第五回「まさかの本能寺」
(ナレーション)「秀吉さまにつき備中高松城に在陣する官兵衛が、本能寺の急報を毛利方に伝える密使を捉えたのは全くの偶然でありましたのです…」
「官兵衛こんな夜中にどうしたと言うのだ!?」
「仔細は後で。まずはこのDVDの画像データをご覧下され!」
(自分のモバイルを見せる官兵衛。そこには電車内の盗撮画像が映っている)
「いつもの盗撮動画ではないか」
「殿…お気を確かに。御運が巡って参りましたのですぞ!」
「え…?いや、つーかお前の気が確かなのか!?どう飛躍したらこのチカン動画でわしに運が巡って来るのだ!」
「ふふふ、この画像は毛利方の密使が間違えて我が陣に持ち込んだもの。官兵衛これを見て察したのです。織田信長公すでに本能寺にて討ち取られてございます!」
「…いや官兵衛、お前、達し過ぎててよく判らぬ。一体どこまで変態を極めたらこの画像で信長様の変事が判るのだ?」
「判るものには判るのです!いやあ殿、運が開けて参りましたな!これは信長公に代わり絶対領域を至上とする世の中を作らなくては!」
(秀吉、目頭を揉んでディスプレイを見直す。何回見てもそこには、夏服の女の子たちのチラリ画像しか映っていない)
「いや、その。あのね、官兵衛。最近ちょっと働きすぎじゃないのかなあ?今日はこのことは忘れて早く寝なよ?な?」
「何を悠長なことを!この官兵衛を信じなされい!絶対死んでますって」
(蜂須賀家政あわてて入ってくる。本能寺の変を告げる密書を秀吉に見せる)
「うっ、うそっ当たった…なんで…?」
「ふははははっ、絶対領域を味方につけた官兵衛に不可能はありません!さあ秀吉様、急いで京都へ返しましょう!」
(すごすごと陣を引き払う秀吉軍。後日、空き地になった陣地にナビタイムで現地までのルートを確認しながら信長がやってくる)
「…あれっ?だーれもおらんでや!折角本能寺を抜け出して早い電車で来てやったのに!ハゲネズミ、官兵衛、みんなどこにおるでやー?土産のピザが冷めるでにゃあかっ」