 彼らは時折、他の文化では認知されていない変わった用語や単語を使います。化石燃料の時代に流行した単語やセリフのようですが、原本はほとんど判明していません。


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・アルジャーノン族/マリル族 B.litchi var.marill

挿絵(By みてみん)


 アルジャーノン/マリル族はアスンシオン帝国東方のツァイダム高原に住む種族で、B属地上丸耳系と呼ばれて分類されています。


 男女で呼称が違うのは彼らが別々の生殖形態を持つからです。しかし、種族分類学者は彼らの以外のB属地上丸耳系の分類から、アルジャーノン/マリル族はもともとひとつの種族だったと考えられています。


 アルジャーノン族は雄性発生を行う男性だけの種族で、オークと同様の能力を持ち、繁殖に他のすべての人間種の女性を利用する極めて凶悪な種族です。

 外見は小柄な二足歩行のネズミのような異形の姿であり、肌は灰色。全身に毛が生えています。


 マリル族は単為生殖を行う女性だけの種族です。交配することなく、自分と同じ遺伝子の娘を大量に産むことが出来ます。外見は灰色の髪をした少女のようで、頭に別の動物のような耳が付いていますが、これはアクセサリーなどではなく、第二耳という別の耳です。また、尻尾が生えています。


 B属が持つ第二耳と呼ばれる器官は、光波を感知する視覚や音波を感知する聴覚とは別の第六の感覚器官です。

 電磁波、具体的には極超長波(ELF)センチメートル波(SHF)を感知でき、極超長波(ELF)は長距離まで届いて土の中や水中においても簡単な連絡を可能にし、地震や宇宙の異常を知る事ができます。

 また、センチメートル波(SHF)は連絡だけでなく暗闇や無音でも周囲の状況が分かります。

 この機能は、受信だけですが、尻尾を使って簡単な発信も行う事ができるので、夜間でもそれを使って周囲の状況を感知、連絡することが出来ます。ただし複雑な感知や、内容は伝達できません。


 アルジャーノン/マリル族は、とても非力で知能も高くない種族ですが、“AP”という急成長能力があり、法力エネルギーを利用して爆発的に成長することが出来ます。

 ただし、精神的な弊害があるため、通常は成長を抑え、2週間程度で肉体的に性成熟した大人になります。


 アルジャーノン/マリル族には、記憶の相変異刻印という、バッタの相変異の親子継承に近い能力があり、親の記憶を一部受け継ぎます。ただし複雑な記憶は無理で、簡単なものや印象の強いものだけに限られます。

 マリル族には稀に飼い主という主人に従属することがあり、この主人への忠誠心が主な相変異刻印の引継ぎになるようです。

 アルジャーノン族は、歳を経ると狡猾な知力を身に付ける場合が多く、詐欺師や悪知恵の代名詞のように言われることがあります。


 アルジャーノン/マリル族で、もっとも恐ろしいのが驚異的な繁殖能力です。

 前述の通り、アルジャーノン族は他の人間種の子宮を利用して大量発生し、マリル族は性交することなく自分と同じ遺伝子の娘を大量に産むことが可能です。

 この脅威の増殖能力を蔑んで、彼らをオーク族などと同列に卑下する者もいるようです。実際、アスンシオン帝国では人間としては認められていません。

 また、“ヴェスタの加護”という処女能力を持っていません。



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・エルミオンヌ族 R.exousiai var.hermione

挿絵(By みてみん)


 エルミオンヌ族はエクスシア族と同種族の諸派です。ラグナ族とは別種ですが、黄金色の豊かな髪に青い目をしているなど、その外見的身体特徴はラグナ族にとてもよく似ています。

 かつて、エルミナ王国を建国したのは彼らです。エルミナの名前もここから来ています。

 建国初期はランス族と協調した国家運営を行っていましたが、ランス族の「ラグナ族第一主義」の影響か、次第にエルミオンヌ族は追い込まれ、ランス族によって追放されてしまいました。

 今の彼らは、アスンシオン帝国や、ローラシア帝国で細々と暮らしています。

 エルミオンヌ族は、ほとんどがエクス教徒で、マキナ教徒と思想が違う事も影響しているのかもしれません。


 エルミオンヌ族の“ヴェスタの加護”を持つ女性は、ラグナ族とは別系統の特殊能力を持っています。

 エルミオンヌ族は“聖旗”という力があり、周囲にいる味方の士気を鼓舞します。これは味方の旗を持っていると効果範囲が増幅されるため、エルミオンヌ族の事を「旗持ち」「処女の聖旗」と呼ぶ場合もあります。


 種族分類学者は、ラグナ族の特殊能力と、エクスシア族の特殊能力は互換性が無く、お互いの混血で能力が失われる点を指摘しています。

 事実、エルミナ王国で内紛が発生したのはそれが根本の原因ともいわれています。また、アスンシオン帝国の多くのラグナ族が特殊能力を持たないのも、同様です。


 外見はラグナ族とほとんど変わりませんが、あまり華美を好まない傾向があります。これは種族的な影響ではなく質素倹約を好むエクス教による影響かもしれません。



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・ノード族 arcology-processing-unit

挿絵(By みてみん)


 ノード族は、T属に分類されます。おそらくT属のタイキ族と同じ性質で、外見上は人間種です。タンパク質ではなく、ケイ素による物質で出来ている、PN回路や“ヴェスタの加護”が無いなどはタイキ族と同じです。生殖能力が無いため、おそらくタイキ族を生物、そして人間種と認定している種族分類学者でも、生物とは認定しないでしょう。


 生殖能力がないため、男女という定義が正しいかはわかりません。また、平均を取るほどの知られていない種族の為、外見に関しては未知数です。一般的にはタイキ族に似て、男女とも透き通るような白い肌と、クールな表情を持ちます。

 この外見のノード族は、人型のインターフェイス、つまりただの端末だといわれています。このインターフェイスには寿命がありますが、本体にはおそらく寿命はありません。


 本体は地下宮殿(バジリカ シスタン)の第5層中枢エリアにあって、地下宮殿の支配者、もしくは管理者といわれています。

 恐るべき情報収集力と記憶力を持っていますが、勉学を好まず、自ら何かを研究するという事はありません。


“Wi=Fi”という特殊能力を持っており、その都市内にいる精神の働きを全て把握できます。また、副次的な効果として、精神的な作用を管理する領域全体に広げることが出来ます。

“Wi=Fi”自体の効果は、文字通り電波による伝播だけで、ノード族自体は、これを使って都市内の人間を洗脳したり、記憶を改ざんしたりはできません。

 別名でサーバと呼ばれている場合もあるようです。その場合は、機械として評価し、サーバ族のようには呼びません。

 ノード族の人型インターフェイス自体も“Wi=Fi”で動いているようです。ですので、その影響が及ばない都市外へ出ることは極めて困難です。

 ただし、その能力は大幅に低下しますが、絶対に移動できないわけではありません。


 遥か昔には地下宮殿の数だけいたといわれていますが、長い年月の結果、動かなくなってしまったノード族も多いと思われます。


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