21.女子会
「クラークくん……」
「うん」
「……と付き合ってる」
ちゃんと矢印は往復してる。素敵。
クラークくんは、見た目は軟派だけと、リーゼの攻撃をお盆のようなもので受け止めちゃうのよね。防御系って、受け止めてから、どう攻撃に転じるのかよく分からないけど、彼は空も飛べたのよね、空を飛ぶだなんて羨ましいわ。
「いつから好きになったの?」
「いつかは覚えてないけど、わたしのマグマの攻撃を受け止めるんよ? すごくない?」
リーゼはマグマ状の塊を生成できる。アビリティの全ては把握してないけれど。リーゼも好きな人に攻撃するタイプだったのね。
それに、恋は見た目だけじゃないのよね。そういうのっていいよね。
「すごいすごい。リーゼの攻撃受けて死なないとか、どんな頑丈なのよ」
「人をバケモノみたいに言って〜、ひどぉ〜い」
みんなで笑った。リーゼから反撃が来る。
「ミネアはどうなのよ」
「うちはまだ恋人はいないよ」
「うそっ。カルネくんはどうしたの?」
「いまひとつ、伝わらない感じだし、最近ちょっとエリオットくんもいいなと思って……すぐ決めないといけないものでもないしね」
「まあ、まだ1年生だもんね」
エリオットくん、頑張ってたもんね。
「シャーリーは?」
「私もまだ。それに、同級生は正直子供っぽく見えるわ。まぁジオくんはしっかりしてそうだけど」
「あげないわよ?」
「いらないわよ。大人っぽいというより腹黒そうだし。策士っていうか」
(うっ!)
私はテーブルに突っ伏した。心当たりがありすぎる。本性バレてるじゃない。
「もう、シャーリーったら。じゃあ、どんなタイプの人が好きなのよ」
「落ち着いた穏やかな年上かな」
私だって、ジオみたいなタイプを好きになるなんて想像しなかった。振り回されているうちに、いつのまにか好きになってたのよね。
「恋って落ちてみないとわからないわよ」
駆け落ちを聞いたあとだと、そう思った。
「相手がいると違うわぁ」
「あ、え、いや……」
また顔が熱くなる。きっと真っ赤だ。
「ラーラが可愛すぎるわ!」
リーゼがにやにやしたのが見えた。
それから、しばらくは揶揄われながら女子会は続いたのだった。
今日もいちごケーキは美味しかった。
放課後にはジオが迎えにくる。ランチのときのことを思い出して挙動不審になると、何があったと心配されてしまったので、薬学の休講と女子会の話をするしかなかった。
「友達、増えてよかったな」
「アレクシアのおかげよ」
「災い転じてってやつか」
「ふふっ、そうね」
「じゃあ、また勉強会するか」
(!!!!)
忘れていたのに! 今度は学年末のテストが始まるのだ。




