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第六回「もう一人の強敵(つわもの)」

(ナレーション)「9日間での中国大返しを実現した秀吉様は京都山崎にて、明智光秀一万五千の兵と衝突致しました。しかし、チカン兵衛の前に現れたのは思わぬ強敵だったのでございます…」


(秀吉、官兵衛と天王山の布陣を構える軍議をしている。そこに未精算の領収書の束を持った石田三成が怒鳴り込んでくる)

「なんだよ佐吉、軍議中だろ。面倒くさいなあ」

「面倒くさいじゃないですよっ、官兵衛殿!こんな領収書切ってちゃんと通ると思ってるんですか!経理の女の子徹夜ですよ!ちゃんと説明してもらいますからね!」

「官兵衛…まさかあれ、経費でやっちゃったのか」

(あきれ顔の秀吉。官兵衛しらっとして目を反らす)

「まずこのデニーズでの打ち合わせ費の隣、ハンディデジカメ3台って入ってますけど、これ私物じゃないですか?」

「そんなわけないだろ。仕事で必要なんだよ。ねえ、秀吉様」

「な、なぜわしにふるんだ官兵衛」

「まだまだありますよ!次の日、ブランクのブルーレイディスク200枚、デジカメの用のバックアップメモリが5個、予備のバッテリー4台、仕事でそんなに写真使うんですか!?」

「使ったって。ほら、鳥取城の干し殺しのときとか高松城水攻めしたときとか。報告用に写真いっぱい撮ったし」

「何を撮ったんです?この場で見せてもらえますか?」

(鋭い切り返しに、目が泳ぐ官兵衛)

「や、やめときなよ。ほら、グロいから。鳥取城で食べ物奪い合ってるとことか清水宗治が切腹してるところとか映ってるしさ…」

「じゃあ、これは。その次の日、ピンホールカメラ4台、セーラー服3着!どう見てもいくさには使わないですよねえ!?」

「かっ、官兵衛(小声)かみさんに壊されたもの買っただけじゃなかったのか…?」

(ぎろりと睨みつける三成。秀吉、さすがにフォロー出来なくなって目を反らす)

「カメラのデータは没収します。中身を確認しますから。その上で必要経費と認めないものは返納してもらいます」

「なっ、絶対領域は仕事に必要なんだぞ」

「はいはい、いいから、さっさとメモリを出して」

(自分のモバイルを取り出して、立ち上げる三成。官兵衛しぶしぶデジカメからメモリを抜いて手渡す)

「そんなこと言って自分が見たいだけじゃないのかよ…(ぶつぶつ)」

「聞こえてますよ、官兵衛殿。私はあなたと違う。真面目にやってるんですからね!」

(立ち上がった三成のパソコンの画面がイタいアニメ仕様になり、官兵衛と秀吉、げんなりする)

「お前だってイタイじゃないか…」

「いたっ…って、何を言うんですか!これは私的な趣味ですよ!盗撮に経費使ってる官兵衛殿に言われたくないです。大体、アニメは世界に発信できる日本の文化なんですよ!ツインテールメイド服、猫耳つるぺたとオプション満載の二次元美少女を愛でて何が悪いんですかっ」

(三成の力説に二人ますますドン引きする)

「お前、二次元しか愛せないとか言うタイプだろ」

「まじ萎えるわ。ありえない」

(マジないマジないを繰り返す秀吉と官兵衛、不思議な結託感。三成孤立を感じ、ますますテンパる)

「そ、それの何が悪いんですかっ!て言うか二人とも、女癖悪過ぎるからこう言うことになるんですよ!リアルな女性は迷惑してるんですよ!絶対領域などと、迷惑千万、天下の害悪に他ならない!清らかな二次元愛こそ、天下に広めるべき理念でしょう!」

「ふざけんなっ、あの信長さまですら認めた私の絶対領域を馬鹿にするのか!お前こそ規制されろ!て言うか投獄されるがいい!」

「リアルに投獄されたあんたに言われたくないですよーだ!このチカン兵衛め、今度は実刑受けたらいいんですよ!」

(お互い譲らない官兵衛と三成。二人、お互いのほっぺを掴み合って、小学生レベルの低次元の争いを始める。そこに、いくさ支度を終えた蜂須賀家政が入ってくる)

「秀吉殿、何をぼーっとしておる。もう明智の軍勢が迫ってくるぞ…?」

「うん。ごめん。何だか見てたくなったんだわ。逆にこいつら、ほっといたらどこまで行くんだろうな…」

(秀吉、遠い目)


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