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第七回「至難の一手」

(ナレーション)「明智光秀の軍勢を目前に、姫路に参着した官兵衛はこのいくさ最大の難局とも言うべき大いくさに一人、孤独な戦いを挑もうとしているのでございました…」


(官兵衛、落ち着かなそうに電話をかける)

「…ね、寝てない、いや、起きてたっ?うん、夜遅くごめん。そうそう…今ね、もう少しで姫路…いやいや、違うよ。まだ着いていないよ。そうそう、高速も混んじゃったしさ…うん、おれ、ほら殿軍(さいご)だったでしょ?…」

(貧乏ゆすりをしながら、妻の声を電話で聞く官兵衛。ちょっと声が上ずっている)

「うん、えっ、だからまだ着いていないって!9日間でこっちまで走ったからさ…そう疲れたよ。いや、もう信長さまのためだしね!うん、ずっと仕事しっぱなしでもう遊ぶ暇もなくて…電車?いや乗ってない違うって。高速だよ。車、うん疲れた」

(官兵衛の貧乏ゆすりがさらに激しくなる。コツコツ、拳で壁を叩きながら息を吸い込み、官兵衛勝負の顔を見せる)

「いやもう、明智光秀の軍勢も近いしさ、今日は秀吉様に言って、みんな城下には帰らないことにしたんだよ。と言うわけで今日は帰らないでホテルで…って、誉められたんだよ?いや、本当だって!さすがは官兵衛、みなの士気を高めるためであるな!って。そうそう…」

(話が少し難しくなってきたのか、官兵衛眉をひそめる)

「いやね、みんなに帰るなって言った手前、おれも泊まらないとさ…いや、違うよ!違うって…何言ってるんだよ!帰れないのは仕事…違うって。だから、その…あっ、愛してるからっ」

(奥の手を使い切った官兵衛、段々声のトーンが下がる)

「う、うん…わかった。すぐ帰ってくる。…悪いことしてないって!そんなこと考えたことないから!いや、本当に勘弁…それだけはっ、本当にごめんなさいっ、すぐ、すぐ帰るからっ!」


(電話を切った官兵衛大きくため息をつく。トイレを出ると、角の大広間に夜遊びに行く準備をした秀吉と、その部下たちが待っている)

「どうした?官兵衛、やっぱり無理か!?」

(官兵衛、秀吉の声に殺意に満ちた視線を上げ、拳を握り締める。分厚い風俗情報誌がへしゃげて、ちぎれそうになっている)

「はっ、はい…残念ながら。官兵衛は家に帰ります。…はは、この官兵衛イチオシの新装開店イメクラパブ『桃色痴漢列車Zモモいろちかんれっしゃゼット』はっ、何卒っ皆さんでっ…楽しんできてくださあいっ!はっはははははあ…!!!(血の涙)」

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