22.学年末テスト
あっという間の1年だった。年末からは、より早かったけど。そしてその集大成としてのテストが始まってしまう。
勉強会をまたすることになったが、参加したい人が更に増えてしまった。ジオやエリオットくんが参加してることで、成績上位の人に教えてもらえるのは大きい。
実はアレクシアも成績がいい。そして見た目や言葉はきついけど、面倒見が良いのだ。取り巻きA、改めミリーもそんなアレクシアを慕う一人だ。もちろん勉強会に参加している。
以前に会場になっていた裏通りの『赤い帽子』では狭くなってしまったので、先生がイベント用の部屋の一つを貸し出してくれた。図書室や食堂を1学年で使うわけにはいかないからね!
1年生の私達は知らなかったけれど、事前に申請すると使える部屋がいくつかあったのだ。『グラジオラスの部屋』に集合と、周知されるまでは時間がかからなかった。
食堂やカフェでドリンクをテイクアウトして来る生徒も多い。私も紅茶をテイクアウトした。いちごクッキーも買おうとしたらジオに止められた。けち。
そんなこんなで日が経ち、成績のあがった子もいれば、私みたいに現状維持の子もいた。ミネアも似たようなものだった。
平均点が上がるのがいけないのよ!
ジオは3位だった。成績でまであまり目立ちたくないし、アビリティドリンクももういらないしなって意味不明なことを言っていたけど、もう充分目立ってるわよ。
そう、アビリティドリンクは学年1位でも貰える。非攻撃系の生徒への救済なのかわからないけれど。セオドア様はそれでアビリティドリンクを飲んだのだ。
学年末に飲んで、春休みは家で過ごし、2年生で学園に3日は行けたけど、そこまでだったらしい。
結局、退学にならざるを得なかった。学業についてはジオと同じで早々に修めていたから、困らないらしいけど。
裕福な侯爵子息でも人生がこれだけ変わったんだから、平民だったら働けなくなって困るだろう。アビリティというのはいいことばかりじゃないんだな、と痛感した。
「リーゼはどうだった?」
「テストの点を聞くのはマナー違反よ」
「赤点じゃなければいいわよね」
そんな話をしていたら
「次は私も、もっと厳しくみっちり見てあげるわ」
「シャーリーぃ……」
やってきたシャーリーにたしなめられたのだった。
そうして、運命の春休みがやってくる。




