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第六話

工場を出てからしばらく歩いた。特にこれといったあてもなく。こんなとんでもない状況でも腹が立つくらい太陽は光を放っているし、嫌みなくらい空は青いし、馬鹿にしたように雲は白い。きっと、いや確実にオレがこの世から消えてしまったとしても何も変わらず時間はすぎて行くのだろう。

適当なラーメン屋で適当に飯を済ませてまたしばらく歩いた。足がキリキリと軋み、身体中に疲れが回ってきたころにはオレを慰めるみたいに空は真っ黒になった。全く、空の気ままさには呆れる。昼の空はオレをけなしていたが、夜になればオレの味方。もう一度言う。全く呆れる。こんなことを考えるのはオレしかいないかもしれないが、そう感じるのだからどうしようもない。自分にだけはウソをついても隠し通せないのだから始めからウソはつかない。とそんな世捨て人のようなことを考えていると車のブレーキのつんざくような鳴き声が人通りの少ない道路に響いた。音の方向に目を向けるとそこには一人、少女が倒れていた。そのまま素通りしようと思ったが、なぜか分からないがオレの足はその少女の方向へ向いていた。冷静なオレは彼女を助けることで病院とか警察とかオレが関わるとまずいことになるものと接触する危険性があるという判断を2秒でくだしていた。けれど足はそれでも間違った方向に進む。そして少女を揺すって起こそうとするが起きない。オレは仕方なく彼女を担いで適当な公園を見つけ、ベンチに寝かせ、オレはもう一つのベンチに座って音楽を聴いて彼女の意識が戻るのを待った。


体をゆすられる。目を開けるとさっきの少女が立っていた。いつのまにか寝てしまったようだ。腕時計をみると26:26'26。そうだ、時計は壊れてしまったのだ。だが空はまだ黒いままだ。

「あの……ありがとうございます。」

少女が口を開いた。すこし掠れたような、女性にしては低い声だ。オレには音楽の才能はないが、声の高さはアルトというやつだろうか。変わった声だ。ただそんな声でもオレはその声を綺麗だと思った。あの壊れかけの工場に似て、オレを安心させる。

「いや、オレは何もしてない。」

何もしていないのだ。

「でも私轢かれて……あなたがここに連れてきたんでしょう?」

「あぁ、うん。まぁそうだけど。」

「やっぱり。本当にありがとうございました。」

少女がぺこりと頭をさげる。

「私、今16歳なんですけど、家出してるんです。それで……」

何も聞いていないのに急に話しだす。変わった女の子だ。

「あの……あなたは?みたところ成人じゃなさそうだけど。」

突然オレの話に切り替わる。オレの身の上(犯罪者だということは伏せた)を話す。

「へぇ……じゃあ似た者同士ですね、私たち。」

全く似てないと思うのだが。少女は色が白く、髪はつやのある黒で割と整った顔立ちだ。犯罪者もどきとは似ても似つかないだろう。

「あの、一緒に行動しませんか?」

彼女の言葉に驚いたのはいうまでもない。

一日あいてしまいました。すいません(_ _ ||)

今回は新キャラです!!といっても名前はなく、“オレ”のナレーションでは「少女」とか「彼女」とかっていう感じです。ご了承くださいませ(ーωー)

では、次回もお楽しみに!!

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