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資料3~化石の時代、ヴェスタの加護、マテリア、エランヴィタール

・化石の時代


 本作の世界より遥か昔にあった文明時代、我々の時代です。

 この文明時代は、地球の様々な生物が長い年月をかけて蓄えていた数多の資源を消費、特に化石燃料をエネルギーとして使用する事で文明を発達させたので、本作世界の人々はこう呼んでいます。


 化石の時代が始まる少し前まで、H属にはいくつかの人類種がいたことが判明していますが、化石の時代の終期には、ただ一種の人類だけが繁栄していました。


 繁栄を極めていた化石の時代の人類ですが、化石資源の貯蓄はいつか無くなります。

 それでもこの時代の人々は、培った優れた科学技術を駆使し、産業や技術の効率化、遺伝子改良による生物の品質改善、土壌整備を含めた食糧獲得手段の収穫率の効率化、高エネルギー物質(マテリア)を産出する新エネルギー細菌の開発などが行われました。本作の世界でも活用されている技術や能力は、ほとんどがこの時代に開発されたものの名残りです。


 この時代の後に「フィンブノーヴェルの冬」という大氷河期が訪れ、人々は地下宮殿(バシリカ シスタン)と呼ばれる地下のシェルターに避難して細々と生き永らえる事になります。この長い苦難の時代により、人類の人口は大幅に減り、ボトルネック効果により人類の遺伝的浮動が大きく促進されたといわれています。

 H属の人類の他に、R属、G属、B属、E属の人類が登場するのはこの時代です。他に本作の世界にはT属とD属がいますが、どこから発生したのか記録がありません。この時代には存在しなかったか、存在していても認識されていなかったと考えられています。


 種族分類学者とは、本作の世界での生物学者の事です。R属、G属、B属、E属のいずれもこの時代に誕生しているのは「ボトルネックの結果、特殊な能力遺伝子を持ったH属の人類の中から分化したのだ」と主張しています。

 しかし、その意見とは異なる主張もあるようです。


 この時代の記録は、地下宮殿(バシリカ シスタン)の奥深くに記録として残されている黒い石板モノリスオブタクティクスに保存されていますが、普通の人間には読めない文字で書かれています。この文字はなぜかタイキ族などのT属のみが読む事が出来ます。


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・ヴェスタの加護


 ヴェスタは本作の世界の処女神です。“ヴェスタの加護”がある、とは男性経験がない女性の事を意味する場合もあります。


 黒い石板モノリスオブタクティクスに記録された情報では、遥か昔、恐ろしい伝染病が流行したといいます。

 その病原菌はαプロテオバクテリア綱リケッチア目のボルバキアという細菌の新種でした。このリケッチア目は他の細胞に侵入しないと増殖できません。

 ボルバキアは、もとから卵子に侵入し、卵巣に保管されている卵子の細胞質を自分の都合の良いように変質させてしまう能力があります。

 このボルバキアが人間に感染するようになったのです。


 この感染力は強大で全ての人類は滅亡の危機に瀕しました。しかし、そこへ女神ヴェスタが現れ、全ての女性達にその加護を与えたと言い伝えられています。

 この“ヴェスタの加護”の結果、未婚の女性は、ボルバキアのような細菌やその他の物理的侵入から身を守る事が出来るようになりました。


 しかし、女性にとって精子は異物です。これまで完全に防いでは、防御機能として役割を成すどころか、逆に人類が滅亡してしまいます。この問題を解決するために、この加護は男性からの性交渉によってのみ破られることになったと伝えられています。

“ヴェスタの加護”喪失後は、細菌等の侵入を受ける事になりますが、この新種のボルバキアは、休眠中の卵子を狙うのが一般的であり、女性の生殖可能な期間から考えてもそのリスクは大幅に軽減される事になったのです。

 本来、処女膜も未成熟な内性器を細菌などから守るためにあります。この加護は広義に考えれば、それと効能に変わりありません。


 ただし、T属のタイキ族など一部の種族は“ヴェスタの加護”を持っていない種族もあります。


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・マテリア


 高エネルギー物質(マテリア)は、αプロテオバクテリア綱リビゾビウム目、若しくはリケッチア目に属する特殊な細菌が作り出すエネルギー結晶です。

 この細菌は、様々な科、属に分かれており、地中系、植物系、海洋系に分布して、それぞれ結晶の名前を、「翡翠」「琥珀」「真珠」と呼んでいます。これらは同じ名称でも、現代世界の宝石とはまったく違います。


 この素材は採掘、または収集して精製すると、マテリア結晶となり、法兵の使う法弾などのエネルギーになります。

 このマテリアは体内の細胞内器官であるPN回路で利用してエネルギーに変換できます。

 PN回路を魔力回路と呼ぶ場合は、マテリア結晶は魔力の源という意味で、魔力結晶などと呼ぶ場合もあります。


 この魔力結晶を効率的に取り出す、研究する学問を本作の世界では魔法物理学と呼んでいます。


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・エラン ヴィタール


 種族の誇り(エラン ヴィタール)とは、一般的な用語としては、内在する生命の躍進力。生命の飛躍などと訳されます。

 WW1のフランス陸軍では軍事学の根本として教えており、その場合は攻撃的精神、生死に関わる鋭気、などと訳される場合もあります。


 本作の世界のエラン・ヴィタールは「種族の誇り」「生命の潜在力」という意味で使用されます。


 色鮮やかでカラフルな体色の小鳥がいるとします。

 大変目立ちます。このままなら、肉食の大型の鳥に優先的に狙われ、食べられてしまうでしょう。

 地味な体色に進化すれば生存に有利です。進化論では、生存に有利な能力が進化することになっています。

 事実、そのように地味な体色になったほうが有利なので、多くの鳥は目立たないような体色になりました。


 しかし、いくら生存に有利だからといって、全ての鳥の体色が地味で目立たない色になるわけではありません。

 そこに存在するのが、種族としての潜在性、精神的に考えれば種族の誇り、“種族的意志”ともいえる存在です。

 色鮮やかな体色を残す鳥は、その色が種族としての誇りであり、種族の意志であり、それが譬え進化の概念では淘汰されてしまうようなものであっても、それを無くす事など種族としての存在意義、意志が許さないのです。


 本作中では、ウナギ科魚類が深海で産卵することを種族の誇り(エラン ヴィタール)として扱っています。

 ウナギの大回遊の理由は謎に包まれています。他の種族からみれば、生存に不利に思える回遊行動ですが、ウナギにとっては譲れない事、どんなに進化が進んでも、大回遊をやめ、深海産卵を放棄することなど、ウナギ達の種族の誇り(エラン ヴィタール)が許さないのです。


 これらを、本作の世界の種族達は自覚しています。各種族には、種としての潜在力があり、けして譲れない種族の誇り(エラン ヴィタール)がある。

 もちろん、人間種ですから、肉体的な意味とは異なる、文化的な意味合いで使用し、本来の部分からは離れてしまっていることもあるでしょう。

 しかし、内容的には、そのような意味で使用されているのです。


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