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第三話
状況を一度整理しよう。オレは工場を出て歩きながら自分に言いきかせた。こういう意味の分からないことに出会っている時には時系列に沿って事柄を整理することで見えてくるものがあるはずだ。
事の始まりはの一昨日の土曜日だ。仕事は休みだったが、朝はきっかり6時に起きた。一緒に暮らしている叔父はいつも通り自営業でやっている弁当屋の仕事をしていた。トーストをミルクのたっぷり入ったコーヒーで流し込み、歯を磨き、職場から持ち帰ったUSBメモリを自分のパソコンに差し込んで仕事の残りを始めた。次の企画会議までに仕上げなくてはならない書類があったのだ。それは案外手間取り、昼食を挟んで書類が出来上がったのは午後の3時すぎ。冷たい水をコップ一杯飲んでから財布とミュージックプレーヤーをポケットに突っ込み左手に時計をはめ、何か用があるわけもなかったがなんとなく散歩に出かけることにした。イヤホンを耳にはめて適当にぶらぶらと歩いた。
しばらくして音楽が6曲目に入ったときイヤホンからブチッという不快なノイズが流れたと思うと、知らない女の声が聞こえた。
「いや……やめて、殺さないで……。ゆ、許して……私が悪かったわ……いや……来な」
途中で声が途切れ、再び普通の曲が流れ始める。その女がどうなったか、大体予想はつくがなぜこんなことが起きたのか、全く分からない。ただたまらなく不安になって急ぎ足で家に帰った。
第三話です。感想等いただけるとうれしいです(=・ω・)/




