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第十八回「関ぼっち官兵衛」

(ナレーション)「今年のクリスマスも一人、横浜へカップルのデート盗撮に出かけた官兵衛でしたが、続く天下分け目の関ヶ原でも、ぼっち感をひしひしと感じるのでした…」


(大広間で睨み合う石田三成と徳川家康。すでにバッチバチ)

「ったくやーっと太閤殿下がいなくなったと思ったら次は、家康殿ですか。つうか相変わらず地味ですねえ!そもそも全然モブでほとんどキャラづけもしてなかった家康殿が今度は前に出てきたって、誰も喜ばないんですよ。おっさんキャラくらいの立ち位置しかないし、橋本ちかげも使いどこ困ってるんですよ!」

「何を言っとるんだ、戦国時代と言えばメインはわしに決まっておろうが。覇者だぞ、後はみーんな引き立て役に決まっておろう。橋本ちかげが無礼なのだ、小田原の時ちらっとしか出さないし。しかも前田殿とセットか!いいかっこの際言っとくが、信長公、そして亡き太閤殿下と来て、最後にわしが一番得したんだぞ。むしろめっちゃキャラ立っとるじゃないか!お前みたいなその…パソコンオタク?なんかよりよっぽど目立っておるわ!」

「へへー、パソコンオタクなんて今言いませんですよーだ。大丈夫ですか家康殿、職場で孤立してませんか?携帯のメール機能使ってます?そう言う昭和ちっくな家康殿がメインキャラなんてそもそも無理なんですって!」

「なにをっ、言ったなこのバーチャル世代がっ!」

(二人が言い争う中、官兵衛、上機嫌で入ってくる)

「いやーっ、横浜は素材には事欠かないですなあ。今年のクリスマスも結構な、ちちしりふとももが激写できましたわ!」

「こんなとこで公然と自白してると、通報しますよ、如水殿」

(三成、今録音した発言をスマホで再生する)

「わっわっ、何しやがるんだ二次ヲタ!ってあれ、なんだ家康殿も一緒か。なんですか新年会の打ち合わせとかですか?」

「頭のねじまで宇宙にふっ飛ばしてきたんですか、官兵衛殿!なーんで私たちが一緒に楽しく新年会しなきゃならないんですか!?空気読んでくださいよ!」

「(あくまで空気を読まないチカン兵衛)いやあ、何か見ない組み合わせだと思ったからー」

「なんじゃこいつ!?如水殿あんた本当に戦国時代にいる自覚ないな。わしと三成と言えば、バッチバチの間柄じゃないか!?」

「(首を傾げる)でしたっけ?」

「「お前もう九州へ帰れ!!」」(ぴったり声が揃う三成と家康)

「いや二人ともそんなに怒鳴らなくても。関ヶ原ったって九月でしょ?まだ年の瀬だし、とりあえずここは穏便にさー」

「だめだ、こいつと話してると、天下分け目の決戦する気がどんどんなくなる…」

「あーその…(なんて説得していいか分からない三成、頭を抱える)官兵衛殿だって参加しなかったけど、やりたかったんでしょ、天下分け目の合戦。盗撮のことばっか考えてないでもうちょっと自覚を持って下さいよ!」

「うん…でもまだ冬だし、来年の秋だしなあ。実感湧かないっつうか、ピンと来ないって言うか。それより今、年の瀬新年カップル盗撮した方が楽しい?的な?」

「なんですかその年で、そのチャラさ。ちょっとは家康殿を見習って下さいよ」

(さっきとは正反対のことを言う三成)

「いやでーもー、この際だから言うけどさあ、おれー、実際参加したわけじゃねえんすけど。て言うかそう言うとこ?ディスって来るってマジありえないし」

「だめだ、ますますチャラくなってる…」

「横浜?若いカップル来るしね。ノリ一緒にして話ししてないと、職質される?通報される?みたいな」

「「すんごい萎えるからさ、その話し方、もうやめてくんないかな…」」

(みるみるさっきまでのテンションが下がってくるのを実感する、三成と家康)

「分かったよ。そんなこと言うんだったら、如水殿も参加してもいいんだよ、関ヶ原。どうせ橋本ちかげのいい加減な小説なんだから」

「そうですよ。どうせならやりましょうよ。天下のトップスリーで。ね、最強決定戦みたくして!」

(三成と家康、本当は死ぬほどうざいと思いつつも必死で、チカン兵衛を盛り立てる)

「いいの!?いいの!?混ぜてもらっても?いやあー何か悪いなあ、催促したみたいで」

(いらっときてしかも胃が痛くなる三成と家康)

「「こいつ、いくさ始まったら両軍で一斉攻撃してやろうか…」」

「あれ、今何か言った?」

「「いやいや全然!賑やかな方が断然楽しいよね!?」」

(心にもないことを言わされ、ストレスで寿命が縮まる二人)

「で、日程いつだっけ?九月の?」

「いやあ、さっき話してたんですけど、日程変更になったんですよ官兵衛殿。十月…いや紅葉出てくるの待って、だから十一月にしようかなあ」

「九月だとまだ暑いしね」

(大ウソを言う三成と家康)

「そうだなあ、九月だとまだまだ薄着のシーズンだしね。おれもその辺りは日程きついんだよなあ」

(夏のうちに逮捕・投獄されちまえ!と神に祈る三成と家康)

「ところで如水殿は、軍備の方は大丈夫なのかなあ。黒田家は長政くんが、わしのところに来てくれるって言ってくれてるんだけど」

「あ、軍備なら大丈夫。宇宙の軍勢を使いますから」

(ダークチカン兵衛の合図で、レーザー銃とか持った帝国軍の人たちがわらわら入ってくる)

「提督!日程の方はお決まりでしょうか!?」

「うん、十一月だって。あ、こんな感じで、おれたちレーザーとか波動砲とかバトルマシーンとかビームサーベル使うけど二人とも大丈夫だよね?」

「「やっぱりお前宇宙へ帰れ!!!」」


(ナレーション)「かくして、大坂城を二人に追い出された官兵衛は仕方なく、実家がある九州の制覇を目指すことにしたのでした…」


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