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好きな人にデートに誘われたと思ったら違った話

作者: SUN3
掲載日:2026/04/21


アルマは一人、ドキドキしていた。


好きな人に誘われた。


――デートに違いない。


「最近できた、あのケーキ屋に行きたいんだ。一緒に来てくれないか?」


カールが言う。


アルマは、すぐに返事ができなかった。


「……ダメか?」


「ダメじゃないです!」


今度は食い気味に言葉が出た。


「じゃあ、いつもの三人組で来てくれ。こっちも三人で行く」


アルマは一瞬だけ言葉に詰まったが、すぐに頷く。


「はい、話を通しておきます」



放課後。


いつもの三人組――アルマ、カリナ、タバサ。


アルマは、ケーキに誘われたことを話した。


カリナが眉をひそめる。


「あそこのケーキ、見た目はいいけど美味しくないわよ?」


タバサがすかさず肘でつついた。


「そこじゃないでしょ。アルマが好きな人に誘われたってことが大事なのよ」


「そうなの! タバサ、カリナ。一緒に来て」


タバサはすぐに頷く。


「いいわよ」


カリナは少しだけ考えてから言った。


「男子がケーキ目当てなのか、私たちの誰かが目当てなのか、分からないじゃない。面倒だわ」


アルマの胸が、少しだけ痛んだ。


それでも顔を上げる。


「それでも……チャンスがあるなら行きたいの」


「後悔しない?」


アルマは小さく息を吸った。


「……大丈夫」



当日。


ガーデンに並べられたテーブルの一つに、六人で座った。


カールはカリナに話しかけている。


「このケーキ、美味しいですね」


「そうかしら。見た目のわりに、クリームが濃くて重いわ」


空気が少しだけ止まる。


カリナの言った通りだった。


アルマは慌てて口を開く。


「私はこの重さ、好きよ。フルーツも新鮮で美味しいし」


必死に場をつなぐ。


タバサは別の男子に話しかけられていて、こちらを見ていない。


もう一人の男子は、黙々とケーキを食べている。


――人数合わせ。


そんな言葉が頭をよぎる。


アルマは何度も笑って、話題を探した。


けれど。


カールの視線は、一度も自分には向かなかった。



翌日。


タバサとカリナが話しながら歩いている。


アルマはカリナを呼び止めた。


「私のことは気にしないで。カール様のことが好きなら……付き合って?」


カリナは少し驚いて、それから首を振る。


「違うの。私は別に好きな人がいるの。ごめん」


アルマは、ふっと力を抜いた。


「ううん、謝らないで。昨日は付き合ってくれてありがとう」


少しだけ笑う。


「なかなか、うまくいかないものね」


タバサが言う。


「次があるわよ」


アルマは少しだけ考えて、それから言った。


「次は――私のことが好きで、私も好きになれる人がいいな」


一瞬の沈黙のあと、三人は顔を見合わせて笑った。


現在、連載中です。ぜひ見に来てください。

乙女ゲームのバッドエンド絵師、ゲーム世界に転生する 〜バッドエンドしかない世界で、運命を捨てる〜

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