【ダンジョン】クエスト受注しないと天罰くだるらしいから、やってくよ(´;ω;`)【配信】8
陽祐は戸惑って周囲を見回す。
そこが六階層の休憩スペースだということはわかった。
休憩スペースの壁や、設置してあるテーブルとイスに【6】という数字があるからだ。
これは、今まで通ってきた他の階層でも同じであった。
だから、自分が六階層の休憩スペースにいるという事が理解出来たのである。
携帯端末を確認する。
動画配信は継続中であった。
映るのは、慌てたように走っているエリーの姿だ。
どうやらドローンは、エリーを自動追尾しつつ撮影しているらしい。
《スレ主が死んだー!!》
《ダンジョン内で死ぬと、人間は光の粒になって消えるんか》
《粒子な、粒子》
どうやら、陽祐は死んでしまったらしい。
《エリーちゃん、携帯端末もってないから、なにも説明してくれなくなったな》
《仕方ないさ、コメント確認できないんだもん》
《ましてや配信なんてもの、慣れてないしな》
《しかし、どこに向かってるんだ??》
ほどなく、エリーが六階層へ繋がる階段へたどり着く。
階段を駆け下りて、六階層へ戻ってくる。
どうやら陽祐のいる場所、休憩スペースへ向かってきているらしい。
やがて、配信動画に陽祐が映し出された。
こうして、二人は合流したのである。
陽祐はエリーと、視聴者達からなにがあったのか説明を受けた。
どうやら、コンビニに入ろうとした直前、天井からモンスターが落ちてきて潰されてしまったらしい。
念の為、携帯端末を使ってそこまで動画を戻して確認する。
光に吸い寄せられる蛾のごとく、売店の光へ向かって走る陽祐が映っている。
あと少し、あと一歩で自動ドアの前へ立つ、そんな瞬間。
べしゃっ!!
と、いきなり出現したガーゴイルに、陽祐は潰され光の粒子となって消えていく場面が映し出される。
エリーの、
『主ぃいいい!!』
という叫び声も入っていた。
同時に動画を確認していた陽祐の声も重なる。
「またお前かぁぁあ!!
ガーゴイルぅぅぅぅうう!!!!」
《ガーゴイルニキの満足そうな顔、見たか?》
《よく見るガーゴイル像と化したガーゴイルが見える件》
「主、どうしますか?」
「どうするって」
要は、ガーゴイルを倒して売店へ進むか。
今日は一旦帰るか、である。
《水筒ニキで倒せるよな》
《水筒ニキ、待ってるぜ》
《たぶん水筒ニキでいけるんじゃないか??》
「えぇ~」
言うのは易し。
しかし、実際挑戦するのは陽祐である。
文字通り、岩のように大きなガーゴイルと相対するのは怖い。
《まぁ、挑戦するのはスレ主だから》
《でも、水筒ニキなら行けそうな気がするんだよなぁ》
《竹刀使ってみようぜ、竹刀!》
《つーか、死んだ時の精神的なショックとかってないの??》
コメントを読んで、気づいた。
「そういえば、痛みはなかったかも。
衝撃はあったけど、痛くは無かった。
死んだって感覚、恐怖?みたいなのは薄い、かな?」
《そっか》
《神様からの特典みたいなもんかな》
《そういや、ほかのダンジョンで死んだ人達もあんまりショック受けてる感じはないみたいだよな》
《死への恐怖が取り除かれてる可能性》
《というか、ダンジョンに入ると体が作り替えられてる可能性もあるよな》
《それな( ´-ω-)σ》
《それな》
《なんか、そんな感じあるよな》
《人間は通常、死んでも光の粒子になんてならないからな》
と、ここでふと気になったことが、陽祐の口から漏れる。
「他の人たちはこのクエストクリアしたのかな??」
《俺、二窓して配信観てるけど、まだだな》
《そもそもコンビニ見つけられてない人の方が多い》
《あ、俺が今観てる動画の人、見つけた!!》
「え、まじ??
その人、ガーゴイル倒せそう?」
《いい感じに攻撃はしてるけど、チュートリアルのガーゴイルより強いのか手こずって……あ、ああ!!死んだ》
《死んだか》
《これ、そういえば、直前に利用した休憩スペースに戻ってくる仕様みたいだけど、コンビニがあった階層に戻ると、コンビニってまだあるのかな?
それとも消えてるのかな??》
《どうだろう??》
ほかのクエスト受注者のことも気になるが、たしかにコンビニがまだあるのか、それとも消えたのかは気になった。
消えていたら、もう今日は疲れたので帰りたい。
しかし、もしも残っているようなら、ここまで来たのだからクエストを終わらせたい。
「見に行ってみるか」
陽祐はそう決めた。
そして、七階層までもどり、地図を確認する。
「あ、ある」
どうやら消えてはいなかった。
少しだけ、陽祐はがっくりとする。
これでコンビニが消えていたら、後日再挑戦ということで、今日は帰れたのに、と。
「仕方ない。
とりあえずあのガーゴイルを倒してコンビニに入って買い物しなくちゃ、クエストクリアになんないんだよなぁ。
うん、仕方ない」
そう自分に言い聞かせ、陽祐はエリーとともに目的地へと歩を進める。
「とりあえず、チュートリアルの時みたいに水筒でも投げつけてみるか。
そう同じ手が通用するとも思えないけど」
《めっちゃ説明口調》
《いや、頭が混乱してる時はこうやって口から考えを出すといいんだよ、考えがまとまるから》
目的地まで着くと、ガーゴイルがコンビニの出入口の前で鎮座していた。
もうなにもかも面倒くさくなった陽祐は、ヤケクソ君に水筒を投げつけた。
水筒はガーゴイルへ当たる。
そして、
「ゲギャァァァアアア?!」
ガーゴイルの驚いたような叫び声。
続いて、ガーゴイルはひび割れ砂のように崩れ落ちてしまったのだった。
「お前はお前で何なんだよ、水筒ぉおおおお!!!???」
さすがに突っ込まざるをえない。
《水筒ニキチート無双》
《水筒ニキが凄すぎる件》
《草》
《水筒で勝ってて草》
《大草原不可避》
ちなみにこれで、陽祐はメダルを百枚手に入れたのだった。




