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第十四回「如水誕生(…申請中)」

(ナレーション)「妻、光のものと思われる複数のアカウントから通報を受け、チカン兵衛ツイッターのアカウントを削除された官兵衛は、いい機会だし、垢を変えるついでに隠居も決意するのでした…」


「あれ官兵衛殿、急に頭を丸めてどうしたのですか?もしかして刑務所に入る準備でもしているのですか」

「違うわ!相変わらず失礼なアニヲタだな。見てわからぬか。武士が頭を丸めるとき、それはレッツ隠居の証。今日は太閤殿下に隠居を願いたく、馳せ参じたのだ。お前なぞに用なんかないわ」

(もみ合いになりかけるスキンヘッドの官兵衛と三成の間に割って入るあわてて秀吉)

「まあ、そう言うな官兵衛。変態同士仲良くしてくれんと、豊臣政権は困るのじゃ。…まあ、急な話じゃが隠退も悪くないんじゃないか。なあ、官兵衛」

「ええ、妻の追跡もうるさく、ついには電子世界におよび…あ、いやいや、官兵衛、もはや武士の世界に思い残すことはなくなったのです。ここは、潔く隠居するのが筋かと思いまして」

「そうかそうか。で、もう隠居の号は決めてあるのかな?」

「はい。行く水がごとくたおやかにシャレオツに…あ、いやいや、明鏡止水の心持にて、如水軒を名乗りとうございます」

「如水かあ。なーんかお前に似合わんではないか。そうだ、わしが隠居名を考えてやろう。例えばこれはどうだ?」

(秀吉、さらさらと筆をとって何かを書く。なぜか、そこに大きく『鼻血』と書かれている)

「黒田鼻血と言うのはどうじゃ!」

「あ、あの(さすがに官兵衛も声が引きつってフォローにならない)…ええっ!?はなっ?鼻血ですかっ!?…いやそれは斬新なっつーか、身も蓋もないって言うか、ぶっちゃけありえなくないですか?」

「そうか?だってお前は水みたいにさらさら淡白と言うよりは、鼻血みたいにどろっどろな変態ではないか?」

(唖然とする官兵衛に、三成も横槍を入れる)

「そうですよ。官兵衛殿にはお似合いです。て言うか、鼻血が嫌ならこれはどうですか。『黒田ハの72号』」

「囚人番号か!余計気分悪いわ!しかもそのまま読んだら『ハナヂ』でほとんど同じじゃないか!」

「うむ、三成の案も中々ええじゃないか。じゃあどっちにする?!」

「どっちにするとかそう言う問題じゃないですよ!そんな話してないですよねえ!?如水にしますって言ってるんですよ。それで通してくださいよ。三成の何か仮名とか数字とか混じっちゃってるじゃないですか!?」

「あ!分かりました。(さらに閃く三成)漢字がよろしいのならこれはどうでしょう!『黒田懲罰房(ちょうばつぼう)』!」

「お前が入れこの条例違反者!むしろ模範囚だったっつーの!秀吉様、どういうことですか。つーか、官兵衛が隠居するのがそんなにお気に召しませんか!?」

「いやー、リタイアは自由だと思うよ。うちブラック企業じゃないしさ。建前上は」

「では本音は?」

「この前わしの隠退止めたくせに自分だけ悠々リタイヤしてんじゃねえぞチカン兵衛死ぬまでこきつかってやるわい」

「句読点も使わずよくもそんなどす黒い本音を一気に!」

「ともかく、隠居はいいよ。でもするなら、この中から隠居名を選ぶのじゃ!それが条件だと言っておろうが!如水なんて気取った名前は許さん!つーか橋本ちかげが許さんのじゃ。考えてみよ、お前の名前が変わったら、この連載のタイトルはどうなる?!」

「はっ!?もしかしてそしたら連載も隠退!?」

(気がつかなかった事実に気づき愕然とする官兵衛)

「今頃気づいたか。チカン兵衛はいつまで経ってもチカン兵衛。常に、合法と違法の狭間で戦うのが常じゃ」

「そうですよ。官兵衛殿は死ぬときは鉄格子の中っていつも言ってるじゃないですか」

「言っとらんわ!そんなのひとっことも!…あれ、て言うか三成!何をしてるおる!?」

(ちこちことパソコンをいじる三成。何かの作業を完了したらしい)

「まーでも隠退したいんでしょ。手続きはしてあげますよ。ほら、登録も済んだし。官兵衛殿は今日からめでたく黒田鼻血になりましたから」

「あれ、ほんとにやっちゃったんだ…」

(さすがにドン引きする秀吉)

「みっ…みっ三成…なっ、なんてことしてくれたんだ!嫌だ!黒田鼻血なんてやだ!三成、もうチカン兵衛でいいから戻して!」

「申請を取り下げるのに一ヶ月くらいかかりますよ」

「えええええっー!?」


(ナレーション)「かくして黒田鼻血が誕生したのでございました…」

「だっ、誰か…わしをっ、如水って呼んでくれ…」

(官兵衛の悲痛な叫び)

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