その頃の両親
息子の配信を、ハラハラと観ていた陽佑の父母は、彼が新しい仲間を迎え入れたことを知るとホッと息を吐き出した。
危険なことをしているのだ、止めたいが神様が絡んでいるので止められない。
ならば、せめて配信だけでも観ておこうという事になった。
腹に風穴を開けられたときは、生き返るとは言っても肝が冷えた。
それこそ前回、ガーゴイルに潰された時など父親は卒倒しそうになったほどだ。
その点、母親は肝が据わっているのかハラハラこそしているが心配はしていないようだ。
オリヴィアを手に入れたことで、部屋の出口が出現する。
息子はキリがいいと判断して、配信を終えた。
直後、
「大変!」
陽佑の母が声をあげる。
何事かと思い、陽佑の父は彼女を見た。
「オリヴィアちゃんの歓迎会しなきゃ!!」
宣言するやいなや、財布を引っ掴み歓迎会のためのご馳走の材料を買い出しに言ってしまう。
「お、おう」
もっといろいろ考えることがあるだろう、とは思ったがとりあえず今は言わないでおいた。
「……掃除機だけでもかけておこうかな」
家族が増えるのだから、せめて家の第一印象くらいいいものであってほしい。
そのため、陽佑の父親は軽く掃除をはじめるのだった。
掃除をしつつ、父親は考えた。
「大丈夫かね、あいつ」
この流れは、あまり良くないのではないか、と心配になったのだ。
なにせ、本当にやりたかったことから遠ざかりつつある。
クエストはほぼ強制だ。
受けてからはいつやってもいい様だが、それでもバイトに来年の受験のための勉強にと時間を削られることには変わりない。
加えて、陽佑の存在は世界中に知られている。
もう、普通の人生など送れそうにないように見えるのは、過保護から来るものなのだろうか。
息子も、もうすぐ二十歳だ。
大人だ。
自分のことは自分で決めるだろう。
しかし、息子は押しに、同調圧力に弱い。
こうして流された先が、望まない未来に繋がっていそうで心配なのだ。
「まぁ、なるようにしかならない、か」
父親はそう呟くことしか出来なかった。




