ミノタウロスは何処( 'ω')?6
諸々のことを考えて、掲示板実況にした。
まさか、本物の【世界最強攻略者】が掲示板に来たとは誰も思わなかったらしい。
ある程度、グルグルと一階層をまわり、寄生レベリングができてるかどうかを確認する。
なんと、華灯に変化が無かったのだ。
体感として、華灯ならレベルが一つくらい上がっていてもおかしくない。
「寄生レベリング出来て、ない?」
二人して首を傾げる。
「おそらく、華灯さんが冒険者であるからかと思います」
「どういうことだ?」
今度はオリヴィアが口を開いた。
「私たちお助けキャラとは、パーティとして経験値が配分されるんですけど。
冒険者さんは個々で戦闘に関与しないと経験値が与えられないんです。
例えば、私が普通の冒険者だったとします。
その場合、戦闘中に【回復】などを使って仲間達を回復させたり、この杖でコツンっとモンスターを殴ったりしないといけないんです。
あくまで戦闘に関与、参加する事が重要なので」
「は、早く言ってくれよぉっ」
「聞かれませんでしたし。
それに、主は困ってませんでしたよね?」
華灯に寄生レベリングを申し出られた時に困惑くらいはしたのだが、お助けキャラとしてはそれは困ってる部類に入らないようだ。
華灯を見れば苦笑していた。
「じゃあ、この一階層でのレベリングって無駄??」
エリーがそれを否定する。
「主には経験値が入っていますし、メダルも手に入ったので全くの無駄というわけではないです」
事実としてメダルは三十枚ほどたまっている。
ガチャを回しに行くことにした。
「っと、その前に」
陽祐は魔法袋から竹刀と鉄パイプを取り出す。
今の話を聞いて、華灯にも武器が必要だと考えたからだ。
休憩スペースに行くまでに、またモンスターと遭遇するだろう。
その時に一発、モンスターを殴らせるためだ。
華灯は鉄パイプを選んだ。
元々手に入れて、使用していた武器も鉄パイプだったらしい。
ブンブンと鉄パイプを振り回し、感触をたしかめる。
「ありがとうございます。
お借りします。
お返しする時はちゃんと洗って返しますね」
「???」
綺麗にして返す、という意味だとはわかったがわざわざ言う事だろうか??
直後、判明したことは華灯は獲物をもつと性格が変わるタイプということだった。
ドライバーでハンドルを握ると豹変する、あのタイプである。
「オラオラオラ!!
×××ついてんのか?!
ゴブリンどもがぁああ!!!!
テメェらのケツ穴に××××して××××やんよ!!
ヒャッハー!!!!!!」
オリヴィアがニコニコと陽祐の耳を両手で塞いだ。
エリーはドン引きしている。
実際に鉄パイプをゴブリンのケツ穴にぶっ刺してトドメを刺したりしている。
スライムしか出ないと聞いていたが、ちゃんとゴブリンも出現して軽く驚いたのもつかの間に見せられたのが、この光景だった。
「うわぁ……」
なんでこの子、悪い人達に負けたんだろ、と不思議に思う。
いや、ほんとなんで??
陽祐は首を傾げるばかりだ。
複数人で囲まれた上、やはり相手のレベルが高かったからだろうか。
そこで、エリーがドン引きしつつも、
「あ、だからか」
なんてつぶやく。
オリヴィアがそれを聞きとがめ、訊ねる。
「なぁに??」
「あ、いや、私が剣でどつき回した奴らなんだが。
臀部を押さえててな。
怪我でもしていたのかと思っていたんだが、こういう事だったのか、と」
「華灯ちゃん、健闘したのねぇ」
とオリヴィアはのんびりコメントするのだった。
陽祐は陽祐で、ちょっと思いついて彼女のことを検索してみた。
【血鬼の姫君】というワードがヒットし、まさに今ゴブリンのケツ穴に攻撃しまくっている華灯の凶悪な表情も一緒に表示された。
ゴブリンを倒し、
「ふー」
と華灯は息を吐き出す。
また元の表情に戻っていた。
にこやかな笑顔を陽祐に向けてくる。
「あ、すみません。
つい夢中になっちゃって」
なんでこの子、ストーカーされたんだろ。
というか、なんでこの子をストーカーして襲撃しようと考えたのか。
陽祐は襲撃者たちについても首を傾げるしかできなかった。
しかしそれ以上に、陽祐は困ってしまった。
「鉄パイプ、返されてもなぁ」
いっそのことそのまま華灯に譲ってしまおうと、陽祐は決めたのだった。




