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第十九回「乱世勝手に終わる」

(ナレーション)「本家の大河も終わったことだし、しかも2年ほど宇宙に行っていた官兵衛は妻(てる)の陰謀によってばっちり死んだことにされているのでございました…」


(落飾して尼となった妻、光、やけに立派な仏壇の前で手を合わせている)

「官兵衛殿、今日も静かな朝でございますよ。なんとこのご遺影の穏やかなこと…乱世を立派に生き抜かれましたな…」

「たっだいまー!」

(実家に帰ってきた官兵衛、堂々と仏間に入ってくる)

「いやあ、やっとのこと九州へと戻ってきたわ。たかだかレーザー光線銃使っただけであんだけキレるなんて…ったくあの二次ヲタ三成はともかく、家康殿も存外器量が小さいわい。…ってあれ、光、お前、九州に戻っておったのか。三成に留められなんだか?」

(官兵衛に話しかけられ、露骨にそっぽを向く光)

「あれ、あの軍チカン兵衛…もとい、如水、無事に戻ってきたんだけど?」

(ぷいっと今度は身体ごと外へ向く光)

「あああ、官兵衛殿、さぞや無念でござりましょう。今や天下の帰趨は関ヶ原にあり、息子の長政は、ばっちり出世コースに乗ったものの、殿は太閤殿下にこきつかわれてぱっとしないまま、宇宙の藻屑と消えてしまったのですから。…今となってはいなくなって良かった、て言うか、いなくなった方が良かった?後のことは全然大丈夫ですから、どうか迷わず成仏して下さい…」

「あのー、光さん。あなたの旦那様は生きてるし、普通に帰ってきたんだけどなー」

「太兵衛、善助、お塩です。お塩を持ってきなさい!」

「なにこの門前払い!?」

(本当に塩を持ってくる太兵衛と善助。官兵衛をみて硬直)

「「おっ、大殿!生きておられたのですか!?」」

「ばりばり生きてるわ!て言うか大河終わって一人歩きすらしちゃってるっつの!」

「官兵衛殿、全国一人歩きしすぎですから。わたしが何回通報したと思ってるんですか?お蔭で全国の警察関係者と深いパイプが出来てしまったではないですか?(と言いつつ光、自分のスマホを取り出す)」

「わっ、待て自宅だぞ!?たまには寛がせてくれ!!」

「いいですけど、官兵衛殿のお部屋、もう何もかも片づけてしまいましたけど」

(光、庭の一角の空き地を指す)

「すでに更地(さらち)!?私、どれだけ冷遇されてるの!?本当に藩祖!?」

「えっ、初代って長政でしょ?」

「すでに存在すらも抹消か!そら初代じゃないけども!妻だからってやりたい放題にもほどがあるだろ!」

「妻だからこそ、名門黒田の名を守らねばならないのです。だから官兵衛殿、安心してチカンでも盗撮でも援助交際でもやって結構ですよ。家系図はブランクにしておきましたし、肖像画にはモザイクをかけておきましたから」

(太兵衛と善助、細工した家系図と肖像画を持ってくる)

「一番肝心なとこ削っちゃってるよ!?誰が黒田家をここまでにしたと思ってんだ!?」

「だから…長政?」

(三人揃って同じ角度に首をひねる)

「みんなして誰に洗脳されてんだ!?ああー、どんだけかわいそうな人生なんだ、私。チカンはしたけど、天下のため黒田家のみんなのためここまで頑張ってきたのに。…あああ、私も秀吉様みたく旅に出ようかな。もうここにいたくなくなってきた」

「それは名案です官兵衛殿。次は幕末が来るそうですよ。わたしたち関係ないし…今度は黒船でペリーにチカンしたら?」

「どんなテロ行為だよ!吉田松陰より先に処刑されるわ!」

「官兵衛殿も禁書いっぱい持ってたじゃありませぬか。まあみんな処分してしまいましたけど」

「ちくしょー!あったま来た!こっちは宇宙の軍事力があるんだ!黒船どころか空飛ぶ白船だっつうの!待ってろ福岡、レーザー攻撃してやるからな!!」

「あっ、大殿!そこは大殿のイケナイコレクションを処分した穴が!」

「わああああああっ!?」

(飛び出したチカン兵衛、まっさかさまに落ちる)


(ナレーション)「そうしてチカン兵衛がやってきたのは、RPGとかに出てくる何やらだだっ広い草原だったのでした」


(と、チカン兵衛の目の前に立つエルフと魔術師の美少女パーティ)

「あっ、貴方様がわたしたちを導いてくれる異世界の勇者殿ですね…世界を、わたしたちをお救いいただけるなら、なんでも差し上げます!どうぞ、望みのものを!」

(美少女たちにすがられた官兵衛絶叫)

「ちっ、ちちしりふともも!!!」


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